高沢一基(かずもと)の陣中日記

板橋区議会議員・「高沢一基(かずもと)」のオフィシャル日記です。

コロナ禍の経験を活かして~代表質問・全原稿~

2022-03-08 14:22:03 | Weblog
令和4年度区長施政方針説明に対する代表質問を3/7に行いました。前向きな答弁も多く頂きましたが、取り急ぎ、質問原稿を紹介します!

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ロシアは、一方的な武力侵攻により、ウクライナの主権を犯し、人々の命を奪っています。ロシアに対して、即時の停戦と撤兵を求めるとともに、侵略行為に強く抗議します。そして、ウクライナの独立とウクライナ国民の平安を、心よりお祈り申し上げます。

それでは、区長の令和四年度・施政方針説明に対する、民主クラブの代表質問を行います。

新型コロナウイルス感染症は、国内感染者の増加傾向は鈍化しているものの、重症者や死者は増えており、いまだ、社会活動も影響を受けています。コロナ禍は三年目を迎えていますが、この間、医療・介護・福祉で働く方はもとより、流通・サービス・交通や区職員を始めとする公務員のみなさんも含めて、社会機能を維持するために日々働いて下さっているすべての方々に感謝申し上げます。経口治療薬の普及も進み、国産の治療薬やワクチンも開発されるなど、光も見えます。今後とも、新型コロナ対策を進めつつ、コロナ後を見据えた政策を提案し、実現させていく所存です。

 さて、坂本区長は、施政方針説明において、令和四年度も「緊急財政対策の方針を継続する」とともに、新年度に開設される「板橋区子ども家庭総合支援センター」や「まちづくり事業の進展」などにより多額の経費負担があるため、「将来を見据えた健全な財政基盤を確立していく必要がある」と述べられました。確かに、今後の景気状況は予断を許さず、「子ども家庭総合支援センター」は、令和四年度だけで約三十二億七千万円もの経費がかかり、国や都の補助を除いた区単独の負担は約十二億八千万円に上ります。この負担は令和五年度以降も続きますので、財政基盤の確立は必要であります。
コロナ禍で傷ついた世界経済の中で、我が国は経済回復が遅れています。経済協力開発機構(OECD)の「世界経済見通し」では、経済成長率が、昨年は二・六パーセントで、先進二十ヵ国の中で十九位。今年の見通しは二・0パーセントで最下位となっています。また、国際通貨基金(IMF)が発表した一人当たり国内総生産(GDP)は、昨年の数値で世界二十六位となっています。
何故、我が国は、貧しくなり、経済回復が遅れているのか。欧米は、積極的な財政出動による経済政策を実行して、経済回復を後押ししています。我が国においても、経済政策を積極財政に転換しなければならないと考えます。板橋区の新年度予算案を見ると、過去最高の税収により健全な予算が組めており、税収を増やして行くために、積極的な経済政策が重要です。区単独では限界があるものの、区民の暮らしや区内経済を守るために、板橋区においても、経済政策への積極的な財政出動と行財政改革の両立を求めます。

それでは、コロナ禍の経験を活かして、今後の施策を進めるために、質問をします。

第一は、区内消費喚起についてです。新年度にはデジタル地域通貨「(仮称)いたばしPayの導入」とプレミアム付販売が表明されています。利用期限を定めたプレミアム付の消費喚起策は、コロナ禍で苦しむ区内経済にとって有効な手段だと考えます。キャッシュレス化の推進だけではなく、区内消費喚起策としての意義について、区長のお考えをお示し下さい。
また、利用できる店舗や事業者が少ないと、その効果が薄れてしまいます。飲食やサービスの個店だけでなく、コンビニ・スーパー・量販店、はたまた、タクシーなど、多様な業種にご参加いただけるよう働きかけるべきと考えますが、ご見解と今後の展望についてお聞かせ下さい。
さらに、新年度予算案には、紙で発行するプレミアム付区内共通商品券が盛り込まれていません。昨年も同様に当初予算案に盛り込まれていなかったため、代表質問で提案し、その後の補正予算で二十五パーセントのプレミアム付商品券の発行が実現しました。現在はデジタル決済が浸透して来ていますが、まだまだ馴染めていない方も多くいらっしゃいます。デジタル化の過渡期である今だからこそ、幅広い世代に区内消費喚起へ参加して頂くために、利用期限を定めたプレミアム付商品券の発行を求めますが、ご見解と今後の展開についてお聞かせ下さい。

第二は、ひきこもり対策についてです。
区長は、新年度から「ひきこもり対策担当係長」を新設すると述べられました。六ヶ月以上社会参加していない所謂「社会的ひきこもり」は、内閣府が平成二十八年に発表した十五歳から三十九歳を対象にした調査では、全国の推計で五十四万一千名。同じく平成三十一年に発表した四十歳から六十四歳を対象にした調査では、六十一万三千名であり、全国で百万名以上の方々がひきこもっていると推定されています。少子高齢化が進む今日、百万名もの労働力が稼働していないことは大きな経済的損失でありますし、ましてや、社会参加できない方々の心や体の健康と幸せを考える時、ひきこもり対策は欠かすことのできないことであり、新年度からの担当部署設置を大いに評価します。
現在、板橋区では、ひきこもりのことでお困りのご家族を対象にして、児童精神科医による個別相談や連続講座の「ひきこもり家族教室」を実施していますが、これらは全て対面による実施とのことです。コロナ禍でオンラインの活用が普及して来ている今日、相談を躊躇されるご家族を後押しするためにも、オンラインによる相談体制も確立するべきと考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。
フィンランドでは、四十年程前から「オープンダイアローグ」という統合失調症を改善させる精神療法が成果を上げており、近年、我が国でも注目を集めています。この療法は、自閉症などを発症した本人、その家族、親戚、医師、看護師、心理士などが車座になって「対話」をする精神療法です。ミーティングに参加する人は、本人と家族、そして専門家を交え、それぞれ平等に「対話」を進めて行く方法であり、独白「モノローグ」ではなく、対話「ダイアローグ」に焦点を当てた治療法です。医学博士の斎藤環氏は、この療法を「社会的ひきこもり」の支援に応用して取り組んでおり、その効果が期待されます。「オープンダイアローグ」の手法をひきこもり対策に応用することについて、ご見解をお聞かせ下さい。
また、健康福祉センターなどで、ひきこもり対策として「オープンダイアローグ」の活用を提案しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、対面による「オープンダイアローグ」への導入として、オンラインでも実施できないか専門的な検討を求めますが、ご見解をお聞かせ下さい。
続いて、「いたばし若者サポートステーション」について質問します。同事業は、十五歳から四十九歳までで就労の不安を抱えている方を対象に「生活改善」「就労準備」「就活応援」を継続的に支援しています。また、臨床心理士による「就活こころ相談」など、ひきこもり対策としても重要な位置を占めていると考えます。同事業では、コロナ禍を契機にオンラインの活用が進んでいます。令和二年度は、相談千六百二件の内、オンラインが二百八十八件、セミナー参加者四百五十五名の内オンライン参加は百四十一名などとなっており、令和三年度も同様です。今後、感染状況の改善により対面式事業の復活も必要だと考えますが、オンラインは参加や相談のハードルを下げる効果もあると考えられます。コロナ後においても、オンラインの活用を求めますが、ご見解と今後の方針をお聞かせ下さい。

第三に、不登校児童・生徒の学習支援について、お聞きします。
本年度からは、全小中学校の児童・生徒に一人一台端末が貸与され、デジタルやオンラインの教育が本格化しました。そうした中、不登校や登校を控えている子供達が端末を活用して自宅で学習しているとの声をお聞きしました。子供達には限りない可能性があります。その可能性を将来につなげるために、不登校の子供達にも学習支援をしっかりと行い、高校進学などに備えることが重要であると考えます。不登校の子供達の中には、通学する小中学校やその教師に対して精神的な負荷を抱えている場合も多く、フレンドセンターは、そうした子供達にとって大きな存在です。現在、フレンドセンターでは、非常勤の講師が自学自習の支援をしていますが、その講師には端末が配備されていません。「板橋フレンドセンター運営要綱」には、その目的として「学ぶ喜び、分かった喜びを実感し、社会的自立に必要な基礎学力を身に付けることができるようにする」とあります。フレンドセンターの非常勤講師に対しても端末を配備し、学習支援を強化すべきと考えます。
さらに、学校だけでなくフレンドセンターにも通うことができない子供であっても、端末でフレンドセンターの学習支援が受けられるように求めますが、ご見解をお示し下さい。

第四に、区制九十周年事業について、お聞きします。
本年十月には、区制施行九十周年を迎え、板橋区は、コロナ禍を踏まえ、既存事業を中心に記念事業を実施するとしています。記念式典の開催や記念誌・記念リーフレットの発行なども行う予定とのことですが、九十周年の節目は、お祝いだけでなく、板橋区の広報として活用する絶好の機会であると考えます。新潟県は、お米の消費向上のため、「遅刻するおむすび少女プロジェクト」として、本年一月から四回にわたり動画を配信して話題を集めています。通信環境の整備が進むとともに、コロナ禍によるオンラインの普及もあいまって、インターネットを使った動画配信は多くの人々に伝える手段として有効なものとなっています。そこで、提案します。区制施行九十周年にあたり、板橋区のプロモーション動画を作成してはいかがでしょうか。ネットで話題になったり、テレビで紹介されたりするような動画作成と配信を求めますが、ご見解をお聞かせ下さい。

続いては、明るく賑やかなコロナ後を迎えるために、提案を交えて質問します。

 まず第一は、自殺防止対策についてです。
 長年提案して来ました自殺対策の専門部署について、板橋区は昨年八月、「いのち支える地域づくり担当係長」を新設しました。そして、令和四年度からは、健康推進課に係を移動し増員の上、三名体制とするとのことです。コロナ禍により、自殺者が増加傾向にあり、中でも女性や子供の自殺者が増加している現状を考えても、板橋区がその対策を強化することを評価します。板橋区でも地域自殺対策計画を策定し対策に取り組むところですが、自殺防止対策には専門家の助言が必要不可欠であると考えます。国では「いのち支える自殺対策推進センター」を立ち上げ、データ分析や対策を提言するなど情報提供をしています。そこでお伺いします。板橋区においては、同センターの情報を活用しているでしょうか。現状をお聞かせ下さい。また、同センターや自殺防止対策の専門家との連携を求めますが、ご見解をお示し下さい。

第二は、成年後見制度についてです。
板橋区では令和三年度から五年度までを期間とする「板橋区成年後見制度利用促進基本計画」を策定しています。成年後見制度は、認知症や障碍により自身の契約や財産管理ができない方に代わって後見人を選任する制度です。本年は、人口が多い所謂「団塊世代」が七十五歳を迎える年とされ、核家族化が進む中、高齢となられ認知能力の低下などの不安を抱えている方が増加しています。その一方、成年後見制度への理解が広まっているとはいえない状況です。令和元年に板橋区が実施した調査では、「内容までだいたい知っている」という方は二十三・六パーセントです。板橋区では、社会福祉協議会が運営する「権利擁護いたばしサポートセンター」が、分かりやすいチラシや広報紙によって周知に努めていますが、認知症施策啓発事業で活用しているものの、配布先は、地域センターや地域包括センター、民生委員などであり、限定的です。制度だけでなく、センターの存在を周知するためにも、広報活動や周知事業の拡充を求めます。ご見解をお示し下さい。
また、成年後見人は、弁護士や司法書士などの専門職が多数を占めますが、親族が選任される場合も二割以上あるとのことです。さらに、親族でも専門職でもない社会貢献型後見人、所謂「市民後見人」も一翼を担っており、板橋区では八名の方が登録されています。現在、板橋区では、親族後見人の集いを開催したり、市民後見人への支援を実施しているとのことですが、他自治体では、親族後見人の個別相談だけでなく、相談会や連絡会の開催、定期的なアンケート実施などで手厚く支援しているところもあります。市民後見人についても、受任調整の支援や専門職との連携を行っている自治体もあります。今後の需要の高まりを想定して、親族後見人や市民後見人への支援強化を求めます。今後の方針も含めて、ご見解をお聞かせ下さい。

第三は、教職員人事権の移譲についてです。
私は、平成二十二年の一般質問で、地域独自の教育施策を推進させ、優秀な教職員を確保するために、都費負担教職員の人事権を板橋区へ移管することを求めました。平成二十四年には、大阪府において、豊中市など三市二町で移譲されましたが、その後、全国的な広がりとはなっていません。東京都においては、都区のあり方検討会において人事権の移譲の方向性が合意されましたが、現在に至っても進展がありません。教職員人事権の移譲については、財源の移譲や広域的な採用・人事交流などの組織も必要であり、解決しなければならない課題も多くあります。特別区教育長会では、昨年八月にも都へ要望を実施しているとのことですが、子供達の将来を左右する重要な職である教職員について、優秀な人材を確保するためには、人事権の移譲が必要であると考えます。人事権の移譲に対する教育長のご見解を改めてお聞きするとともに、東京都との交渉状況と今後の推進についてお聞かせ下さい。

第四は、本庁舎の省エネ化についてです。
区長は、板橋区ゼロカーボンシティの表明を受けて、本庁舎などへの再生エネルギー百パーセント電力の導入などを述べられています。確かに、再生可能エネルギーの活用は二酸化炭素削減にとって意味がありますが、その一方、電気料金はおよそ一・二五倍になるといわれています。電力は安定的な供給はもちろんですが、電気料金をおさえることも経済的に重要なことです。また、省エネルギーに取り組むことも持続可能な社会を築くために必要不可欠だと考えます。学校施設では、令和四年度から計画的に照明のLED化を進めるとのことですが、本庁舎を始め区施設では、改築や大規模改修に合わせて実施するとのことです。しかし、本庁舎など当面利用を続ける施設については、学校と同様、計画的にLED化を進めるべきと考えます。そこで、お聞きします。本庁舎内で利用頻度が高い場所や交換が容易にできるところについては、計画的にLED化を進めることを求めます。ご見解をお聞かせ下さい。

以上、提案を交えつつ質問をして来ましたが、坂本区長及び中川教育長の前向きなご答弁に期待申し上げます。

最後になりましたが、本年三月末で、森区民文化部長・松田会計管理室長・藤田高島平健康福祉センター所長・廣木建築安全課長・義本土木計画交通安全課長・市川みどりと公園課長・近藤教育総務課長を始めとする百十七名の方々が定年退職を迎えられます。長年、区政に賜りましたご功績に対して感謝申し上げますとともに、益々のご健勝をお祈り申し上げます。

 以上で、民主クラブの代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。


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