泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

星と波テスト

2006-11-28 12:44:21 | 読書
 まずこの場を借りて、テストにご協力いただいた方々に感謝いたします。どうもありがとう。
 不思議なことに、この「星と波テスト」の実施を拒んだ方に会ったことがありません。というのは、私の方で、この人ならと、知らぬ間に選択しているからかもしれませんが。それでも私の印象としては、みなさん喜んで描いていたようです。
 「海の波と星空を描いてください」という教示で描かれる一枚の絵。それはその人の世界観、内的宇宙が凝縮された形で現れます。
 おもしろかったとか、悪徳商法だとか、納得したとか、経験者は様々に語りました。そのささやかな交流は、私にとっての財産になっています。私自身も、鳥肌が立ったり、へーと感心したり、その人のありのままの現実に触れて、心を開かせておいて引いてしまったり(すいません)。
 このテストを知ることで、確かに私の心理療法は変わりました。目に見えないものを目に見えるようにすることも大切だと思うようになったのです。また、視覚に訴えることで、抽象的な悩みや痛みが、格段と具体的で、理解しやすくなった。理解しえたことを、その人の文脈に返し、吟味することができるようになった。心理療法場面では、いたずらな詮索を避け、核心へ至る道を、より正確に、より早くつかむことができる。
 実施者として忘れてはならないのは、私が操作したり、偉そうに解釈したりしないこと。そこに現れるのは、紛れもなく、その人の今であり、その人の人生の一ページ。ほんの少しの時間でも、他者と関われる喜びを感じつつ、私は徹底的に下から下からついてゆく。そう、栃東のおっつけのように。
 このテストはドイツのウルスラ・アヴェ=ラルマンによって、1970年代に創案された、比較的新しい心理投影描画法です。私はこれを、放送大学の心理臨床研修会で教わりました。それが今年の夏で、それ以降、身近な人に声をかけては実施しています。これからも研鑽を積んでいかなければわからないことはたくさんあります。ただ、今までの経験からわかるのは、使えるということです。心理療法において、やはりこれは最も力を発揮するでしょう。
 なぜ私は、「星と波テスト」に、こんなにも関心を持ち、人と面倒な都合をつけてまで(明日も一人予定)実行するのでしょう? わからない。
 明日、久々に僕も、描いてみようかな。

ウルスラ・アヴェ=ラルマン著/小野留美子訳/川島書店/2003

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マーラー 交響曲第一番「巨人」 | トップ | よしもとばななさん »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事