新かぶき彩時記 「菊畑」の二人の奴 歌舞伎特有の役柄 注目 2018/11/5

2018-11-05 | 本/演劇…など

 新かぶき彩時記 「菊畑」の二人の奴 歌舞伎特有の役柄 注目
 中日新聞夕刊 2018年11月5日 月曜日
 「菊畑」は、タイプの違う男性コンビが印象的な芝居です。
 平家方の軍師・吉岡鬼一の持つ兵法の秘伝書を奪うため、奴(やっこ)に身をやつして屋敷に潜入した虎蔵(実は牛若丸)と家臣の智恵内(ちえない)。虎蔵の衣裳(いしょう)は、金の段模様の襟に、雁木(がんぎ)模様というギザギザが入った着つけ、赤い襦袢(じゅばん)という、大変派手なもの。未成年の証(あかし)の前髪と、赤いふんごみ(スパッツのようなもの)は、色若衆という役柄の象徴です。十代の優美な美少年で、歌舞伎独特のキャラクターですが、これは武家の間で少年を愛(め)でる文化があった名残です。演者の実年齢とは関係なく着る人を選ぶ衣裳といえ、熟年の女形もしばしば演じています。
 智恵内は「繻子(しゅす)奴」とか「色奴」と呼ばれる色気のある奴の役柄で、明るくキビキビと闊達(かったつ)な演技が特徴。光沢のある織物・繻子に金の刺繍(ししゅう)入りの着つけ、房つきの「伊達下がり」という小型の化粧回しのようなものをした、こちらも美しい姿。ちなみに「助六」の奴・朝顔仙平の衣裳も繻子で、自ら「色奴様だ」と、のたまっていますが、あちらは道化役です。
 名前に似ず賢く男らしい智恵内は演じていて「機嫌のいい役」。実は幼少期に別れた鬼一の弟・鬼三太で、自ら名乗れない哀愁も持ちあわせています。対照的な主従の対比も華やかな一幕です。
  (イラストレーター・辻和子)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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