『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・『ジャズに名曲なし。名演あるのみ』―(下:2)

2014年01月12日 22時37分36秒 | ●JAZZに親しむ

   

   昨年末の12月30日、筆者は本ブックマークにリンクされた「アドリブログ」の管理人「セラビ―氏」宅において、以下「TOP:10」の聴き比べをしました。10位から1位までを順次カウントダウン式に聴いたわけですが、この約1時間40分は、まさに“至福の時間”でした。10分を超える演奏が何曲もあったり、また続いたにもかかわらず、二人とも、その“ゆったりした時間”の経過に驚いたものです。

  では、その「TOP:10」(1位~10位)をみてみましょう。

  1 AUTUMN LEAVES  キャノンボール・アダレイ

  2 ROUND MIDNIGHT マイルス・デイビス

  3 WALTZ FOR DEBBY ビル・エヴァンス

  4 ST. THOMAS ソニー・ロリンズ

  5 MY FAVORITE THINGS ジョン・コルトレーン

  6 SO WHAT マイルス・デイビス

  7 MORITAT(Mack the knife) ソニー・ロリンズ

  8 CLEOPATRA’S DREAM バド・パウエル

  9 MOANIN' アート・ブレーキー

 10 COOL STRUTTIN' ソニークラーク  

       ☆

   Jazzが苦手という方でも、「1位」の「AUTUMN LEAVES(枯葉)」はご存知でしょう。ちょっと興味のある方であれば、「2、8、9位」の3曲は耳にされているはずです。

   さて、お気づきでしょうが、曲名のあとの「名前」はその「ジャズ・バンド」の代表的な「プレーヤー」を指しており、同時に「バンド(グループ)」名でもあるのです。そのため「曲名」「バンド名」「試聴動画」を入力すれば聴くことができます。

  「3位」の「ビル・エヴァンス」と「8位」の「バド・パウエル」は、いずれも「ピアニスト(p)」であり、バンド構成は、「p」にクラシックベース(b)とドラムス(ds)を加えた「トリオ」です。

  「4・7位」の「ソニーロリンズ」はテナーサックス(ts)、「5位」の「ジョン・コルトレーン」もテナー・サックス(ts)であり、ともにp、b、dsを加えた4人構成の「カルテット」です。

  「1位」の「キャノンボール・アダレイ」はas、「9位」の「アート・ブレーキー」はds、そして「10位」の「ソニー・クラーク」はpです。いずれもp、b、dsにトランペット(tp)とサックス(s)による5人編成の「クインテット」となっています。

  「2位」の「マイルス・デイビス」はトランペッター(tp)であり、このときのメンバーは、基本のp、b、dsに、ts、asとtpの6人編成による「セクステット」でした。

  しかし、ここで重要な事実があります。それは、「キャノンボール」、「エヴァンス」そして「コルトレーン」の3人は、「マイルス」のバンドに所属していた時期があるということです。この3人は、後にバンドリーダーとして自分のグループを編成し、いずれもJazz界における「偉大な巨匠」として大きな影響を与えていくことになります。

  のみならず、「ソニ―・ロリンズ」、「アート・ブレーキー」、「バド・パウエル」の3人も、マイルスのバンドに所属こそしなかったものの、いずれもマイルスとレコーディングやセッションをしています。

   ということは、何と「TOP:10」の「1位」から「9位」が《マイルスつながり》ということになります。……ということは、筆者の知る範囲では「ソニークラーク」だけが、マイルスとは直接的な接点がないように思われます。

   しかし、その彼も「10位」の「COOL STRUTTIN」のレコーディングには、「2位」のマイルスの「ROUND MIDNIGHT」における「ポール・チェンバース」(b)や「フィリー・ジョー・ジョーンズ」(ds)と共演しています。

  「TOP:30」にランクインしたジャズバンドをみると、「マイルス」が6演奏、「コルトレーン」が5演奏となっています。次に「ビル・エヴァンス」の3演奏、「ソニー・ロリンズ」、「ソニー・クラーク」そして「モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)」の各2演奏、他は各1演奏の「キャノンボール・アダレイ」や「バド・パウエル」、「アートブレーキー」や「キース・ジャレット」その他となっています。

  実は「キース・ジャレット」(p)も、マイルスのバンドにいたのです。いかに「マイルス・デイビス」が偉大であるかということであり、彼が《ジャズの帝王》とか《モダン・ジャズの帝王》と呼ばれる所以です。

  と同時に、その《帝王》のもとで活躍し、後にバンドリーダーとなったコルトレーンキャノンボール、そしてエヴァンスといったこれまた偉大な《巨匠》達……。

  「モダン・ジャズ」そして「Jazzという音楽ジャンル」の“歴史”は、マイルス・デイビスというトランペッターを抜きに語ることはできません。(続く)

        ★   ★   ★

  ※偶然にも「アドリブログ」において、今回の「TOP:1」となった「キャノンボール・アダレイ」の『AUTUMN LEAVES』が入ったアルバム「サムシン・エルス」が採りあげられています。とても参考になります。是非参考にしてください。

 ◆キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』

  ※次回の「下-3」が「完結編」です。

 



2 コメント

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貴兄あっての (shuri)
2014-01-13 11:19:32
  今回の記事のシリーズは、当初、本当は簡単に3回で切り上げるつもりでした。

  しかし、あの「TOP:10」のカウントダウン式の「聴き比べ」をしてからというもの、中途半端な記事ではいけないと思いました。

  《帝王》マイルスの凄さと魅力を、素人なりに感じたままを表現しなければと考えたからです。今の私の実力からして、あのような実証主義的なデータ分析になったのでしょう。

  でも「鑑賞」や「評論」について、少し“コツ”のようなものをつかんだような気がします。

  ともあれ、貴兄あっての今回のシリーズです。

 
 
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Unknown (セラビー)
2014-01-12 23:50:51
またも素晴らしい分析にして調査結果には私以上の熱意を感じます。
「帝王」マイルス恐るべし,が数字に表われていますね。
逆に言えばマイルスだけを聴き続ければ自ずとジャズの王道が理解できるというものです。
個人的にはランクインしていない電化マイルスが最高に好きなんです。マイルスの変化はジャズへのアンチテーゼですねっ。
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