手術なし 性別変更 認める
岡山家裁支部 最高裁「違憲」受け
2024年2月8日 中日新聞
性同一性障害と診断され、生殖能力をなくす手術を受けていない岡山県新庄村の農業臼井崇来人さん(50)が、戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう求めた家事審判で、岡山家裁津山支部は7日、生殖能力をなくす要件は憲法違反だとして、性別変更を認める決定をした。臼井さんの申し立ては2度目だった。
性同一性障害特例法には、性別変更の際に生殖能力をなくす手術を事実上求める規定(生殖能力要件)があるが、最高裁は昨年10月に違憲、無効とする決定を出した。家事審判は非公開で、違憲決定に沿う形で性別変更を認められ、当事者が記者会見で公表するのは初めてとみられる。特例法改正を前に、今後も各地の家裁で同様の判断が続きそうだ。
臼井さんは岡山市内で記者会見し「(トランスジェンダーの性別変更に)大きな扉が開いた」と笑顔で話した。
臼井さんは、2016年にも同様の審判を申し立て、生殖能力要件について争ったが、最高裁は19年に「現時点では合憲」と判断していた。最高裁の判例変更を受け、昨年12月に改めて性別変更を申し立てていた。
臼井さんは、2016年にも同様の審判を申し立て、生殖能力要件について争ったが、最高裁は19年に「現時点では合憲」と判断していた。最高裁の判例変更を受け、昨年12月に改めて性別変更を申し立てていた。
昨年10月の最高裁決定は卵巣や精巣の除去といった生殖能力要件を違憲、無効とした一方、「変更後の性器部分に似た外観を持つ」との規定(外観要件)については高裁段階に差し戻した。
津山支部の工藤優希裁判官は生殖能力要件について違憲決定を踏襲する形で退けた。外観要件も臼井さんがホルモン投与を受けた効果などで要件を満たすと判断した。
臼井さんの代理人弁護士は記者会見で当初「知りうる限り初めて」と述べたが、その後今回と同様の形で性別変更が認められた事例が既にあることに言及した。
津山支部の工藤優希裁判官は生殖能力要件について違憲決定を踏襲する形で退けた。外観要件も臼井さんがホルモン投与を受けた効果などで要件を満たすと判断した。
臼井さんの代理人弁護士は記者会見で当初「知りうる限り初めて」と述べたが、その後今回と同様の形で性別変更が認められた事例が既にあることに言及した。
臼井さんは幼少期から女性として扱われることに違和感があり、成人してから性同一性障害と診断された。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し
【詳報】トランスジェンダー臼井さん 性別変更認められる 適合手術なし、岡山家裁津山支部決定
性別適合手術を受けていないトランスジェンダーの臼井崇来人(たかきーと)さん(50)=岡山県新庄村=が戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう申し立てた家事審判で、岡山家裁津山支部は7日、性別変更を認める決定を出した。最高裁は昨年10月に性別変更の際に生殖能力をなくす適合手術を事実上求める性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断しており、同支部も「規定は違憲で無効」と結論付けた。 臼井さんは2016年にも同様の審判を申し立てたが、手術を受けていないことを理由に一審、二審とも退けられ、19年の最高裁でも特例法の規定を「現時点で合憲」として認められなかった。 岡山市内で開かれた記者会見で臼井さんは「訴え続けてきた思いが通じた。大きな扉が開いた」と喜んだ。同席した大山知康弁護士も「特例法の改正を待たずに、手術を伴わない性別変更が家裁段階で認められると示すことができた」と意義を強調した。 昨年10月の最高裁決定は別の当事者の審判で出され、特例法について卵巣や精巣の除去といった手術を前提とする「生殖能力要件」を違憲で無効と判断した。一方で、変更後の性器部分に似た外観を必要とする「外観要件」に関しては高裁段階に審理を差し戻した。 臼井さんは16年の審判で過去のホルモン治療により外観要件を満たすと判断されており、最高裁の違憲決定で生殖能力要件が無効となったことを受けて昨年12月に改めて性別変更を申し立てていた。 岡山家裁津山支部の工藤優希裁判官は審判理由で、最高裁決定を踏襲し生殖能力要件を不要とした上で、外観要件を含めて「性別変更に必要な要件を全て充足する」と判断した。
津山支部決定を受け、新庄村が戸籍の性別変更手続きを進める見込み。臼井さんは現在、女性のパートナー(46)とその息子(13)と暮らしており、「これで結婚できるようになり、一般的な家族として過ごせる。次の人生が始まった」と笑顔を見せた。
性同一性障害特例法 自認する性別が出生時と異なるトランスジェンダーの人などが戸籍上の性別を変更する要件を定める。2人以上の医師から性同一性障害と診断された上で(1)18歳以上(2)婚姻していない(3)未成年の子がいない(4)生殖機能がない(5)変更後の性別の性器部分に似た外観がある―の要件を全て満たせば、家庭裁判所の審判を経て変更が認められるとしている。最高裁は昨年10月、生殖能力要件を違憲とした一方、外観要件については審理を高裁に差し戻した。
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です