秘密保護法「地元で丁寧に説明を」 首相が資料作成を指示
産経ニュース2013.12.17 12:55
安倍晋三首相は17日の自民党役員会で、機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に関し、党所属議員が国民に説明するための参考資料を作成するよう小池百合子広報本部長に指示した。
「地元で丁寧に説明してほしい。『霞が関文学』ではなく、党として手を加えて分かりやすい資料を作ってもらいたい」と述べた。
年末年始は国会議員が地元会合で支持者らに国政について報告する機会が多く、内閣支持率急落の原因になっている秘密保護法への理解を求めるのが狙い。資料には安倍内閣の成長戦略など政策全般の見解も盛り込む方向だ。
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◇ 総理記者会見 「サード・パーティ・ルールを確立していなければ、外国から情報を得ることはできない」 2013-12-09 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◇ 安倍晋三首相 特定秘密保護を語る/情報機関同士の情報提供には「サードパーティールール」があり… 2013-12-07 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
【単刀直言】安倍晋三首相 特定秘密保護を語る
産経ニュース 2013.12.7 12:00〉
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◇ 特定秘密保護法は治安維持法ではなく「スパイ防止法」/田中真紀子氏のような政治家に守秘義務 池田信夫 2013-12-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
◇ 秘密保護法=「スパイ防止法」=“スパイ天国”と揶揄される我が国の、安全保障に関する情報を守る法律 2013-11-27 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◇ 『動乱のインテリジェンス』著者(対談) 佐藤優×手嶋龍一 新潮新書 2012年11月1日発行 2013-06-27 | 読書
(抜粋)
p159~
■北朝鮮・イランの密やかな絆
手嶋 アメリカはイランと北朝鮮の「2つの核」への対応に根本的なジレンマを抱えています。地下水脈で、北朝鮮からイランへ、北朝鮮からシリアへと、核関連の技術が輸出されている。つまり、アメリカが北朝鮮に宥和的対応をとることは、イランの核を完成に近づけてしまいかねません。その最もシンボリックな例が、北朝鮮に密かに滞在していたイランの専門家チーム。2012年4月13日、北朝鮮がミサイルを打ち上げた際、「シャハブ3」の開発チームが間近でミサイル発射の模様を見守っていたのです。
佐藤 これは新聞では産経新聞が大きく書いています。つまり産経は非常にいい情報源を持っているということでしょう。
p160~
手嶋 確かな筋からのリークなのでしょう。記事には曖昧なところがありません。相当な自信を持って書いている。情報源の信憑性に疑問があれば、こんな記事にはなりません。
佐藤 「絶対に騙さないよ」という信頼関係があるのでしょう。確かなインテリジェンス筋からの情報提供に違いありません。
手嶋 ただし、掲載の仕方も絶妙の場所でしたね。1面では扱っていない。
佐藤 常識的に考えると、1面トップですよね。
手嶋 ニュース・バリューからいえば、そうでしょう。にもかかわらず、トップ扱いにはしなかった。利害関係をあまり刺激しないでおこうという意図が働いたのか。編集陣がニュースの軽重を読み間違えたのか。さてどちらでしょうか。興味深いケースだな。
佐藤 情報源とどこまで相談したかは別に、極度には目立たないように配慮しているのは事実ですね。最近、東京発の情報が軽んじられる傾向がありますが、本質的に東京は情報戦の主戦場なんですよ。今回、産経が扱った情報は、本来なら内閣情報調査室とか外務省の国際情報統括室組織で「極秘」のスタンプが押され、「サード・パーティ・ルール」が厳しく起用されるような極上なインテリジェンスですよ。
p161~
手嶋 「サード・パーティ・ルール」に関しては、北朝鮮のミサイル発射のところで詳しく触れることにしましょう。
佐藤 仮に金で情報を取るとするならば、これは3千万円とか5千万円とか、そういうペーパーの内容ですよね。
手嶋 そういう極秘のケースでは、メディアを使って、世界に知らせるという手法が用いられることがあります。2007年9月に、イスラエルが、シリア国内にあった核兵器関連とみられる軍需工場を空爆して完膚なきまでに破壊した事件がまさにそう。イスラエルのF16戦闘機を中心にした編隊が超低空で侵入して空爆を敢行したのですが、爆撃されたシリアも、攻撃したイスラエルも、沈黙を守ったままでした。やった側も、やられた側も認めたくない。こうしたケースでは、メディアに少しずつ情報を漏らし、それとなく国際社会に知らせる手法がとられます。その陰にはロンドンとワシントンの影がちらついている。
佐藤 この核工場が北朝鮮からそっくり輸出されたものだったことには驚きました。
p162~
手嶋 シリア産のデュラム小麦が核工場の代金にあてられたと言われています。アメリカもイスラエルも北朝鮮から中東への輸送船については、重大な関心を払っていますから、この疑惑の工場は、当初から厳重な監視下に置かれていました。その果てに、イスラエル政府は、アメリカ政府の抑止を振り切って、空爆に踏み切ったのです。
佐藤 攻撃はヨルダンの領空を侵犯しないとやれません。イスラエル空軍の通常のラインに関与させない特殊オペレーションだった可能性があります。
手嶋 イスラエルのシリア空爆の際には、当時のコンドリーザ・ライス国務長官が制止しようとしました。これに対して、モサドの工作員が工場の作業服を着て現場に侵入し、スモーキングガン、動かぬ証拠を掴んで、ワシントンに提示したと言われています。
佐藤 イラク戦争のときは、CIAはイラクに大量破壊兵器があると勘違いした。情報評価についてCIA内部でも意見が割れましたが、結果としてCIAは情報評価を間違えた。このシリアに関するモサド情報はそうじゃない。客観的な証拠を握っていました。
p170~
■サード・パーティ・ルール
佐藤 だとすると、さきほどの情報の流れで言えば、自衛隊の部隊から防衛省へ、防衛省から官邸へという段階で、不具合が生じたことになる。ここで重要なのが、サード・パーティ・ルールなんです。直訳すれば「第三者に関するルール」。インテリジェンスで情報協力をするときは、これを必ず結ぶんです。例えば私が手嶋さんから何かの重要なインテリジェンス情報を聞いたとします。それを例えば野田さんというサード・パーティに伝えたいと思ったとします。その場合、「野田さん、ここだけの話ですが」と言って、耳打ちをして伝えるのは禁じ手です。もしそれをやったということが知れたら、それが重要な情報か否かに関係なく、サード・パーティ・ルールに違反したということで、情報提供の線は今後切られてしまいます。
手嶋 インテリジェンス・コミュニティから放逐されてしまうわけですね。
佐藤 その通りです。サード・パーティ・ルールの縛りを解いて、第三者に情報を伝えるためには、情報を教えてくれた人物に了解を得なければなりません。中身をどこまで言っていいか、かつニュースソースも伝えていいのかどうか確かめて、「この範囲だったらいいよ」という明示的な返答をもらわなくてはいけない。
手嶋 サード・パーティの範囲は、情報の中身によって変わってきますね。
佐藤 外務省における通常のインテリジェンス記録なんかに関しては、外務省内と官邸にはこのルールは適用されません。サード・パーティじゃないからです。この枠内なら伝えて構わない。しかしそれ以外の、官邸を除く省庁に伝えるとき、あるいは第3国に伝えるときには、情報提供者の事前了承が要る。
p178~
■せめて猫のインテリジェンスを
佐藤 ただ、より高い視点から国益を考えるならば、サード・パーティ・ルールなどに縛られない、日本独自の情報を入手できる体制を早く整えなければいけません。ここは、準天頂衛星を打ち上げることも、真剣に検討する好機でしょう。
手嶋 今回の北朝鮮のミサイル発射をめぐるドタバタ劇から得られる教訓はいろいろあるのですが、独自情報を収集するシステムの確立は急務です。他人からもらったものは、必ず縛りがかかります。情報に同盟なし。国家を真剣に守ろうと思えば、情報収集の手段は自前で構築する必要がある。
佐藤 そのとおりです。サード・パーティ・ルールの存在を説いているのはそのゆえです。
手嶋 たしかに現在も日本の情報収集衛星は地球上を回っています。ところがわずか4個しかない。
p179~
佐藤 5個になれば、日本も確認できるわけですよ。ただ安全保障上は5個でもいいんですけれども、国内のセキュリティまで考えたらそれでも不十分。日本版GPSが必要なのであって、例えば徘徊老人がどこにいるかの情報が、現在の米国製GPSだと6メートルずれることがあるので困る。正確なシステムが必要だという四論を形成して、とにかく準天頂衛星を7つ上げるのです。(略)
手嶋 日本は戦後長く、牙は持たない戦略できた。ウサギはオオカミのように牙はないわけですけれども、長い耳という武器がある。しかしその耳も、GPSがない現状では長いとは言えないわけですね。 *強調(太字・着色)は来栖
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