乳児噛み殺し事件2017/3/9 なぜ従順なレトリバーが乳児を

2017-03-25 | 社会

乳児噛み殺し事件 従順なレトリバーが凶暴化する5つの引き金
デイリー新潮 3/25(土) 8:00配信
 東京・八王子市で、大型犬が乳児を噛み殺した“事件”は、全国800万と推計される愛犬家世帯を慄然とさせた。その犬種とは「ゴールデンレトリバー」。「従順で利口」の代名詞とされる人気犬だったからだ。「赤子」に狂暴な牙が向けられた「引き金」とは――。
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 自らもゴールデンレトリバーを飼育する俳優の津川雅彦さんが、「信じられない。その一言しかないね」と言うように、これが愛犬家の間で衝撃を持って受け止められたのは、何より、“加害者”がゴールデンレトリバーだったから。「飼いやすい犬」として知られ、例えば、「愛犬の友」編集部がまとめた『決定版 ゴールデン・リトリーバーと暮らす』には「性格」の説明に、〈従順で、利口で天賦の作業能力を備える。優しく、友好的で、自信に満ちている〉とある。
  それゆえ、盲導犬、警察犬の仕事もするばかりか、高齢者や障害者と触れ合う「セラピー犬」の役割も果たしているのだ。
  大型犬としては人気は不動のナンバー1。その「優しさ」は子どもに対しても同様だそうで、前掲書には、こんな説明もある。
 〈子供に対しては力を加減しながら、ときにじっとガマンしながら、包容力をもってつきあいます。手荒く歯を立てることもないし、子供を獲物に見たてて攻撃する心配もありません。むしろ、子供を危険から守ったり、異変があれば大人に知らせてくれる頼もしい存在。子守役ともいえるほどの安心感があります〉
  今回の事件と比較してみて、あまりに対照的だが、では、なぜ「頼もしい」はずの犬は大事な乳児の命を奪ってしまったのか。一体、何が引き金を引いたのか。
■恐怖、嫉妬
 まず、
 「当該の犬が抱いた不安や恐怖が噛み付きを誘った可能性があります」
  と言うのは、「野村動物病院」の野村道之院長である。
 「レトリバーを含め、本来は感情をコントロールできる犬でも、突発的に攻撃衝動を得る状態というのがある。これは条件が揃えば、どんな犬でも程度の差こそあれ、起こる可能性があるのです」
  今回の場合、何が不安や恐怖のキッカケになったか定かではないが、
 「赤ちゃんは二足歩行ではなく、四足でハイハイし、時折奇声を上げたりする。変った生き物が入り込んできたら、時と場合によっては、怖がることもあるかもしれません」
  と言うのは、「遠藤ドッグスクール」の遠藤暁彦トレーナーだ。
 「あるいは、普段自分を可愛がってくれるおじいちゃんやおばあちゃんが、今日に限っては、その生き物を可愛がる。それに嫉妬をして噛んでしまったという可能性もないことではないと思います」
  とりわけ人の気持ちを察する犬だけに、負の感情にも敏感というワケなのだ。
 「私が気になったのは、飼い主さんの“うちの犬は臆病で……”という言葉です」
  と、遠藤氏が続けて別の要因について指摘する。
 「あくまで一般論ですが、『臆病な犬』というのは、社会性に欠ける面が多い。もしかすると、飼い主さんは可愛がる一方で、子犬の頃に身に付けるべき社会性をマスターさせることが出来なかったのではないか、とも推測できるのです。世の中には赤ん坊からお年寄りまで、さまざまな人がいて、可愛がってくれる人もいれば、そうでない人もいる。一般に社会性が低い犬は、テリトリー意識が非常に強く、そこへ赤ちゃんが入ってきたがゆえの事件だったのかもしれません」
■習性のままに
 もっとも、祖父母の近所の住民に話を聞くと、
 「昔から複数の犬を飼い、厳しく躾けていた」
 「犬についてはプロはだしで、他の飼い主にアドバイスをしていたほど」
  などの証言もある。
  ゆえに、狂暴化とは離れたところに「引き金」を見るのは、言わずと知れた元人気歌手で現在は犬のしつけ教室「AFC」主宰。「優良家庭犬普及協会」専務理事も務める佐良直美さんである。
 「普段それほど見慣れていない、ミルクの匂いのする生き物がテリトリーに入ってきた。興味本位で思わず咥えてしまったというのが実態かもしれません」
  問題は、その「場所」だという。
 「レトリバーというのは、もともとイギリスで水鳥の猟犬として開発された犬。ハンターが撃った鳥を、水辺で咥えて運んでくるのが仕事で、レトリーブというのは『回収』の意味なのです。ですから、レトリバーは旧来の習性のままに、軽く噛む時も運びやすい頭を噛んだ」
  それが場所が場所だけに、致命傷になってしまったとも想像しうるのだ。
  さらには、今回のケースとは少し離れるが、と前置きをして、
 「稀に精神的に疾患をかかえた犬がこうした攻撃性を示す」(専門家)
  との指摘もあるのである。
  元東京高検検事で、弁護士の川口克巳氏によれば、
 「本件でお母さんが自分の両親に厳罰を求めることはないでしょうから、当局もそれを十二分に考慮し、祖父母を重過失致死罪で立件しておいて、罰金で済ませる、あるいは不起訴にして、注射済票を着けなかったなどの、別の形式犯の罰金で済ませるといった処置になるのではないでしょうか」
  と言うから、2人が重罰を受けることはなさそうだが、それにしても、この祖父母が、残りの人生に重過ぎる十字架を背負ってしまったことは間違いない。
■愛犬家への教訓
 翻って、では全国に数多いるゴールデンレトリバー愛好家への教訓は何か。
  専門家が口を揃えて言うのは、「どんなにレトリバーがおとなしくても、100%の安全はない」ということだ。上記に触れた5つの「引き金」も、いずれも身近に起こりうることばかり。
  先の佐良さんは、
 「小さな子どもがいる時は万が一のことを考えて、ケージの中に入れておくべき。いくら可愛い犬だからと言って、犬を信用し過ぎるのは厳禁です」
  これを受けて前出の遠藤氏も言うのだ。
 「レトリバーは、後ろ足で立てば120~130センチ程度になりますから、少なくとも小学校の3~4年生以下の子どもがいたらケージで飼うべきです。あるいは事前にお子さんの匂いの付いたタオルをかがせるなどの“準備”が必要だったのではないでしょうか。どうしても、飼い主は自分の犬に対しては甘くなってしまうのです」
  愛犬ブームの一方で起きた悲劇の教訓は、犬が獣であり、凶器になりうるという、ごくごく当たり前だが、見落しがちな事実。
  しかしその代償として一家が見た現実は、あまりに重いと言わざるを得ないのだ。
 特集「なぜ大事な乳児を噛み殺したのか? 800万『愛犬家世帯』が慄然! 
 従順な『レトリバー』が狂暴化する『5つの引き金』」より
 「週刊新潮」2017年3月23日号 掲載

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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放し飼いレトリバーが乳児を…犬好き一家の悲劇
 一家に生まれた赤ん坊と触れ合いたいゴールデンレトリバー。しかし、近寄る度に大泣きをされる。見かねた飼い主がライオンのタテガミの被り物をプレゼント。それを付けると、幼児は笑って手を伸ばした――。
 世界中で話題を呼んだアマゾンのCM。レトリバーの「人との親和性」を改めて知らしめるものだったが、それを覆す事件の“現場”は、東京・八王子市の中心部から車で20分ほど。斜面を切り開いて造られた住宅地の中に位置する、60坪ほどの大きさの一軒家である。
 注意深く見れば、玄関脇の雨どいには「猛犬に注意!!」と書かれたステッカーが貼られており、自家用車の窓には犬型のステッカーが。複数ある車止めの縁石も、犬の形のそれだ。
 ありふれた愛犬家一家の光景。それが“一転”した悲劇の3日後、インターホンを押すと、被害者の祖父であり、加害者ともなった家の主がドアをわずかに開け、
「気持ちの整理がまだ付いていないので、勘弁してください。すみません……」
 と述べると、ドアを閉じた。後ろでは、キャンキャンと吠えたてる犬の鳴き声が響いていた。
■“加害者”は…
「これほどやりきれない事件は珍しいと思いますよ」
 と全国紙の社会部記者が言うこの「噛み殺し」事件。発生は3月9日の夕刻のことだった。
 犠牲となったのは安田翠(みどり)ちゃん。祖父母宅から車で20分ほど、同じ市内のアパートに母親と暮す10カ月の女児だ。木曜日の朝、いつも通り保育園に預けられた翠ちゃんは、程なく発熱。仕事中の母親は、引き取りを父母(翠ちゃんの祖父母)に頼んだのである。
 記者が続ける。
「お母さんはシングルマザーで、普段から祖父母に引き取りを頼んでいたそうです。その日も祖父母は孫娘を連れて帰り、家の1階リビングで遊ばせていた。この家は、小型犬2匹と秋田犬、そして、大型犬のゴールデンレトリバーの計4匹を飼っていました。部屋の中にはケージがあるものの、レトリバーは放し飼いにしていたそうです……」
 16時半。一瞬の出来事だった。リビングをハイハイして進む翠ちゃん。そこに横からレトリバーがいきなり入り込み、翠ちゃんの頭にガブッと噛み付いたのだ。
「慌てておばあちゃんが“ダメよ!”と言うと、犬はすぐに翠ちゃんを離したそうです。しかし噛まれた場所が場所で出血も見られた。すぐに祖父が119番通報し、翠ちゃんは近くの病院に搬送されました」
 レトリバーは4歳のオス。人間にして30歳前後といったところだろうか。体重は40キロ弱。体高は50〜60センチ。一方の翠ちゃんは平均的な発育であれば、体重8キロ、身長は70センチといったところであろう。自分より5倍も重い獣に噛み付かれた翠ちゃんの危機は明らかだった。
「搬送された時はまだ息はありましたが、2時間後に病院で息を引き取った。死因は出血多量か外傷性ショックと見られています」
 祖父母にとって、翠ちゃんは大切な孫だったという。10カ月と言えば、ハイハイもだいぶ速くなり、つかまり立ちも始まる時期。日々はっきりと見える成長が嬉しくないはずはなかろうが、それが一瞬にして断ち切られたばかりか、自らは警察の捜査対象の身となってしまったのである。
「所轄の南大沢署が捜査を開始。過失致死、あるいは、重過失致死での立件を視野に入れていると思われます。取り調べに祖父は“むしろ臆病な犬だった”“吠えたり噛んだりもしなかった”と述べています。一方、“加害者”のレトリバーは南大沢署に預けられ、処置を待つ身となっています」
 被害者感情を考えれば、「殺処分」もあり得ると、さる専門家は言う。

 特集「なぜ大事な乳児を噛み殺したのか?800万『愛犬家世帯』が慄然! 従順な『レトリバー』が狂暴化する『5つの引き金』」より
 週刊新潮 2017年3月23日号 掲載  ※この記事の内容は掲載当時のものです

 ◎上記事は[デイリー新潮]からの転載・引用です
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〈来栖の独白〉
>“加害者”のレトリバーは南大沢署に預けられ、処置を待つ身となっています」
 被害者感情を考えれば、「殺処分」もあり得ると、さる専門家は言う。

 最も恐れている状況。レトリバーを助けてやってほしい。
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飼っていた大型犬に噛まれ、生後10か月の女児死亡 2017/3/9
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◇ 主かばい盲導犬事故死 「サフィー、歩くから応援してね」 盲導犬事故死で主人の熊沢さん 
サフィー「盲導犬は視覚障害者の目の代わりとなり、精神的支えともなる。単なる歩行補助具ではない」
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2 コメント

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おはようございます。 (ベル)
2017-03-28 09:30:51
犬を加害者扱いして警察署に置いててもダメですね ストレス溜まってそれこそ神経質になってしまう
私も孫と一緒に遊ばせてるので人事ではないんですけど犬と一緒に遊ぶことで孫が学ぶこと身につくことのほうがはるかに多いですから遊ばすことを止める気ありませんけど
当事者の犬は可愛そうです。
原因は私が思っていたのとほぼ同じことのようなので特別な子ではないと思います
犬種特有の癖ですね
早く解放され別の場所で飼われることを望みます。
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コメント、ありがとうございます。 (ゆうこ)
2017-03-28 12:21:20
 ベルさん。
 前回の記事、コメントでベルさんがおっしゃっていたとおりですね。
>当事者の犬は可愛そうです。
>早く解放され別の場所で飼われることを望みます。
 まったく同感です。助けてほしい。
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