泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

点滴ポール 生き抜くという旗印

2015-11-14 16:21:50 | 読書
 

 筋ジストロフィー。筋肉が壊れてしまう先天的病。
 歩くこともできない。呼吸すら補助がないとできない。
 そうであっても、人を励ますことができる。
 書くことができる。歌うことができる。
 目の前のその人の力になり、喜びになる。
 エッセイと五行歌が収められています。
 写真を撮られたのは、ろう学校を出られた方。
 文字も写真も、すべてが心地よかった。
 嘘がなく、まっすぐで、本当にできること、したいことでできていて。
 心に、じわーと広がる。
 先天的なもの、さらに後天的な社会悪とたたかう芯の確かさに打たれる。

 その
 ひとりの人に
 喜びと力を
 もたらす
 歌で あれ  (97頁)

 詩人としての、あるいは一職業人としての、プロ魂を感じた。
 見習わなければ。
 もう一つだけ。

 やはり生きようと
 思ったのは
 人に逢いたかったからだ
 恐れなど
 崩れていくほど心から  (140頁)

 ほんとにそうだと思う。
 この本と出会えてよかった。

 岩崎航著/斎藤陽道写真/ナナロク社/2013

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