元特捜検事に懲役3年、大阪地裁判決 9千万円詐取
2009年7月17日 中日新聞朝刊
依頼者からの預かり金9000万円を詐取したとして、詐欺罪に問われた元特捜検事で元弁護士田中森一被告(66)の判決で、大阪地裁は16日「専門知識を悪用した」と、懲役3年(求刑懲役6年)を言い渡した。
判決理由で和田真裁判長は「経営に関与していた会社の資金繰りに困り、切迫した支払いに充てようと犯行に及んだ」と指摘。「被害者が『すご腕の弁護士』と信頼していたのを良いことに、巧みに信じ込ませた。身勝手で同情の余地は乏しい」と述べた。
田中被告は「金は弁護士報酬の担保だった」と無罪を主張していたが、和田裁判長は「不自然で信用できない」と退けた。弁護側は即日控訴した。
判決によると、田中被告は2002年10月、出資法違反事件で福岡県警の家宅捜索を受けた元社長から弁護を依頼された際、「あなたが金を持っていることが警察にばれたらまずい」とうそを言い、現金9000万円をだまし取った。