「おれこさん」「なあに?」
一時預かりボランティアのつもりだったが、
おれこの里親になることに、決めた。
わりと早い段階でのことだ。
「はりねずみさん(人形)のお鼻がとれちゃったんだけど、どうしてか、知ってる?」「はりねずみさんの、おはなが、なくなっちゃったことについて?」
ミグノンさんに手続きに行った。
まだ、やらねばならないことがあるのだが、
正式譲渡手続きというのは、したことになっているらしい。
「そう。どうしてはりねずみさんのお鼻なくなっちゃったんだろ?」「・・・さあ、おれこ、はりねずみさんのおはなのことわ、わからないわ」
ただし、まだやらねばならないことが終わっていないので、
おれこは今ミグノンさんの所有(東京都の所有というべきか)であり、
私たち家族は本当の里親にはなっていないのだった。
しかしそんなこととはお構いなく、
おれこは日々、私たちの生活に浸透している。
空気のように。
いずれかの段階で、この日記のタイトルも、
仮親から里親になるのかな。
なるのかな、って自分がするのではないのか。
そんなこんなで、とりあえず、報告である。
またこの件については、別の日に、詳しく述べることとしたい。
とにかく、おれこが来てくれて、本当に助かった。
いや、大変なことはいっぱいあるんだけども、
ものすごく、助かった。
いのちびろいしたような気持ちだ。
会社で仕事をする時間をセーブしているが、
師走ということもあり、それではとても業務をこなせない。
今日は仕事を持ち帰り、3時間ほど、おれこに背中を向けたままである。
その前には、家事など(おれこのごはんを作ったり明日のお弁当をつくったり)をしていて、
帰宅後に50分の散歩をしたのと、布団の上で、ほんのちょこっと遊んであげたくらい。
やり残した仕事をカチカチカチカチ。
そうして、いつのまにやら、真夜中になっている。
ベッドの上で、少々の不満を胸に秘め、
静かに静かに、私を待ってるおれこのために、
今日はこのあたりでグッドバイ。
おれこの身の上話など、少し、わかったこともあるのだが、
今宵はこのあたりまでにしとうござりまする。寒いし。
それではみなさん、また、明日なのだ。
(ゆうべも3時だったしな。)
ああ、おれこがまた、小さくうなされている。
ぷう、ぷう、ぽうと、苦しそうな息だ。
そろそろ布団に入っていいこいいこしてやらねばね。
だれかに求められるというのは、
それがむくないのちむきだしの存在であればあるほど、
切なくも、うれしい。
甥っ子(そして姪っ子)のときもそうであった。
猫のときもそうであった。
おれこも同じである。