不俱戴天

2024-04-16 | 文化 思索 社会

中日春秋
 2024年4月16日(火曜日)
 不俱戴天(ふぐたいてん)。俱(とも)に天を戴(いただ)かず、つまり一緒に天下を生きない意で、不俱戴天の敵は、それほど憎い敵をいう
▼中国の礼(らい)記にある「父の讎(あだ)は与(とも)に共に天を戴かず。兄弟の讎は兵に反(かえ)らず。交遊の讎は国を同じくせず」から。父の仇(かたき)はこれと共に天を戴かず必ず討ち、兄弟の仇を討つには武器を取りに引き返さない、すなわち武器を携え見つけ次第討ち、友人の仇とは同じ国に住まない、すなわち同じ国にいれば討つとの意という▼中東の仇敵(きゅうてき)同士の応酬である。イスラエルが在シリアのイラン公館を攻撃したと伝えられていたが、イランもミサイルや無人機でイスラエルを攻撃した。イスラエルは迎撃にほぼ成功したが、反撃を検討するよう。もしも本格交戦に至れば産油地帯も火の海になりかねない。▼45年前、革命でイランの親米政権が倒れ、イスラム教シーア派聖職者を頂点とする政権が生まれ聖地エルサレムを支配するユダヤの国を敵視。両者の緊張は続いたが、これまでは直接の本格交戦は避け、互いに不本意としても倶に天を戴いた。自制は終わるのか。日本を含む各国の働きかけが問われる。▼礼記には「四郊塁多きは、此れ卿大夫(けいだいぶ)の辱(はじ)なり」ともある。都の郊外に堡塁(ほうるい)が多いのは内治外交がまずいからで、政治に携わる者の恥だという意という▼戦乱の多い中東だが、堡塁の類をこれ以上増やすのは世界の指導者の恥でもあろう。
2024.4.16

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


堡塁 - Wikipedia


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