浮かぶ児相の不作為、背景に業務負担 千葉小4女児死亡事件 2019/2/6

2019-02-07 | 身体・生命犯 社会

浮かぶ児相の不作為、背景に業務負担 千葉小4女児死亡事件
2019.2.6 18:45|
 千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で死亡し、傷害容疑で両親が逮捕された事件をめぐっては、児童相談所の不作為の数々が浮かび上がる。一方、全国の虐待相談の対応件数は過去最高を更新するなど対応が追いつかない現状がある。国は人員増などに乗り出しているが今回、児相は「緊急度を見誤った」とし、人員の「数」でなく「質」が問題視されている。専門家は「児相としての使命感が足りない」と、子供の命と向き合う児相の姿勢に疑問を投げかける。
 児相の対応のまずさは、栗原心愛さんを自宅に戻すかどうかの判断の際にあった。
 平成29年12月、虐待の疑いがある勇一郎容疑者から引き離す形で、児相は親類宅での生活を条件に心愛さんの一時保護を解除した。しかし、親類の体調が悪化。自宅に戻すかどうかの検討を迫られ、30年2月26日、親類宅で容疑者への面会が行われたという。
 これまでも虐待を否定し続けていた容疑者が示したのが、心愛さんに強制的に書かせた文書だった。《お父さんに叩かれたことは嘘です》《早く(家族)4人で暮らしたいと思っていました》。児相側は、この提示段階で「父から書かされた可能性がある」と疑念を抱いてはいた。
 だが、2日後の28日、心愛さんに文書の意図を確認しないまま、自宅に戻す決定を出す。児相は妥当性について「学校で傷跡が認められず、適応状況もよかった」との理由を並べる。
 3月上旬、心愛さんは自宅に戻り、容疑者と同居を開始。3月19日に学校で心愛さんと児相職員3人が面会し、文書は強制的に書かされたものだと明かされたが、対応は何も検討されなかった。
 児相は「自宅に帰りたい希望があったことや、学校にも順応し、緊急を要しないと判断した」とする。以降、自宅に訪問することはなかった。「緊急の際は学校から連絡があるものだと思っていた。他の案件に追われ、緊急度を見誤っていた」と釈明する。
 対応のまずさは免れないが、全国的に児相は疲弊している。厚生労働省によると、虐待対応件数は29年度は13万件を超え、職員は慢性的に不足。職員1人あたりが抱える案件は平均50件ほどだとする児相もある。ある児相の関係者は「仕事の切れ目がなく、追いまくられている」と訴える。
 政府は31~34年度の4年間で、児童福祉司などの専門職員を約2900人増員する方針で、実現すれば29年度の約1・6倍に拡大する。また、警察との間で虐待情報の全件共有を図る動きもみられるが、千葉では必要に応じた情報共有にとどまっていた。
 児相で児童福祉司の経験がある東京通信大の才村純教授(児童福祉)は「日本は国際的にみて案件を抱え過ぎており、丁寧に対応できない現状がある。学校や警察、行政がチームを組み役割分担をしなければならない」と指摘。その上で、「今回のケースは子供の安全を確保するより父親の威圧的な態度に腰が引けてしまった。考えられない不手際が重なり、体制の問題よりも児相としての使命感が足りなかった」と厳しく批判した。
(三宅陽子、大渡美咲)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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千葉 小4女児虐待死 心愛さんが父親に書かされた手紙全文「児童相談所の人には会いたくない…」 2019.2.5 dot. 
小4女児「栗原心愛さん死亡事件」…なぜ、教育委・課長はアンケート用紙を渡したのか…行政のセクショナリズムが起こした人災
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