靖国合祀訴訟:韓国人遺族、2審も敗訴 東京高裁

2009-10-29 | 社会
 第二次世界大戦中に旧日本軍に徴用された韓国人の元軍人・軍属と遺族計267人が、靖国神社に日本の英霊としてまつられ被害者としての人格権を侵害されたとして、日本政府に合祀(ごうし)中止や遺骨返還などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は29日、訴えを全面的に退けた1審判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。大橋寛明裁判長は「政府は神社と一体となって合祀したのでなく、協力したにとどまる」と述べた。
 旧厚生省が戦後、旧軍人・軍属の戦没者名簿を神社側に渡したことについて、原告側は「政教分離を定めた憲法に反する」と主張。高裁は「合祀という宗教行為と、戦没者情報の提供は性質の異なる別個の行為」と違憲性を否定したが、「誤解を与えかねない行為で適切だったとは言えない」とも指摘した。
 また、高裁は1審同様に遺骨返還請求について「政府の遺骨占有を認める証拠はない」と判断。戦場で死傷したことへの賠償や抑留中の未払い賃金支払いなどの請求は「65年の日韓協定で請求権が消滅した」と退けた。
 原告の李炳柱(イ・ビョンジュ)さんは会見で「日本は政権交代したので、司法の判断も変わるかと思ったが、結果は1審判決と同じで失望した」と話した。【伊藤一郎
毎日新聞 2009年10月29日 22時17分

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