冒頭画像;薄汚れていた猫「でか丸」
薄汚れた大きな猫「でか丸」が職場に、上司は「捨てろ」と言った それでもピカピカになって新しい家へ
2020/2/23(日) 13:20配信 sippo
近所の公園に猫が捨てられていた。自宅の庭や職場に、見知らぬ猫が突然現れた。見て見ぬふりをするのは簡単なこと。でも、助けてあげたい。そんな経験や思いをしたことがある人もきっと少なくないはず。その時も保護猫カフェねこかつに、1件の相談があった。
事務所の椅子に座る猫「でか丸」
職場に現れた見たことのない猫
「職場で猫を保護したんですけど、譲渡会に参加させてもらうことはできるでしょうか?」。相談主は、ねこかつのお客さんの女性だった。
「どうしたんですか?」。保護の経緯を尋ねた。
「職場に見たことのない猫が現れたんです。とてもなつっこい猫でおなかを空かせていました。職場のおじさんがご飯をあげると、それから姿をみせるようになりました」
猫の写真を見せてもらった。薄汚れた大きな猫だった。
「事務所の中に入って来ちゃうこともあって、一緒に電話番をしたりもしました」
譲渡会に参加した猫「でか丸」
譲渡会に出してみましょう
その猫が事務所の椅子にちょこんと座っている写真を見せてもらった。
「でも、職場の所長さんが大の猫嫌いだったんです。どこかに捨ててこいと言い出しました。捨てて来ないなら、自分が捨てに行くと言って、段ボール箱の中に猫を入れようとしたんです」
「それで保護したんですか。すぐに飼い主さんが見つかるか分からないですけど、譲渡会で一緒に飼い主さん探しをしましょう」
薄汚れた大きな猫は、その女性の家で、きれいなピカピカの大きな猫に生まれ変わり、「でか丸」というピッタリの名前をもらった。
「大きな猫ですね~!」。譲渡会に参加したでか丸は、いつも大人気だった。しかし、譲渡会ではでか丸の本当の魅力は伝わりにくかったようで、なかなかご縁につながらなかった。
「お店の方が、でか丸の魅力が伝わるかも知れないですね」。ねこかつで、でか丸を預かることになった。
猫「でか丸」新たな家族の元へ
ねこかつに来てしばらくして、でか丸に飼い主希望のお声がかかった
そして、でか丸が新しいお家に行く日、すなわちお届けの日がやってきた。でか丸のお家は、猫と一緒に暮らしたくて新築したピカピカのお家だった。
キャリーから顔だけ出したでか丸は、周りを警戒しながら部屋の中を見渡した。大きな体を小さくして、お部屋の中を探検した。
(ここはどこなんだろう?)
(あれ?この人は?)
(優しそうな人)
(お母さんになってくれるんですか?)
飼い主さんの顔をのぞきこむ猫の「でか丸」
薄汚れていた猫が、今は大切な家族に
そして、お届けの日から時間が流れて、でか丸のお家が決まる日、すなわち本譲渡の日がやってきた。でか丸を助けてくれた女性も本譲渡に同行した。
久しぶりにでか丸を抱っこした女性は、でか丸との出会いを飼い主さんに話した。持参したたくさんの写真には、外で生活を送っていたときのでか丸がいた。
飼い主さんからも、今のでか丸の話があった。
「蛇口から直接水を飲みたがるんですよ」
「ご飯のときは、横に一緒に座ってるんです」。以前に事務所で電話番をしているときのようなでか丸だった。
「夜寝るときはふたりの間に入って川の字で寝ているんです」
お母さまいわく、「でか丸は完璧に理想の猫」なんだそう。
一匹の名もない薄汚れた大きな猫が、かけがえのない大切な家族になっていた。
「もう一回抱っこしていいですか?」。帰り際に、女性がでか丸をギュッと抱きしめた。
捨て猫にあったとき、見て見ぬふりをするのは簡単なこと。助ける義務はないかもしれない。でも、「助けてあげたい」、その気持ちに従って一歩踏み出してみると、猫だけでなく自分自身の幸せにつながることがあるかもしれない。
. sippo(朝日新聞社)
最終更新:2/23(日) 13:20 sippo
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です