<大阪・中1殺害>黙秘、動機不明 殺意立証、苦悩の検察
2018/10/31(水) 7:00配信 毎日新聞
大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人を2015年8月に殺害したとして、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の裁判員裁判が11月1日、大阪地裁で始まる。被告は逮捕直後から黙秘し、殺害場所や動機など事件の真相は解明されていない。弁護側は殺害を否認し、傷害致死罪や保護責任者遺棄致死罪の適用を求める方針。検察側が殺意などの核心部分を立証できるかが焦点となる。
長期化していた公判前整理手続きは30日までに計33回行われた。
起訴状によると、山田被告は8月13日、平田奈津美さん(当時13歳)と星野凌斗(りょうと)さん(同12歳)の首を圧迫するなどして窒息死させたとされる。ただ、星野さんの死因は司法解剖でも特定されていない。逮捕当初、山田被告は「声をかけて車に連れ込んだが、同乗者が女の子を殴った」などと話したが、それ以降は黙秘している。
大阪地検は、事件の核心が未解明のまま殺人罪での起訴に踏み切った。2人の姿が最後に確認されたのは13日午前5時過ぎ、京阪・寝屋川市駅前の防犯カメラだった。直後に連れ去られたとみられるが、その映像はない。
山田被告は当日、軽ワゴン車で広範囲を移動している。早朝に駅周辺で確認され、昼過ぎに同府柏原市内で粘着テープを購入。午後10時半過ぎには、平田さんの遺体が見つかった同府高槻市の会社駐車場へ。その間に奈良県内も走行し、こうした動きは防犯カメラなどで確認された。ただ、殺害場所は「大阪府内かその周辺」としか絞れておらず、殺害現場がこれほど不明確なままの起訴は異例だ。
遺体の発見状況にも謎が多い。星野さんの遺体は、被告を尾行していた大阪府警の捜査員らが柏原市の竹林で見つけた。一方、平田さんの遺体は会社駐車場で発見。平田さんだけ人目につく場所に遺棄された理由は不明だ。
検察関係者は「証拠は限られ、隠し玉もない。裁判員に判断してもらうしかない」と打ち明ける。
関係者によると、弁護側は、平田さんに対しては殺意はなかったとして傷害致死罪、星野さんは熱中症で死亡したとして保護責任者遺棄致死罪の適用を求める方針。殺意や刑事責任能力の有無などが争点となる。
近畿大の辻本典央教授(刑事訴訟法)は「被告が何らかの関与をしたのは間違いないだろうが、殺人罪で有罪とするにはそれだけでは不十分」と指摘。粘着テープで中高生らを車内に監禁する同様の手口の前科があることから、「車に誘う動機は推認できるが、殺害する理由は何か。動機を検察側が立証できるかが鍵だ」と話す。
関西学院大法科大学院の川崎英明教授(刑事訴訟法)は「真夏なら熱中症の疑いも捨てきれない」とした上で、死因や殺害方法を裏付ける証拠に注目。「窒息死させた行為を具体的に証明できないと、殺意の立証は難しいだろう」と指摘した。【遠藤浩二、戸上文恵】
最終更新:10/31(水) 8:08 毎日新聞
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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