日本共産党足立区議団は、新年度予算編成に向けて、16万世帯にアンケートを地域配布し、区内各団体と懇談を重ねてきました。
その中で、新年度予算では間に合わない緊急性を要するものについて、去る8月5日、区長あてに緊急提案を行うとともに、各部の部長とも懇談し、その具体的な実現を迫りました。その概要をお知らせします。
緊急提案した項目と区側の見解
1、公契約条例の徹底と具体化について
2、社会保険未加入対策の促進
3、公共工事における単価増と人材不足への対策について
⇒1~3については、全て前向きな対応を約束
4、東京労働局の是正指導について
(1)戸籍窓口業務について
⇒一面掲載の通り、前進しました。
(2)現在行っているすべての業務委託契約について⇒前向きに受け止めていただきました
5、自衛隊員勧誘のための情報提供について
6、熱中症対策―生活保護世帯へのエアコン代等貸し付けについて―
7、地域包括ケアについて
⇒会議体の設置を表明
8、子どもの貧困対策について
⇒前向きに取り組むことを表明
9、少年団体の支援事業について
10、「子ども・子育て支援新制度」について
⇒保護者への緊急の説明やパブコメ実施を表明
提案。緊急要望書の全文は以下の通りです。
緊急要望書
足立区長 近藤やよい様
2014年8月5日
日本共産党足立区議団
日本共産党足立区議団は、新年度予算編成に向けて、16万世帯にアンケートを地域配布し、区内各団体と懇談を重ねてきました。その中で、新年度予算では間に合わない緊急性を要するものについて、以下要望いたします。
1、公契約条例適用現場における啓蒙活動の促進について
6月議会で3件の条例適用現場の契約が承認されました。今後は条例にそった運用がおこなわれるかを検証していくことが求められます。そこで以下の通り至急、具体化することを要望いたします。
(1)宣伝物の制作
条例適用現場におけるポスター及びチラシ等の作成並びに掲示及び現場就労者へ配布等、周知活動を推進して頂きたい。
(2)現場代理人への啓蒙
条例適用現場となる工事契約においては、書面上での確認にとどまらず、現場代理人等への周知徹底をはかっていただきたい。
(3)下請負人等への周知
公契約条例適用現場における下請業者及び労働者への周知徹底をはかるために、現場詰所等で説明して頂きたい。
(4)現場ヒアリングについて
条例適用現場における労働環境、賃金調査が重要となる。 職人からのヒアリングや建設現場に周知を徹底してください。
2、社会保険未加入対策を促進するための標準見積書の積極的な活用促進について
8月1日から国は罰則をもって対応をすすめていくことになったが、足立区でも社会保険未加入事業所(厚生年金や雇用保険)の排除がすすむことが予想されます。
国や日建連(日本建設事業連合会)などでは、社会保険促進のために、「標準見積書」を作成し、会員企業にその使用を求めています。
足立区では、総務部契約課が、全国的にも先進的な:「下請け契約にあたっては標準見積書を尊重すること」と明示した指導文書を元請事業者に配布し適主な契約を結ぶことを求めました。
この書面を利用した契約が業界の慣習となるように、元請業者にはこの標準見積書の使用を重ねて強く求め、促進することを求めます。
3、公共工事における単価増と人材不足への対策について
建設業界は急激な円安による輸入価格の向上や震災復興事業に加え、東京オリンピック関連事業による資材費の急騰や人材不足はもはや一企業の努力で乗り越えられる限度を超えており、区内建設事業者への影響は大手ゼネコンより顕著である。
このような状況において、工期の絶対厳守を求めることは区内建設業者の経営を圧迫することになる。現在の特別な状況を鑑み必要に応じて工期の延長をすること。
4、東京労働局の是正指導について
(1)戸籍窓口業務について
足立区が今年1月から区役所の戸籍の窓口業務を大幅に民間企業(富士ゼロックスシステムサービス)に外部委託している問題で、3月に東京法務局が戸籍法違反を指摘したのに続き、7月15日には東京労働局が「労働者派遣法に違反している(偽装請負)」と断定しました。戸籍窓口に法務局や労働局が繰り返し立入調査・指導に入るのは、かつてない異常事態です。足立区が労働局からの指導を受けて是正をすれば、今度は法務局の指導内容に違反することになります。戸籍事務において、包括的な委託は事実上不可能であることが証明されました。区はこれ以上法令違反を続けるのはやめ、住民の重大なプライバシーと基本的な人権を守るためにも、戸籍事務の外部委託は撤回すべきです。
(2)現在行っているすべての業務委託契約について
①「同様の違反行為がないかチェックしすみやかに是正」することについて、単に「エスカレーションと称する疑義紹介」があったかとか「マニュアルのチェック」で済ますのではなく、具体的な作業の在り方を、現場の実態調査も行いながら点検してください。
②特に包括委託している現場や偽装請負の懸念のある現場(都市農業公園など公園の包括委託、住区センターの住民委託における学童保育の巡回指導、清掃事業における車付雇上、教育現場における学習塾を介在しての事業や用務員・警備員等の委託、プールをはじめとするスポーツ施設への区に寄せられた苦情対応、保育園の給食委託、地域包括支援センターへの区からの要請・指示など)については、厳密に調査を行うとともに、その調査結果を明らかにされたい。
③3000近い雇用契約をかかえる中、「適正な請負」となっているかなど、労働法制について、専門家の力も借りて研修を行われたい。
④介護保険・国保など、今後包括委託の実施・拡大を契約している事業についても凍結をし、あり方を抜本的に見直しされたい。
5、自衛隊員勧誘のための情報提供について
7月6日付『東京新聞』が報道しているように、防衛省・自衛隊は自衛官募集にあたって、
「地方自治体に情報提供を依頼L、入手した情報をもとに18歳を狙い撃ちにしだ募集活動を行っていることが報道され、足立区においても18~24歳までの適格者の名簿を、自衛隊に「抽出閲覧」させていることが明らかになりました。
個人情報保護審議会の了承なしには、個人情報の外部提供は禁じられているものであり、とりわけ、年齢抽出閲覧要請を受け入れることは認められず、足立区としてこうした法的根拠のない情報提供はすべきでないと考えます。
区長および執行機関においては、集団的自衛権の閣議決定と気を一にした自衛隊のこうした法的根拠のない「抽出閲覧」には応じないよう対処されるよう要請するものです。
6、熱中症対策―生活保護世帯へのエアコン代等貸し付けについて―
生活保護世帯エアコン代等貸し付けについて
厚生労働省は今年7月から、生活保護世帯がエアコン等を購入するための費用について貸付が受けられるよう通知しました。
(1)年金や就労による収入がない場合も貸し付けが受けられるようになったのは前進ですが、収入からの控除が廃止されたのは本人負担が大変になります。制度の改悪であり控除を復活してください。
また、収入のない世帯には、補助をして本人負担を軽減するようにして下さい。
(2) 新たに貸し付けが受けられるようになった世帯について、できるだけ短時日で貸付が受けられエアコンを購入できるようにして下さい。
また、毎月の返済額を少ない額でも認め、生活を圧迫しないように配慮して下さい。
高額の返済を求めることは最低生活費を割り込み生存権にもかかわるので強制しないでください。
7、地域包括ケアについて
「医療・介護総合法」が6月に成立し、この中では高齢者が病院や施設から地域・在宅に移行する方向性が示され、地域で医療や介護が受けられる「地域包括ケアシステム」を区市町村が中心になってつくるという考え方が盛り込まれています。
国では予算削減を念頭に2025年度をめざして地域包括ケアシステムを構築すべきとしていますが、同じ「医療・介護総合法」に盛りこまれている「新総合事業」は遅くとも2017年度までに実施することとされています。
施設に入所できない高齢者も多い中、来年度からは第6期介護保険事業計画もスタートするが、地域包括ケアシステムの大きな柱である医療・介護の連携をどうするのか、研究・検討する会議がいまだ設置されていません。
早急に、地域包括ケアシステムに関する会議体を設置してください。
8、子どもの貧困対策について
子どもの貧困対策に取り組んでください。
9、青少年団体の支援事業について
(1)区は「子ども会活動を通じて青少年の健全育成を図るため、足立区少年団体連合協議会に対し、補助金を交付し、活動の活性化を図る」としています。
連合協議会の活動は補助金のほかに各地区の分担金を合算して成り立っていますが、2013年度の補助金は前年度比約10万円削減となり、構成員の負担増により対応してきました。2014年度は、協議会総会での予算の議決後に突如、約40万円の補助金の削減を示され、活動の活性化どころか支障をきたす状況です。緊急に補正予算で対応するとともに、削減の理由と事実経過を明らかにされたい。
(2)委託事業として、ジュニアリーダー研修会や宿泊キャンプを実施していますが、育成したジュニアリーダーが中学卒業後も継続して活動に参加できる仕組みがありません。
早急にリーダーとして活動ができる仕組みをつくっていただきたい。
10、「子ども・子育て支援新制度」について
区は、来年4月から施行する「新制度」に関する条例は第3回定例会に提案する作業を進めており、住民や子育て世代の要求にこたえる中身になるのか、保育や子育てに対する自治体の姿勢が鋭く問われています。
区は、矢継ぎ早に公立保育園の民営化を進めてきた結果、受託する事業者が全国各地に広がり、看護師の未配置や保育士の定着度が低く、園長までも次々に変わる事態まで起きています。新制度は公的保育を土台から掘り崩し、現行の保育水準・基準を後退することはあってはならないと考えます。
第3回例例会に条例を提案するとしているにも関わらず、いまだに制度の内容について、具体的な説明すらしていない。新制度についての疑問や不安がますます広がっているなか、よく知らされないまま制度を強行すべきではありません。
早急に新制度にかかわるすべての団体(学童保育室など)や職員、地域住民を対象にした説明会を開催し、パブリックコメント等で広く区民の要望や意見を聞き、条例策定に活かすことを緊急に求めます。