オウム裁判:高橋克也被告の存在感のなさ…判決どう判断?
毎日新聞 2015年04月27日 20時54分(最終更新 04月27日 22時51分)
元オウム真理教信者、高橋克也被告(57)の裁判員裁判は、裁判官と裁判員による評議が東京地裁で続いている。高橋被告は地下鉄サリン事件で無罪を主張し検察と対決姿勢を見せたが、計38回の公判では事件の重大さと対照的な存在感の薄さも浮かび上がった。30日に言い渡される判決では、裁判員らがこうした点をどう評価するかも注目される。
「月に車を1万キロ運転し、睡眠は1日4時間だった」。高橋被告は公判で当時の教団での生活を振り返った。「諜報省」に所属し、同省大臣の井上嘉浩死刑囚(45)の運転手を「ワーク」(作業)とした。運転技術を買われ、地下鉄サリン事件やVX襲撃事件で運転を任されたが、井上死刑囚は「被告は従順で言われたことをそのままやった」と述べた。
また、元幹部の1人は被告を「責任のある仕事は任されない。一般信者に近かった」と証言し、平田信被告(50)=1、2審で懲役9年、上告中=も「被告は私と同じ落ちこぼれ組」と表現した。地下鉄サリン事件などに関与した元幹部の新実智光死刑囚(51)が「いたかなあ、くらいの存在感」と述べるなど、証人となった教団関係者の多くにとって、被告の印象は薄かったようだ。
一方、被告は元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(60)や教義に強いこだわりを見せ、公判でも「グル」(宗教的指導者)と呼び続けていた。事件に関わった理由も「井上死刑囚の指示はグルの意思と疑わなかった。グルの意思を実現することが『救済』と考えていた」と説明した。
逃亡生活中は他の宗教書を読んでオウムの教えと比べていたといい、「事件や教義は何だったのか。他から見るとどういう意味があるのか知りたかった」と説明した。「まだ深く考える必要がある」と被害者や遺族への謝罪は避けた。
検察側は論告で「宗教的背景を考慮する必要は全くない」と被告の姿勢を批判し、無期懲役を求刑した。弁護側は「松本死刑囚に帰依することで非合法活動をいとわない精神構造になった。オウム的思考のとりこになった原因を考える必要がある」と訴えた。
公判に被害者参加した地下鉄サリン事件遺族の高橋シズヱさん(68)は「公判で被告の存在感のなさが分かったが、審理に誠実に向き合っているとは感じられなかった」と話した。【島田信幸】
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