沖縄密約「文書に署名した」 元外務省局長、法廷で証言

2009-12-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

「真実追求、将来に有益」沖縄密約証言の元局長
12月2日9時59分配信 読売新聞
 1972年の沖縄返還を巡る「密約」の存在を、当時の外務省局長が公の場で証言した。東京地裁で1日、開かれた情報公開訴訟の法廷。吉野文六・元外務省アメリカ局長(91)と、密約の存在を訴え続けていた原告の元毎日新聞記者・西山太吉さん(78)が約37年ぶりに法廷で顔を合わせた。
 証人尋問が行われたのは同地裁の103号法廷。吉野氏がいったん法廷を出ようとしたとき、原告席にいた西山さんが立ち上がってがっちりと握手し、笑顔で吉野氏の肩をたたいた。
 吉野氏は、西山さんが約37年前、国家公務員法違反に問われた同じ東京地裁の公判で証人として出廷し、密約の存在を否定していた。この日の尋問後、東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた記者会見で西山さんは、「法廷という厳正な場所で証言してくれた。相当の覚悟があってのことで、信ぴょう性を高く評価している」と感慨深げに話した。
 一方、吉野氏も尋問後の記者会見で、「西山さんがたくさんの時間をかけて裁判に挑んでおり、信念の強さに感心していた」と評価。報道機関の取材に対して密約の存在を認めてきたが、法廷で証言した理由について問われると、「過去の真実を追求することが、日本の将来のために有益と信じるようになった。歴史を忘却したり歪曲(わいきょく)したりすると、歴史を作る国民にとってマイナスになることが大きい」と話した。
 この日午後開かれた口頭弁論では、吉野氏が駐日米公使との間で、沖縄返還協定などで米側が支払うとされていた米軍使用地の原状回復補償費400万ドルと米短波放送中継局の国外への移転費1600万ドルを日本側が肩代わりすると、秘密裏に合意したと証言。局長室で公使と会い、合意文書に「BY」と、イニシャルで署名したことも認めた。
 補償費の合意文書の作成経緯については「公使から、米議会から追及された場合に説得するためと要請された」と説明。文書の写しは、「日本側の立場では必要はないので処分したと思う」と述べた。最終更新:12月2日9時59分
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吉野元局長「密約」法廷で認める 沖縄密約開示訴訟
12月2日9時50分配信 琉球新報
 【東京】1972年の沖縄返還をめぐり米軍基地跡地の原状回復費用を日本政府が肩代わりするなどとした日米両政府が交わしたとされる「密約」文書の存否が争点となっている沖縄密約情報開示訴訟の第4回口頭弁論が1日東京地裁で開かれ、原告側証人として吉野文六・元外務省アメリカ局長(91)が出廷した。吉野氏は原状回復費用と短波放送中継局VOA(ボイス・オブ・アメリカ)移転費用を日本側が負担するとした密約について「局長室で文書に署名した」と述べ、密約を認めた。我部政明琉球大教授も原告側証人として出廷し、日本側負担額の決定過程を証言した。
 日本政府が従来存在を否定してきた密約の事実を当時の外務省の交渉担当者が法廷の場で認めたのは初めて。次回口頭弁論は2010年2月16日。
 吉野氏は代理人の「沖縄返還協定には原状回復費用を米側が自発的に払うと書いてある。返還協定と実際は違うということか」との問いに「そうだ」と明言した。吉野氏は政府答弁者として当時国会の場で密約について明らかにしなかった理由について「(沖縄返還)協定に書いてない事項について、説明することを当時の外務省はやってない」と説明した。さらに「(当時)国会で協定が通りやすいように説明することはあったし、協定ができてもしばらくの間は国会通過のための説明をした」と述べ、沖縄返還協定を成立させるために密約の存在を否定してきたと説明した。
 外交文書公開の在り方についても吉野氏は「日本も一定時間が過ぎた後、誰もが外交文書の内容を研究できるような制度を採用した方がいい」と提言した。
 吉野氏は72年12月、原告の1人で元毎日新聞記者の西山太吉氏(78)が訴追された外務省機密漏えい事件の公判で検察側証人として密約を否定した。しかし06年になってメディアに対し密約の存在を認め、今回の訴訟で37年ぶりに西山氏と対面した。
◆米連邦銀に秘密預金/国、準備書面で認める
 沖縄返還に伴い、日本が秘密枠の巨額の財政負担を行ったとされる日米合意をめぐり、国は沖縄返還密約訴訟の第3準備書面で、日本銀行が6千万ドルを25年間、米連邦準備銀行に預金したことを初めて認めた。
 沖縄返還の2年半前の1969年12月、柏木雄介大蔵財務官とアンソニー・ジューリック米財務長官特別補佐官が交わした「了解覚書」に明記されているが、日本政府は認めていなかった。内容はドルから円への沖縄通貨切り替えに伴い、日本銀行が最低6千万ドルを無利子で25年間、米連邦準備銀行に預け、米側に1億1200万ドル相当の利益を供与すると記されている。
 今回の準備書面で、国は円に交換したドルを預金したことを初めて認めた上で、「無利子で預金したかどうかは不知」とした。秘密合意された25年を超えて米国に巨額の利益をもたらす預金が継続されていれば、沖縄返還密約をめぐる新たな政治問題となりそうだ。最終更新:12月2日11時15分
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沖縄密約「文書に署名した」 元外務省局長、法廷で証言
朝日新聞2009年12月2日
 1972年の沖縄返還の際に日米が交わしたとされる「密約文書」をめぐる情報公開訴訟で、返還交渉の責任者だった元外務省アメリカ局長の吉野文六氏(91)が1日、東京地裁(杉原則彦裁判長)に証人として出廷した。外務省の局長室で密約文書に署名したと証言。文書の内容については、当時の愛知揆一外相ら外務省幹部も「知っていたはずだ」と語った。
 交渉の当事者が密約の存在を公的に認めたのは初めて。法廷での証言後に記者会見した吉野氏は、密約の存在について「(政府は)もう認めるべきだ」と語った。
 外務省は現在、岡田克也外相の指示で(1)60年安保改定時の核持ち込み(2)朝鮮半島有事の戦闘作戦行動(3)72年の沖縄返還時の核持ち込み(4)沖縄返還時の原状回復費の肩代わり――の四つの密約の検証を進めており、来年1月に報告書を公表する予定。訴訟は、作家の澤地久枝さんら25人が原告となって今年3月に提訴し、(4)についての文書公開を求めている。
 吉野氏は法廷で、日本が米側に3億2千万ドルを支払うと沖縄返還協定に記されていることについて、この総額が積算根拠のない「つかみ金だった」と説明。そのうえで、協定では米側が「自発的支払いを行う」とされた土地の原状回復費400万ドルについて、本来は日本側が負担する必要がないのに、この総額の中に含まれ、日本が肩代わりする密約があったことを認めた。
 また、沖縄にあったラジオ放送「アメリカの声(VOA)」の中継局の国外移転費1600万ドルについても総額に含まれていたと明言。こちらも日本が秘密裏に負担する密約があったと認めた。
 吉野氏は、密約を記した米公文書が相次いで公開されたため、「いつまでも秘匿できないという心境になった」と話した。
 国側はこれまで法廷で「文書は保有していない」と繰り返してきたが、外務省の調査を受けて、この日は一転して密約の存否や文書の有無などについての認否を留保。「調査を踏まえて主張、立証を考えたい」と説明した。(川端俊一、谷津憲郎)
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沖縄密約国賠訴訟 2審も西山元記者敗訴 密約存在触れず
 


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