日々、感謝 食事と共に新聞小説『とめどなく囁く』2018.5.1 ネットというツールに人類の倫理は・・・

2018-05-01 | 日録

〈来栖の独白2018.5.1 Tue〉
 いつの頃からか、朝食と昼食兼用となった。朝早くは、どうも、食欲がわかない。ゆっくり、したいことをして、12時前から食事をとる。パンと珈琲(或いは、紅茶)とサラダ。食事をしながら新聞を読む。有り難い日々。
 朝刊小説も、早いもので267回となった。主人公・早樹の心の有り様を、細々描く。なかなか達者な筆致。
 早樹の再婚相手である克典の娘(真矢)のブログ。父親(克典)や早樹のことを誹謗中傷する記事に、早樹は苦しめられる。
 ネットの時代となり、どんな人も、自己表現の場を持てるようになった。ブログはその好例。私生活を書く人も多い。しかし、忘れてはならないだろう。その記事を、早樹のように恐れ、苦しむ人が居るかも知れないことを。ネット上に一度出たものは、完全に取り消すことは出来ない。写真などは、とんでもない。
 大袈裟なことを云うようだが、ネットというツール(文化)に人類の倫理はついて行けているだろうか。
 以下、2018/5/1 朝刊「とめどなく囁く」(月初めなので、〈あらすじ〉から)

   2018/5/1<267>の挿絵

「とめどなく囁く<267>
<あらすじ> 塩崎早樹は前夫・庸介が海難事故で死亡認定された後、年の離れた克典と再婚。庸介の姿を見たという義母の話から彼の釣り仲間を訪ねた。庸介が自殺したのではという憶測に苦しむ早樹は、克典に心情を吐露する。そして克典も同様に前妻の死が自殺だったのではと悩んでいたことを知った。
  第7章 釣り部
    1
(前段略)
 互いに配偶者の自殺が事実だったとしたら、自分たち夫婦は、孤独な、置いていかれた者同士の結びつきなのだ。それを踏みにじって貶めようとする真矢には、改めて怒りを覚えるのだった。
 月曜日の今日、憂鬱な気分で開いた真矢のブログは更新が止っていた。安堵するとともに、これから何が出てくるのだろうと警戒する思いもある。
 克典も、書斎でネットを見たに違いなく、庭で見せる晴れやかな笑顔の裏には、今朝はブログの更新を読まずに済んだ、という安らかな気持があるのだろう。まったく人騒がせな娘だ。
 克典と長谷川は、藤棚の下に移動して、二人で石組みを見つめている。
 石組みに潜むという蛇は、真矢のようでもある。捕まえようとすれば、するすると冷たい石の暗がりに逃げ込んで、姿を現さない。
 いっそ冬眠してしまえ、と早樹は心の中で叫んだ。老いてからダメージを喰らった克典を、さらに傷付けようとする「蛇」をいっそう憎いと思う自分がいる。(以下略)

------------------------------------
〈来栖の独白〉追記
 本日、セブンイレブンに注文しておいた安部龍太郎著『彷徨える帝』を公園散歩の帰りに受け取り。午前中、書斎の書棚を漁っていたら、井上靖著『後白河院』が目に付いた。随分昔に読んだもの。すっかり忘れていた。
 このところ、『浄土の帝』(後白河上皇の話)など、時代物を楽しんでいる。『浄土の帝』を読み終えそうになったので、慌てて『彷徨える帝』を注文したのだった。
 『浄土の帝』も良かったが、安部龍太郎氏の作品はなんと云っても『等伯』。心、震えた。
――――――――――――――――――――――――
『とめどなく囁く』 「聴覚障害者の五輪、デフリンピックに・・・」 『浄土の帝』 2018.4.20
紅茶と小説と・・・ 感謝 〈来栖の独白2017.11.2〉
.....................


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。