画像;パソコンの画面で「ウイルスに感染した」と告げるニセの警告。実在の企業ロゴも勝手に掲載し、信用させようとする=情報処理推進機構提供
2019年6月7日 中日新聞 朝刊
PCサポート詐欺増加 「ウイルスに感染」と修理誘導
パソコン上にニセのセキュリティー警告を載せ、有償のソフトウエア購入や修理サポートの契約に誘導する「サポート詐欺」の被害相談が増えている。修理業者を装い、著名なセキュリティー企業のロゴも使うなど巧妙な手口。被害に遭った愛知県東海市の男性(84)が本紙の取材に、「こんな詐欺があるとは知らなかった。おかしいと思ったが、言う通りにしてしまった」と胸の内を語った。
五月中旬の昼すぎ。自宅でいつも通りに使っていたパソコンの画面に「ウイルスに感染している」という警告が出た。男性はあわてて表示された番号に電話。男から「修理のためにソフトのインストールが必要」と言われ、その通りに画面操作を進めると警告が消えた。代金として八万五千円を要求された。
不審に思いながらも、画面に表示されたアドレスを調べると、実在する修理業者が出てきたため、信じてしまった。アドレスは勝手に使われたとみられる。
夕方、指示通りに近くのコンビニで電子マネーのギフトカード二万円分を買って帰り、カードの番号を男に伝えた。男のしゃべり方は外国人のようで、途中で「詳しいことは上司に代わる」と言い、また別の片言の日本語の男に代わった。
翌日、請求された残りの六万五千円分を払おうと、同じコンビニでカードを買おうとしたところ、店員が不審に思い、警察に通報して詐欺だと判明した。
一人暮らしの男性はパソコンを使って、名古屋市内に住む孫(22)と無料通信アプリ「LINE」でやりとりし、毎朝必ず自身が元気なことを伝えていた。インターネットニュースや好きなプロ野球の結果もパソコンで調べていた。六十代半ばまで大手企業に勤め、若い頃からパソコンは得意なほう。十年ほど前まで十数年、東南アジアで働き、ネットも頻繁に使用した。「パソコンが使えなくなると、孫と離れてしまう」という不安があった。
男性は「高齢者が電話でだまされて詐欺に遭うことは知っていた。変なメールを開いてはいけないことも分かっていた」と下を向いた。「でもまさか、パソコンの修理業者が偽者だったとは思っていなかった。すぐに対応してくれる業者だと信じてしまった」と悔やむ。 (福本英司)
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です