あしたのねこ 大型本 – 2006/6/1
きむら ゆういち (著), エム ナマエ (イラスト)
この絵本について
(部分、書き写し)
「僕、この本好き」
インクルーシブ(包み込む)という概念が広がっています。
インクルーシブ教育は障害のある子もない子も共に学ぶこと。国の有識者会議が本年度、今後の方向性を提言します。大分県別府市は障害者もお年寄りも「誰ひとり取り残さない」インクルーシブ防災に先駆的に取り組んでいます。体が不自由な子も遊べるインクルーシブ公園、音の鳴るボールなどを使ったインクルーシブスポーツも普及しつつあります。
彼らのことをいろいろ調べるうち、教育者、多賀一郎さんの著書で、絵本「あしたのねこ」(きむらゆういち作)に出合いました。
しっぽが曲がり、変な声で鳴く子猫は一匹だけ、もらい手がありません。母親から言われた「気持ちだけは、いつもあしたを見てるんだよ」の言葉を胸に、つらい日々を懸命に過ごします。最後は命の危険にもさらされますが、自分の存在に気付いてくれた人がいることを知り、それだけで生きる力がわいてきて、子猫はあしたに向かって「ニャア」と鳴くのです。
この絵本を、多賀さんの知り合いの教諭が、小学二年生に読み聞かせをしたところ、いつもは落ち着いて授業を受けられない男の子がずっと黙って聞いていて「僕、この本好き」と言ったそうです。
この子も、言葉には出せなくとも、おそらく何度も傷つき、そして周りの優しさに救われてきたのでしょう。彼らのことをもっと理解したい−。その先に、誰もが互いに認め合えるインクルーシブなあしたが来るのではと思います。
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
ーーーーーーーーーー