用事で知立まで出掛けた。踏切に近付くと、目の前で遮断機が下り、「チン、チン、チン」と警報音が鳴りだした。タイミング悪し、折しも雨が「ザアーザアー」。ブレーキを掛けてとまった。この踏切時間はヤケに長いのだ。イライラしていたら、横でババが、「あの人たちは何?」と指差した。その先を見ると、大砲カメラに雨避けを掛けて、電車の来るのを今か今かと待ちかまえている黒装束の鉄ちゃん達だった。「電車を撮っているんだ」と説明したら、「毎日見ている電車をわざわざ土砂降りの中で撮るのが理解できない」と、のたまった。「なんと無粋な見方だ」と云い返したりしている間に、踏切が上り走りだした。彼らが今日撮った赤い電車の写真は、何時か市民ギャラリーに飾られるのだろうか。