金沢発 あれやこれや

-ヒントをくれる存在に感謝しつつ物語をすすめます-

混乱の増すグリーン調達事情6

2011-07-14 02:10:48 | グリーン調達
<製品含有物質管理のガイドライン>
企業が成分表提出を求め始めた事を述べる前に業界が手本とする
ガイドラインを紹介します。

含有物質調査関係者のバイブル的なものとして電気電子業界日欧
米の関連機関が協力してまとめたガイドラインが用意されており
、日本はJGPSSIが日本語に訳して提供しています。

製品含有化学物質管理ガイドライン第2版の11ページにある管
理の基本3ステップを確認してみます。

①購入品の含有物質情報
 サブスタンス/プレパレーション、アーティクルごとに含有
 化学物質情報を入手する。

 製品を構成する部品(アーティクル)はいろんな素材(サブ
 スタンス)と調剤(プレパレーション)を使って作られます。
 実はこれ以外に加工工程で使われて製品に残留する可能性の
 ある副資材があります。これも調べておかないと死角ができ
 ます。完成品から由来不明の物質が検出されても原因がたど
 れず困ることが予想されるからです。

②製造工程の誤使用、混入、汚染防止の日常管理活動での信頼性
 を高める。

 これを怠ると製品に品質問題を起こす可能性が高いので含有
 物質管理に関わらず、従来から既に導入され行われているも
 のと理解します。

③販売製品の含有物質情報
 サブスタンス/プレパレーション、アーティクルごとに含有化
 学物質情報を入手する。

 ①で指摘したように、原材料だけ調査するのは不足です。
 ①はあくまで予備調査で、完成品を調べることは欠かせませ
 ん。加工中にわりとたくさんの副資材が使用されており、そ
 れが部品成分にもたらす影響は無視できません。製品やその
 作り方に無関心な人は抵抗なく受け入れられるかもしれませ
 んが、2~3年現場を経験した人は死角に気づくでしょう。

もし①と②だけしか調べないとしたら調査に死角があるのでその
事実が後で判明するかもしれません。
そうなのですが、川下企業には分析費を節約するため自らあまり
分析しない傾向があることも事実です。完成品の確認を原料の分
析データで代えるのです。この辺はいろんな事情がからんでおり
成分表とからめて後で説明します。

JGPSSI提供製品含有物質管理ガイドラインの気づきにくい
特徴は、登場する用語の定義がこれまでのグリーン調達基準で使
われてる場面の意味と少し違うことです。これは大変重要なポイ
ントで、このガイドラインを元にしくみ作りしたJAMPのAI
Sにも影響を与えており、次で詳しく検証します。

※①で製品に含有する可能性のある副資材は調べると言いまし
 たが、あくまで得意先への製品含有物調査回答の観点であり、
 取り扱う工場従業者の健康リスクや資材保管方法の確認のた
 めにも全副資材が調査されることは言うまでもありません。

※各企業のグリーン調達運用手順はこれを手本に作られており、
 結果似た内容が多いです。が、先進的な会社は必ずひとまわ
 りもふたまわりも手を広げた管理をしています。
 批評家・投資家はぜひそこも注目して見てほしいものです。

コメント
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