33歳の時に夫と死別、4人の子供を育て上げ夫々独立させた。それ以降、90歳まで全てを一人で切り盛りしてきたおばあちゃんは、常々、「人の迷惑にならんように」が口癖だった。その言葉通り、死ぬ1w前、「喉の調子がおかしいので、今から病院へ行く」と、嫁いだ娘に電話した。子や孫達が駆けつけると、「このまま入院のようだ。ついては家の中のことは、分るように整理が付けてあるが、今まで話してなかった葬儀については、静に家族葬として欲しい」と。それから丁度1w、病状が急変して亡くなった。先生の説明では「静に息を引き取られました」と。その夜のうちにおばあちゃんを家に連れて行くと、入口横の机の上には、正月飾りと曾孫達へのお年玉が綺麗に並べて置いてあった。「凛として生きて、静に死んでいく」、90歳のおばあちゃんの大往生を見て背筋が伸びた。