一番痛い死に方 くも膜下出血は意識なくなるまで激痛続く
2016年8月9日 16時0分 NEWSポストセブン
くも膜下出血の痛みは強烈
人は死に至るさまざまな病名を知っているが、実際にそれらがどれだけの痛みを伴うのかは、なった者でなければわからない。究極的に言えば、死ぬ瞬間の痛さは死んだ者にしかわからないということになる。
それでも、遺された家族、間近に診てきた医師や看護師、そして九死に一生を得て生還した患者らの証言によってその手がかりを知ることはできる。死ぬ瞬間、一番痛い死に方は何だろう。
「夫がトイレに行こうと、リビングのソファから立ち上がった瞬間、“痛い!痛い!”と叫び、驚いた表情で背後を睨みつけたんです。すぐに苦悶の表情を浮かべて“あぁーッ痛い、痛い、痛い、痛い!”と叫んだかと思うと、そのままうずくまって黙りこんでしまった。何が起こったのかわからず、“大丈夫?”と声をかけるしかできなかった。異変に気づいて救急車を呼んだのですが、それから2週間後、夫は亡くなりました」
昨夏、夫をくも膜下出血で亡くした宮本敏子氏(60・仮名)は、今も亡夫の最期の表情が脳裏に焼き付いているという。救急救命士で帝京平成大学健康メディカル学部の鈴木哲司・准教授が解説する。
「くも膜下出血は強烈な痛みを伴います。金属バットで後頭部を思いきり殴られたような痛みと表現する人もいるほどです。誰かに殴られたのかと思って背後を睨みつけた、というのも決して大げさではないでしょう。痛みに加えて吐き気や寒気も襲い、意識を失うまでその痛みはずっと続きます」
年間11万人以上が命を落とす脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)の約1割を占めるのが、くも膜下出血だ。
原因の9割は脳動脈瘤の破裂によるもので、発症すると約3分の1の人が亡くなると言われる。
同じく強烈な痛みを持ち、医療関係者も恐れるのが急性心筋梗塞である。心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まり、血流がストップして心筋が壊死してしまう病気だ。前出の鈴木准教授が語る。
「救急医療の現場で多くの搬送を見てきましたが、患者が最も苦しそうにしていたのが急性心筋梗塞です。多くの患者がその苦痛を、“バールのようなもので胸を思いっきり叩かれたような痛み”や“熱した鉄棒で(心臓のある)左胸を抉られる感じ”などと表現していました。実際、手足をバタつかせ悶え苦しみながら搬送中の救急車内で心肺停止に至ったケースもあります」
鈴木氏によれば、激しい痛みに加え、吐き気や呼吸困難を伴うことも多く、亡くなる人の半数以上は、発症から1時間以内に死亡しているという。
※週刊ポスト2016年8月19・26日号
◎上記事は[livedoor・NEWS]からの転載・引用です
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くも膜下出血と急性心筋梗塞 死ぬ時はどのくらい苦しいか
2016.01.29 07:00
誰しも安らかに逝きたいと願うもの。また、愛する人や親しい人には、どうか苦しまずに旅立ってほしい。しかし、「死ぬ瞬間」に感じる辛さはその死因によって残酷なまでに異なると米山医院院長の米山公啓医師が指摘する。
「医療技術は格段に進歩しましたが、激しい痛みや苦しみを伴って亡くなるケースはまだあります。残念ながら、死に至る苦痛は平等ではないのです」
死ぬ瞬間、人はどのような辛さを感じるのか。まずは日本人の死因の上位を占める脳卒中と急性心筋梗塞を見てみよう。
脳梗塞や脳出血などの脳卒中(脳血管疾患)の一種で、とくに激しい痛みで知られるのがくも膜下出血だ。3年前に発症したAさん(58)が当時を振り返る。
「最初は突然、足に力が入らなくなり、思わずしゃがみこむと後頭部をガーンと思い切りハンマーで殴られたような衝撃を感じた。これまでの人生で経験したことのない痛みでした。次第に激しい吐き気を感じたかと思えば、今度は寒気が襲ってきて、その場から一歩も動けなくなりました」
すぐ病院に搬送されたAさんは幸いにして一命を取り留めた。しかし、そのまま死に至ってしまうケースが少なくない。医療ジャーナリストで医師の森田豊氏は、「くも膜下出血を発症された方の3分の1近くが亡くなられている」という。
「元気だった人が突然、頭を押さえて表情を歪め、そのまま亡くなることも多い。ほとんどのケースで予兆がなく、いきなり症状がやってきます。この病気は脳内の狭いスペースで出血するから、痛みが圧縮されて激痛となる。じわじわした痛みではなく、唐突に生じる痛みです。あまりの衝撃に苦悶の表情を浮かべたまま、気を失う患者もいます」
救急救命士で帝京平成大学健康メディカル学部の鈴木哲司准教授は救急医療システム学が専門で救急医療の最前線を経験している。そんな鈴木准教授が生死の懸かった現場で患者が「辛そう」だと感じたのが急性心筋梗塞だ。
「心臓に酸素や栄養を送る血管である冠動脈が突然詰まって血栓ができ、血流がストップして心臓が壊死してしまう病気ですが、多くの搬送を見てきた中で最も苦しそうでした。経験された方々は、“バットで思い切り胸を叩かれた感じ”、“熱した鉄棒を左胸のあたりに突き刺されたみたいだった”と口にしていた。手足をバタつかせてもがきながら、救急車内で搬送中に心肺停止するケースもありました」
重態の場合は発症から3時間以内に絶命するケースがほとんどで「それまでが治療のゴールデンタイムなので迅速な119番を心がけてほしい」と話す。
※週刊ポスト2016年2月5日号
◎上記事は[NEWSポストセブン]からの転載・引用です
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大腸がんで腸閉塞 腸から逆流した便のようなもの吐くことも
NEWSポストセブン 2016.08.16 07:00
【猛烈な苦しみを感じる病気も】
日本人の死因の多くを占める「がん」だが、その中にも「痛いがん」「苦しいがん」と「そうでもないがん」がある。それほど痛みを伴わないがんには肝臓がん、胃がん、膵臓がんなどがある。一方痛いがんの代表が前立腺がんだ。大腿骨や上腕骨、酷いケースでは頭蓋骨など、骨に転移しやすい特徴がある。
骨に転移すると痛みが激化する。骨の周囲は神経が束になっているため、腫瘍が浸潤すると、モルヒネによるペインコントロールが効きにくくなり、痛みが消せないのだ。
骨転移したがん患者は、寝返りのようにほんの少し体の向きを変えただけでも、悲鳴を上げるほどの激痛に見舞われることがある。また、骨が脆くなることで骨折し、痛みを倍増させるケースもある。
大腸がんも、腫瘍が腸管を塞いで腸閉塞を引き起こすと、猛烈な苦痛に苛まれるという。2000人以上のがん患者の相談に無償で乗ってきた「がん難民コーディネーター」の藤野邦夫氏が解説する。
「放置すると、便が出なくなり、嘔吐するようになります。この時、胃液など通常の吐瀉物でなく、腸などから逆流して便のようなものが口から出てくることがあるのです。肉体的な苦しさはもちろん、これを繰り返し経験すると、精神的に参ってしまう」
もう一つ、苦しいがんの代表格と言われるのが肺がんだ。特に肺の表面を覆う胸膜の炎症を併発すると、肺の内側に水が溜まり、取り込める空気の量が減る。いくら息を吸っても酸素が足りず、ずっと溺れているような呼吸困難状態が続くという。米山医院院長の米山公啓氏はこう語る。
「末期の肺がん患者になると、この状態が毎日続き、あまりの苦しさから、会話どころか体を少し動かすのさえ苦痛になります」
※週刊ポスト2016年8月19・26日号
◎上記事は[NEWSポストセブン]からの転載・引用です
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