前科12犯のホームレス 出所しても「うれしくない」 2017/6/19

2017-06-19 | 社会

前科12犯のホームレス 出所しても「うれしくない」
朝日新聞デジタル 2017/6/19(月) 11:31配信 朝日新聞デジタル
 刑務所を出た2日後に自転車を盗んだホームレスの男性(68)に京都地裁は先月、懲役2年2カ月の実刑判決を言い渡した。だが、男性は、刑務所に戻ることが苦にはならないと話す。自分を待つ人も行き場もなく、出所を喜んだこともないという。
  4月末の初公判。被告人質問に立つ女性検察官の口調は次第に厳しくなった。
  検察官「出所直後に自転車を盗んで、逮捕されると思わなかったんですか」
  男性「足が痛くて……」
  検察官「盗むしかなかったってこと?」
  男性「お金もなくて。どうしようもなかったです」
  背筋を伸ばして質問に答えてはいるが、積極的に反省の言葉が出てこない。
  男性はホームレス生活と刑務所暮らしを20年以上繰り返してきた。窃盗など前科は12犯。自転車を盗んだ罪で8カ月収容されていた神戸刑務所を3月6日に出所した。その2日後、東山区の路上で自転車を盗み、逮捕された。
  罪の意識はあったのか。京都拘置所で面会に応じた男性に尋ねた。「その瞬間は悪いとは思うけど……」と一瞬黙り、「家はなくても食べなきゃいけなくて」と続けた。刑務所で得た作業報奨金の5千円は、京都に戻る電車賃やラーメン代などに消えた。40代で離婚し家族も家もない。かつて過ごした鴨川の橋の下に行くほかなかった。
  出所2日後、午後から換金目的で空き缶拾いに出かけた。だが、この日に限って缶が少ない。買い取ってくれる店は午後6時に閉まる。焦って探し回るうちに、自分の自転車を見失った。足はパンパン。そんな時、無施錠の自転車を見つけた。何とか見つけ出した空き缶を載せて店へ。500円を手に入れた。
  お金が底をつくたびに、男性は空き缶拾いをしたり、アルミサッシなどを盗んだりしては換金し、生活してきた。50代のころ、区役所で生活保護を申請しようとしたことがある。窓口の担当者に「まだ働けるでしょう」と言われ、「どこも前科者なんて雇ってくれないから困っているんだ」とぶちまけたこともあった。
  「味付けは薄いけどメシも出るから」。刑務所に戻ることが決まっても男性に悲壮感はない。
 でも、出所する時はうれしいんでしょう? 
 「うれしいと思ったことはないかな。行き場もないし、寝場所から心配しなくちゃいけないから」
  判決で「規範意識の欠如は明らか」と非難された男性が、面会時に語気を強めた場面がある。お金を奪おうと思ったことはないのか、と尋ねた時だ。「俺はカネはなくても、空き巣やひったくりをしたことは一度もない。人として嫌だ」
. 最終更新:6/19(月) 16:36

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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◇ 出所後受刑者の生活支援。 高齢者がJR下関駅に放火した事件、犯行動機に「再び刑務所に入るため」 2008-08-07 
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山本譲司著『累犯障害者』 獄の中の不条理 新潮社刊
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1 コメント

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所感 (あやか)
2017-06-20 20:26:33
私は、この『高齢ホームレス犯罪者』の問題については、『死刑制度の是非』の問題とともに、葛藤とジレンマにおちいってしまうんですね。  
『刑務所をでても、おうちも、お金もない』『結局、刑務所を老人ホームにせざるを得ない』『68歳になれば、もう、いまさら職業的に自立できない』。。。。ということで、社会的適応が困難なんですね。
でも、だからといって、こんな人たちに生活保護など、ぜったいに出したくありません。こういう人たちを救済すろのは、もう宗教レベルの問題かも知れません。
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