犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

新宿のおれこ。

2011年12月17日 | おせわがかり日誌


「むしのこえをき~くたびに~おもいだすくじゅーくりぃはまぁ~」


歌舞伎町だったかどうかはしらないが、

おれこは新宿で保護されたそうだ。





「しわしわのそぼのてをはなれひとりでおとずれたかんらくが~い」


ことしの8月15日のこと。

その日わたしは何をしていたかな。





「じゅうごになったあ~たしをおいてじょおうはきえった~あ~~ん」


このとき(保護されたとき)のおれこの写真を見せてもらった。

赤いバンダナを首に巻いて、首輪をしていて、誰かに飼われていた様子だった。





「まいしゅうきんようびに~きてた~おれことくらすのだろう~」


お盆だから暑かったのだろう。

べー、っと舌を出しながらも、にっかにっかの笑顔。

「ああ、よかった~」

その顔はそういっていた。

今ならよくわかるが、おれこはこどもと喧噪が大嫌い。

交差点ですら苦手なのだ。

新宿の街をにげまわって、さまよって、心のやすまるときがなかったのだろう。

やさしい人にどうしたの?とつれてこられて、安心したに違いない。

おれこの隣の、ふくらはぎくらいから下しかうつっていないが、

青い作業着と黒いゴム長の足のだれかの隣で、おれこはうれしそうに、笑っているのだった。

カ~ッと胸が熱くなり、落ちてきそうになった涙を、ぐっ、と、こらえた。





「あ~それからどした」


さまようのがこわかったんだろうね、おれこ。

今はもう、さまよわなくていいのだからね。

もううちの子なんだからね。