少年法の厳罰化検討 有期刑引き上げ、9月にも諮問
罪を犯した少年に言い渡す懲役や禁錮の有期刑を最長で15年と定めている少年法の規定について、法務省が上限を引き上げる方向で検討していることが24日、同省への取材で分かった。
早ければ滝実法相が9月、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問し、来年の通常国会に改正案を提出する。
犯罪被害者や裁判員から「成人の量刑と差がありすぎる」との指摘を受けたためだが、更生の可能性に重点を置いた少年法の理念に反するとの批判が出る可能性もある。
滝法相は24日の記者会見で「(少年への)刑罰があまりにも軽いのをどうするかは課題の一つだ」と述べた。
少年法によると、犯行時18歳未満だった少年に無期刑を言い渡す場合、10~15年の有期刑に軽くすることができると規定。判決時20歳未満の少年に3年以上の有期刑を言い渡す場合は刑期に幅を持たせる不定期刑とし、上限は10年となっている。
犯行時18歳未満の少年に死刑を宣告すべき場合は無期刑に軽くする規定は見直さない。
成人に対する有期刑の上限は一つの罪で20年、二つ以上の罪を犯した場合は30年と刑法で定められている。一部の裁判員からは、量刑の範囲が狭い少年法の規定を疑問視する声が上がっている。
1997年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件などをきっかけとした少年法改正で、2001年から刑罰の対象が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられ、16歳以上の少年による重大事件は原則、検察官送致(逆送)されて刑事裁判にかけられることになった。
07年には、少年院に送致する年齢の下限が「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げられた。
裁判員制の問題点 沢登俊雄・国学院大名誉教授(少年法)の話
少年法の理念は少年の健全育成を図ることで、成人でないという理由だけで犯罪を大目に見るということではない。裁判員裁判をきっかけに量刑引き上げの議論が出てきているとすれば、裁判官が裁判員に法の理念を十分説明していない恐れもある。裁判員が有罪・無罪の判断だけでなく量刑の決定にも関わるという制度の問題点が出てきたといえる。
-------------------------------
◆ 「少年法の実名禁止に疑問」アムネスティ・インターナショナル国連事務所のディアス代表 2012-03-27 | 死刑/重刑/生命犯 問題