橋下氏主張「司法裁」決着/国際機関を通じて交渉することだけが国の利益を守る行為だと思うようになった

2012-09-30 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

橋下氏主張の尖閣「司法裁」決着、政府は否定的
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化で悪化した日中関係を打開するため、新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長が、国際司法裁判所(ICJ)での決着を主張し始めた。
 しかし、尖閣諸島は日本が支配しており、政府は「領土問題は存在しない」との立場だ。日本がICJに提訴すれば自ら領土問題の存在を認め、「中国の思うつぼ」(政府筋)となりかねない。政府は提訴に否定的だ。
 橋下氏は29日、大阪市内での記者会見で、ICJへの提訴について、「裁判をやるときは勝てる自信があるからやる。尖閣諸島だって竹島だって、法と正義に基づけば(日本が勝つ)自信がある」と述べた。政府は島根県・竹島の領有権問題で韓国を提訴する準備を進めているが、橋下氏は尖閣諸島の問題も提訴して決着を目指すべきだとの考えを示した。
 共産党の志位委員長も20日、首相官邸で藤村官房長官と面会し、尖閣諸島に関し「領土問題が存在しないという立場は、日本を自縄自縛にする」と主張。領土問題の存在を認めたうえで外交による決着を求めた。志位氏は面会後の記者会見で、尖閣諸島と竹島の問題で政府の対応が異なるのは「ダブルスタンダード(二重基準)だ」と指摘した。
(2012年9月30日10時49分  読売新聞)
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〈来栖の独白 2012/9/30 Sun 〉
 「尖閣」は、ICJで争うことになっても、勝てるだろう。が、「竹島」は勝てない。ICJというところは過去の判例によれば、歴史事実などより「実効支配」の有無がモノを言うらしい。
 ところで、日高義樹著『帝国の終焉』(「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ)に、次のような記述があり、「自らの手で国を守る」ということを考えさせられる。太平洋戦争敗戦以降、60有余年、戦争や防衛について他人(アメリカ)任せにして全く考えてこなかった日本。これは、異常な姿なのである。

p170~
 国家という異質なもの同士が混在する国際社会には、絶対的な管理システムがない。対立は避けられないのである。人間の習性として、争いを避けることはきわめて難しい。大げさに言えば、人類は発生した時から戦っている。突然変異でもないかぎり、その習性はなくならない。
  国連をはじめとする国際機関は、世界平和という理想を掲げているものの、強制力はない。理想と現実の世界のあいだには深く大きなギャップがあることは、あらゆる人が知っていることだ。
  日本はこれまで、アメリカの核の傘のもとに通常兵力を整備することによって安全保障体制を確保していたが、その体制は不安定になりつつある。今後は、普遍的な原則に基づいた軍事力を整備していかなければならない。普遍的な原則というのは、どのような軍事力をどう展開するかということである。(略)
p171~
  日本は、「自分の利益を守るために、戦わねばならなくなった時にどのような備えをするか」ということにも、「その戦争に勝つためには、どのような兵器がどれだけ必要か」ということにも無縁なまま、半世紀以上を過ごしてきた。アメリカが日本の後ろ盾となって、日本にいるかぎり、日本に対する戦争はアメリカに対する戦争になる。そのような無謀な国はない。したがって戦争を考える必要はなかった。このため日本はいつの間にか、外交や国連やその他の国際機関を通じて交渉することだけが国の利益を守る行為だと思うようになった
  よく考えてみるまでもなく、アメリカの日本占領はせいぜい数十年である。人類が戦いをくり返してきた数千年の歴史を見れば、瞬きするほどの時間にすぎない。日本人が戦争を考えずに暮らしてこられた年月は、ごく短かったのである。日本人はいま歴史の現実に直面させられている。自らの利益を守るためには戦わねばならない事態が起きることを自覚しなければならなくなっている。
  国家間で対立が起きた時、同じ主義に基づく体制同士であれば、まず外交上の折衝が行われる。駆け引きを行うこともできる。だがいまの国際社会の現状のもとでは、それだけで解決がつかないことのほうが多い。尖閣諸島問題ひとつをとってみても明らかなように、外交交渉では到底カタがつかない
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