産経ニュース 2017.6.2 22:18更新
【国連反日報告】デービッド・ケイ氏の背後に“人権団体” 中立・公正に疑問符
国連人権理事会の特別報告者、デービッド・ケイ氏は、上智大学での記者会見に先立ち、国会内で講演した。講演を主催したのは、国連の関連イベントなどで慰安婦を「性奴隷」と宣伝する人権団体「ヒューマンライツ・ナウ(HRN)」。ケイ氏は会見で自身が中立・公正な立場であることを強調したものの、日本政府には同氏とHRNのような組織との関係を懸念する声がある。
ケイ氏は記者会見で「政府に敵対的なわけではない」と述べた。一方、HRNは公式サイトで「意に反して『慰安婦』とし、監禁して性奴隷にしたことが重大な人権侵害だ」と事実と異なる記述をしている。
政府はケイ氏が昨年4月に来日して以降、「報道の独立の危機」や「歴史教科書への政府の介入」など同氏が問題視する点について、事実誤認を改めるよう求めてきた。ケイ氏の報告書に法的な拘束力はないが、1996年には特別報告者のクマラスワミ氏が慰安婦を性奴隷と位置づける報告書を提出し、韓国政府や日本の活動家に利用された経緯があるためだ。
5月29日付で公表された報告書草案について、日本政府関係者は「昨年4月に公表した予備的報告書のように『報道の独立が深刻な脅威に直面している』と断言する箇所はなくなったが、放送法などについて事実誤認が多い」と指摘する。これに対し、ケイ氏は記者会見で、日本政府の指摘を「解釈の違い」として、切って捨てた。
また、ケイ氏は会見で、情報の取捨選択や解釈に関して野党や市民団体の見解を偏重した可能性を聞かれると「ない」と否定。2日に出席した自民党の会合では、共産党の見解との近さを指摘されると「共産党に知り合いはいない」と抗弁した。ただ、会見では「野党の人やマイノリティーの権利をどう守るかだ」と強調した。
ケイ氏の報告書が安倍晋三政権に対する攻撃に政治利用される可能性を問われると「(表現の自由に関する)憲法21条が改定されれば心配だ」と自民党の憲法改正草案を批判して、はぐらかした。(杉本康士)
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
――――――――――――――――――――――――
産経ニュース 2017.6.3 18:00更新
【杉田水脈のなでしこリポート(28)】デビッド・ケイ氏はヒューマンライツ・ナウとべったりでした… 沖縄反基地は実態見ず報告書
6月2日に自民党本部で行われた「表現の自由」国連特別報告者とのヒアリング・意見交換に参加しました。会場に入ると藤木俊一さんや山岡鉄秀さん、産経新聞の阿比留瑠比論説委員もいらしてホッとしました。
まず驚いたのは参加者が少ないことです。主催者である原田義昭、長尾たかしの両衆院議員を除くと議員の参加者はたったの6人。参議院の本会議と重なってしまったので参議院議員の方々が参加できなかったのは分かりますが、自民党の衆議院議員は288人もおられるはずなのに…。
さて、国連人権理事会から特別報告者に任命された米カリフォルニア大のデビッド・ケイ教授の国連報告書のポイントは次の通りです。
(1)メディアの独立
・放送法第4条を見直し及び撤退するとともに独立した放送メディア規制機関の枠組みを進展させること。
・沖縄における軍関連活動。原子力事業と災害の影響。第二次世界大戦における日本の役割といった機微な問題を取材する報道関係者に対する支援に注意が払われること
(2)歴史教育・報道への介入
・学校教材における歴史問題の解釈に介入すべきではなく、戦時週に日本が関わった出来事に特に留意しつつ、これらの深刻な犯罪について国民に知らせる努力を支援すること。
・慰安婦問題を含むかこの重大な人権侵害にかかる公開情報を検証していくため、「真実の権利」国連報告者の訪問招請を検討すること。
(3)選挙キャンペーンとデモ
・公職選挙法中の政治キャンペーン活動に対する不均衡な制限に係る状況を撤廃することで、同法が国際人権法に沿ったものとすること。
・沖縄での抗議活動への圧力を懸念。国民に不均等な処罰が科されたり、公共再作に反対表明する自由を侵害されずに抗議や取材を行えるよう、法執行機関があらゆる努力を行うこと。
(4)特定秘密保護法
・特定秘密保護法に関し、報道関係者を委縮させないよう改正すること、報道関係者・国家公務員も国家安全保障を危険にさらさない交易のための情報開示では罰されない例外規定を盛り込むこと、独立した監視機関を設置すること。
(5)差別とヘイトスピーチ
・広範に適用可能な反差別法を導入すること。
会合では、まずケイ氏が、報告書の趣旨説明を行いました。
「日本は表現の自由が非常に高いレベルで守られている国である。それには大変感動している。私の報告書はその思いをもとに書いたものである」
ケイ氏は何度もこう強調しました。
ある議員が「これはあまりに偏っている。日本には報道に対する圧力はない」と説明しましたが、ケイ氏は「私は日本は表現の自由が確保された国だということを基底にして報告書を書いている。それが伝わらないのは悲しい」と言い返す始末です。
また、「どこの団体または個人から情報を得たのか?」「その団体や個人を紹介したのはどういうルートなのか?」という質問に対しては言葉を濁して明確に答えてくれませんでした。
ただ、質疑を通じて、ケイ氏が沖縄の基地反対活動を見ずに報告書を書いたことが明らかになりました。
原田氏は「沖縄の弾圧と言われているのは危険行為をしたものを保護しているだけ」と指摘しました。長尾氏も「抗議活動の自由は守られているが、不法行為や危険行為を伴うときは法に則って対処するのは当たり前じゃないか」と発言しました。
私も慰安婦問題について質問したかったのですが、質問者は議員に限られていた上、時間が限られていたため、かないませんでした。
私は、その足で衆議院第2議員会館で行われたヒューマンライツ・ナウ主催の「国連表現の自由 特別報告者 デビッド・ケイ氏を迎えて」に参加しました。
こちらは大入り満員で、開始ぎりぎりに到着した私は立ち見でした。福島瑞穂参院議員ら国会議員だけでなく、「アイ アム ノット あべ」で有名な元経済産業省の古賀茂明氏も前の方に座っていました。
ヒューマンライツ・ナウ代表の伊藤和子弁護士の司会で始まったこの会合も、ケイ氏の報告書の概要説明から始まりました。ですが、さっきの会議とニュアンスが違います。
「日本は表現の自由が守られている国だ」から入ったのは同じですが、「それが危機に反している」と記者クラブの体質を批判し、メディアの独立性に疑問を呈しました。先ほどの集会ではそんな発言はなかったのに…。
その後は質疑応答が行われました。午前中の会合と同様に取材源を問う質問がありましたが、やはりそれには答えないまま。途中からは共産、社民両党の国会議員の質問を優先して受け付けるようになりました。私も挙手しましたが、当ててもらえませんでした。そして最後は飛んでもない質問が飛び出しました。
「安倍総理に有利な記事を書くジャーナリストがレイプ事件を起こしたが、そのことをマスコミはほとんど報道しない。それは官房長官が警察のトップに言って圧力をかけたからだ。このことをぜひ国連の報告書に載せてほしい。」
男女二人が「安倍が」「山口が」と不敬にも呼び捨てにして汚い言葉でののしりました。
ケイ氏は「よく知らないが、少しは報道されているようですね。もっと報道されるようにする必要がありますね」と回答しました。
質問のレベルのあまりの低さに開いた口がふさがりません。それを言うなら前川前事務次官の出会い系バー通いはどうなるのでしょうか。
会合終了後、ケイ氏と名刺交換した際、こう問いかけました。
「午前中、自民党の会合で沖縄の反基地活動の真実を聞いたと思います。これをどのように国連報告書に反映しますか?」
ケイ氏は回答しようとしたのですが、すぐさまスタッフが横から飛び出し、「時間ですので。次は上智大学で記者会見があります」と告げて、ケイ氏を引っ張って行ってしまいました。上智大学でのケイ氏の記者会見については産経新聞に詳細が載っています。
この会合に出席して感じたのは、ヒューマンライツ・ナウをいう団体、特に伊藤和子氏とケイ氏はツーカーの仲だということです。とても親密な雰囲気でした。
以前、別の特別報告者が「日本の女子高生の30%(後で13%に修正)が売春をしている」と国連に報告しましたが、この情報を提供したのは伊藤和子氏ではないかと言われています。今回のケイ、伊藤両氏の雰囲気を見て、国連人権委員会とヒューマンライツ・ナウの親密さを改めて思い知りました。
* * *
政府はこのケイ氏の報告書に対して反論文を出しています。ケイ氏は「政府も反論も僕の報告書と並んで国連のホームページに載る。後はそれを見た人が客観的に判断すればよい」と言いました。
ここですでに相手の思うつぼです。拙著「慰安婦像を世界中に建てる日本人たち」の中で詳しく説明していますが、国連は敗戦国や発展途上国の政府は「悪」、市民は「善」という考え方です。市民は圧政に苦しむ犠牲者です。ですから、私が出席した女子差別撤廃委員会でも政府の意見は完全に無視し、NGOの言い分ばかり取り上げるのです。
ポイントは次の3つです。
(1)過剰な国連信奉を改める
いくら言っても政府の意見が通らないのであれば相手にするだけ無駄です。現に各委員会に政府代表団を50人程度派遣しきちんとした対応をしているのは日本くらいです。他国は1人か2人を派遣し、適当にあしらっています。政府の主張を否定するのであれば、米国のように分担金を止めるのも辞さないという姿勢で臨むべきです。
(2)日本で人権団体と名乗るのはは「人権ビジネス」で金儲けのためにやっていることを広める
他国と比べて日本人の人権は手厚く守られています。基本的人権の尊重が徹底しているので、人権を踏みにじられたり差別されている事例はないに等しいと言ってよいでしょう。にもかかわらず人権侵害を強調する人や団体は、いわゆる「人権屋」であり、利権ビジネスであるということを国際的に発信することが必要だと思います。
(3)保守系の真実を語る民間団体を育てる
国連は民間人(NGO)の主張にしか耳を傾けないのですから、今後も国連と付き合いを続けるのなら、真実を語る保守系NGOを育てることが重要です。外務省が反日的な考えを持った委員を国連に送らないよう監視する必要もあります。
原田、長尾両氏にも「国連について戦略転換しなければなりません」と申し上げました。今後もずっと国連(特にジュネーブ)の動きに目を光らせていかなければならないと痛感しています。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
――――――――――――――――――――――――
◇ 国連特別報告者デビッド・ケイ氏(2016/4/12~19 日本訪問)とは何者なのか 実態と乖離した報告
――――――――――――――――――――――――
◇ 「名張毒ぶどう酒事件」奥西勝死刑囚=日本の刑事司法制度の犠牲者 伊藤和子弁護士 2010-04-08
...........