「刑事事件で再審請求して争うべきだ」と異例の言及 西山元記者の敗訴確定 外務省機密漏えい

2008-09-03 | 社会

西山元記者の敗訴確定 外務省機密漏えい
2008年9月3日 中日新聞朝刊
 沖縄返還協定に関する日米間の密約を示す文書を外務省の女性事務官から入手し、国家公務員法違反罪で有罪が確定した元毎日新聞記者西山太吉さん(76)が、違法な起訴で名誉を傷つけられたなどとして、国に謝罪と損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は2日、西山さん側の上告を棄却する決定をした。西山さんが敗訴した一、二審判決が確定した。
 西山さん側は「日米両政府が結んだのは違法の密約。国家公務員法で守られるべき秘密には当たらず起訴は違法」と訴えていた。
 一審の東京地裁は昨年3月、1972年の起訴から提訴まで20年以上たっていることから、「賠償請求権は民法の除斥期間(20年間)を過ぎたので消滅した」と判断。密約の有無や起訴の当否の判断に踏み込まなかった。
 二審の東京高裁も今年2月、一審と同じく密約の有無に踏み込まず、除斥期間を理由に訴えを退けた。その上で「刑事事件で再審請求して争うべきだ」と異例の言及をした。
 一、二審を通じて西山さん側は「政府高官や歴代大臣らが密約の存在を否定したため名誉を傷つけられた」とも訴えたが、両判決は「政府の見解を一般的に述べたにすぎず、西山さんの社会的評価を低下させたとはいえない」と判断した。
 西山さんは71年に締結された沖縄返還協定をめぐり、米軍用地の原状回復費を日本政府が肩代わりするとした機密扱いの公電のコピーを女性事務官から入手。72年に同法違反容疑で逮捕、起訴された。一審は無罪だったが、二審で懲役4月、執行猶予1年の有罪となり、最高裁で確定した。

関連;http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/okinawa.htm

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「密約」の文書公開を

 作家ら 不存在回答なら訴訟も

 沖縄返還直前に日米両政府高官が交わした3通の公文書について、ジャーナリストや作家らが2日午後、外務省と財務省に情報公開請求した。記者会見で「政府が『不存在』と回答した場合、密約を司法の場で明らかにしたい」とし、行政処分取消訴訟を起こすことを検討する。

 請求したのは、沖縄返還に伴う日米の秘密合意文書について情報公開を求めていた呼び掛け人63人。ジャーナリスト筑紫哲也さん、作家沢地久枝さんのほか、密約に絡む外務省極秘公電のコピーを入手し国家公務員法違反容疑で逮捕、起訴された元毎日新聞記者西山太吉さん、密約を記した米側公文書を発掘した我部政明琉球大教授も名を連ねた。

 今回、請求したのは1971年6月12日付の秘密合意書簡など3文書。沖縄返還をめぐる密約について、日本政府は一貫して否定している。


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