〈来栖の独白〉
再審請求中の林真須美死刑囚(48)の弁護団は、9月、新証拠を盛り込んだ再審請求補充書を提出するという。
帝銀事件、名張毒ぶどう酒事件など、異物(薬物)混入による殺害事件の立証の困難を痛感する。
“10人の罪人を逃しても、1人の無辜を処罰することなかれ”という言葉がある。「無辜の不処罰」を象徴する言葉。「無罪推定の原則」や「防御権の保障」など近代刑事手続きの諸原則はこの原点に立っている。
日本の刑事手続きは、今日、どうだろうか。警察の拷問的取り調べはなされていないだろうか。「人質司法」などという言葉も囁かれるが、どうだろう。防御権は守られているか。有罪率の高さが、そのまま刑事手続きの欠陥を示すものでなければよいが。