『新約聖書を知っていますか』 阿刀田高 著

2021-01-17 | 本/演劇…など

p27~
 ヘロデス大王の死は西暦前四年。ふたたび天使がヨセフの夢に現れて、それを教える。ヨセフ、マリア、イエスの聖家族は、まだなお危険の残るエルサレム周辺には帰らず、夫婦にとって馴染みの深いガリラヤ地方のナザラト(ナザレ)へ帰って居を定める。イエスはそ(p28~)こで育った。ナザレのイエスと呼ばれる所以である。
p28~
 なお西暦はイエスの誕生を元年として定められた、とされているが、イエスの本当の誕生は西暦前五年か六年らしい。ヘロデス大王の死が西暦前四年なのだから、元年の誕生はこのエピソードを信ずる限り矛盾している。

p31~
 余談ながら、ついでに一言だけ述べておけば、マリアの相手はほかにいる、ローマの兵士、パンテラという名前だ、という指摘が早い時期からあるにはあった。心根の正しいヨセフはそれを承知でマリアを引き受け、成長したイエスは、その事実を知って早く家を出た。家督を正当な弟たちに譲ろうと考えたわけである。と同時に、イエスはそうした事情にもかかわらず、自分をわが子同様にいつくしんでくれたヨセフの姿を通して、人の世の愛を知った、と、この説は続くのである。辻褄があっている部分もあるけれど、パンテラは、キリスト教に反対する人たちの捏造かもしれないし、二千年の歳月が経過した今、この説を確かめることはできまい。
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〈来栖の独白 2021.1.17 Sun〉
 昨年から、いや一昨年前からにもなるか、キリスト教関連のものを読み継いでいる。
 先日帚木蓬生さんの『守教』を読み終わり、いま阿刀田高さんの『新約聖書を知っていますか』。キリスト教関連のものは、殆どは何年も前に購読したものだが、内容を忘れており、新刊なみの新鮮さ、ありがたさ(!)。
 聖書について論じているものから、キリスト者について論考しているものまで、幅広く、興味深い。
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『守教』を読み終わったら、どれを読もうかな 〈来栖の独白 2021.01.14〉


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