福岡地裁:死刑囚を尋問へ 冊子閲読巡る国賠訴訟で
毎日新聞 2015年04月15日 12時33分(最終更新 04月15日 12時33分)
死刑執行室の写真が載った冊子の閲読を拘置所が認めなかったのは違法として、再審請求中の尾田信夫死刑囚(68)らが国家賠償を求めた訴訟で、福岡地裁が尾田死刑囚への本人尋問を決めたことが、弁護人への取材で分かった。収監先の福岡拘置所で非公開で実施される予定。刑事裁判ではオウム真理教元信者の地下鉄サリン事件などの審理で元教団幹部の死刑囚6人が証人尋問されたが、民事訴訟での死刑囚の尋問は異例。
尾田死刑囚は1966年に福岡市の電器店「マルヨ無線」で店員1人が焼死した強盗殺人放火事件で死刑が確定したが、放火について無罪を主張し、現在、7度目の再審請求をしている。
訴状によると、問題となったのは死刑制度廃止を訴える市民団体が発行した冊子で、東京拘置所の死刑執行室の写真1枚が掲載されていた。再審請求の担当弁護人が2010年10月、福岡拘置所に冊子を郵送。拘置所が写真を問題視し削除に同意を求めたが、尾田死刑囚が拒否し冊子の閲読は許可されなかった。
原告側は12年、「冊子や写真は再審請求の資料として差し入れており、弁護人との秘密交通権を侵害する」として、国に計660万円の損害賠償を求め提訴した。国は「写真を見れば心情が乱れ、自殺や死刑執行の妨害を図る恐れがある」と反論している。
原告側は尾田死刑囚から直接、精神状態などを確かめる場として尋問を申し出ていた。【山本太一】
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