代表質問(3月6日)で7つの提案をしました。質問原稿の全文を掲載しますので、どうぞご覧下さい。
本年二月六日に発生したトルコ南部とシリアにおけるマグニチュード七・八の大地震は、その後も強い余震が続き、死者は五万名を超えて、行方不明者の総数も把握できていない状況です。お亡くなりになられた方々のご冥福とともに、早期の復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
それでは、区長の令和五年度・施政方針説明に対する、民主クラブの代表質問を行います。
まず始めは、「積極財政で区内経済を動かす!」についてです。
坂本区長は、令和五年度予算案を「明日につなげ、未来を描く『みんなのくらし応援予算』と銘打ち、新型コロナウイルス感染症対策、物価高克服及び地域経済活性化対策などに迅速かつ的確に取り組む」と表明されました。総務省統計局が二月二十四日に公表した本年一月の消費者物価指数は、三年前と比較して四・三パーセント上昇しており、相次ぐ食料品や生活用品の値上がりを実感しているところです。一方、賃金については、厚生労働省が二月七日に発表した毎月勤労統計調査では、昨年の名目賃金が前年比二・一パーセント増となったものの、物価高を乗り越えることができずに、昨年の実質賃金は、〇・九パーセント減となってしまいました。何故、物価高だけが進み、「給料が上がらない」のか。それは経済政策に対する積極的な財政出動を躊躇してきた政府の責任であると考えます。コロナ禍で傷つき苦しんでいる我が国経済を立て直すためには、積極財政というカンフル剤が必要です。
板橋区の新年度予算案を見ると、産業経済費は前年度当初予算比約五億八千万円増の約三十二億八千万円で、構成比も一・四パーセントとなりました。産業経済費の構成比が長く一パーセント未満であったことを考えると、経済対策への財政出動として評価します。しかし、その内容を見ると、新規の経済対策としては、板橋区産業振興公社が実施する「エネルギー分野への新産業参入支援」「産業情報ガイドブックのDX化」「東京インターナショナル・ギフト・ショーへの出展」の約一千六百万円のみしかなく、既存事業の拡充についても、キャッシュレス決済や産業融資利子補給など限定的です。また、先般成立した令和四年度最終補正予算での産業経済費は約三十九億二千万円であり、五年度予算案と比較すると約六億四千万円の減となっています。
そこで、お聞きします。令和五年度の経済対策について、今後の補正予算の編成も含めて、さらに積極的に進めることを求めますが、ご見解をお聞かせ下さい。
積極財政による経済政策の要は、消費喚起だと考えます。我が国の個人消費は国民総生産(GDP)比で五割を超えており、活発な国内消費を呼び起こすことが肝要です。そこで、区内地域経済を動かす後押しとして、大胆な消費喚起策が必要であると考えます。新年度予算案における「いたばしPay」事業の拡充は、前年度当初予算比では約二億三千万円の増ですが、最終補正予算と比較すると約一億九千万円の減であります。
区内消費喚起を進め、区内経済を動かすために、消費期限をつけたプレミアム「いたばしPay」の発行拡充を求めます。
さらに、幅広い世代の消費を喚起するために、同じく期限をつけたプレミアム区内共通商品券の発行を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
次は、「クラフトビールで板橋を盛り上げる!」についてです。
昨年十月の決算総括質問に於いて、公明党のさかまき議員も触れていましたが、「クラフトビール」について取り上げます。板橋区立郷土資料館には、下板橋村の名主であった飯田家が明治六年に東京府へ届け出た物産に関する明細帳が保存されています。その資料には、下板橋村の物産が記され、その中に「ヒイル酒 三拾石 此代金六百丗五円」と書かれています。我が国のビール生産は、明治初年から始まるといわれていますが、明治六年に下板橋村でビールが生産されていたことから、板橋区は「日本のクラフトビール」発祥の地といっても過言ではないと思います。
現在、区内では二社がクラフトビールの生産を行っていますが、郷土資料館蔵の「ヒイル酒」文書を活用し、いたばしブランドの一角にクラフトビールを位置付けることを提案します。ご見解をお聞かせ下さい。
また、北海道鶴居村ではクラウドファンディングを使って廃校になった小学校体育館にクラフトビール事業者を誘致しています。平成六年の酒税法改正により小規模な事業者もビールを生産することができるようになっており、商店街の空き店舗対策としても期待されます。いたばしブランド確立に商店街振興の意味を加え、クラウドファンディングを活用した空き店舗でのクラフトビール事業者育成を提案します。ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、大阪市では、古民家を活用したクラフトビール醸造所で障碍者就労支援を実施しています。クラフトビール事業者育成事業が実現した暁には、障碍者雇用も求めますが、合せてご見解をお聞かせ下さい。
次は、「給食費を値上げせず子育て世帯を応援する!」についてです。
板橋区では、食材費が高騰する中、学校給食費の負担を軽減するために、飲用牛乳購入事業を実施しています。令和四年度は補正予算で約九千八百万円、令和五年度は当初予算案で約一億三百万円を計上し、給食費を値上げすることなく、給食の質と量を確保していることを評価します。
一方、一食当たり二百三十一円から三百十九円の給食費は、平成二十六年度から変更されておらず、九年間値上げされていません。消費税率変更による値上げを除くと前々回の値上げは平成十六年であり、近年は給食費改定の時期となっています。
しかし、冒頭でも述べた通り、物価上昇に賃金上昇が追い付いていないため、子育て世代への支援として、当面の間、給食費を値上げしないように求めます。中川教育長のご見解をお聞かせ下さい。
また、以前より主張している政府備蓄米の学校給食への無償提供については、令和二年度は小中十校で活用されたものの、令和四年度は七校での実施でした。物価高騰による給食費値上げを防ぐためにも、政府備蓄米無償提供の一層の活用を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、政府備蓄米の無償提供は幼稚園も対象にされています。現在は活用されておりませんが、自園調理する私立幼稚園などに、同制度を周知することを提案します。合わせてお答え下さい。
続いては、「プラネタリウム更新で賑やかな街をつくる!」についてです。
教育科学館のプラネタリウムは、昭和六十三年に完成し、長い間、区民に親しまれて来ました。約三億七千万円の予算を投入し建設された教育科学館のプラネタリウムは、学習施設という面だけでなく板橋区の顔としても存在して来ました。しかし、完成後三十五年を経過する今日、機器は旧式化し部品の調達も困難になり、令和三年には十一月十日から十二月十三日までの約一ヶ月間、故障により利用できない状況が続きました。平成三十一年三月に策定された「いたばしNo.1実現プラン二〇二一」では、平成三十二年度と平成三十三年度で「プラネタリウム投影設備の更新」をするとされていましたが、その後、先送りをされてしまいました。本年の坂本区長の施政方針説明では、「景気回復の基調を踏まえ、令和二年度から取り組んできた緊急財政対策は実施しない」と述べられています。プラネタリウムの機器更新については、これ以上の先送りはせずに、早期の実施を求めます。
また、教育科学館では、屋根の防水工事など一部設備の改修を行っていますが、上水ポンプの故障により、昨年九月二十一日から同三十日まで臨時休館となっています。主要な設備についても、状況を確認し、プラネタリウムの機器とあわせて、早急に設備更新を実施する必要があると考えます。お考えをお聞かせ下さい。
また、現在、導入しているプラネタリウムの設備は、光学式の旧式機器ですが、プラネタリウムの技術も進歩しています。近年、導入が進む「自発光式ドームシアター」は、ドームスクリーン自体が高解像度で発光し、彩鮮やかな映像を楽しむことが出来ます。現在、他の施設では、プラネタリウムとしてだけではなく、「成人式」や「ヨガ体操イベント」、「プレスリリース」などが行われているところもあります。「自発光式ドームシアター」であれば、投影機がないため場内を広く活用できる利点があり、更に活用の幅を広げることができます。
そこで、機器更新に当たっては、プラネタリウムとしての利用だけではなく、各種イベントにも応用できる機器の選定を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、魅力あるプラネタリウムへ更新することにより、教育科学館・中央図書館・平和公園の相乗効果で、「いたばしブランド」の向上につながると考えますが、坂本区長のお考えをお聞かせ下さい。
次は、「公契約条例で質の高い公共サービスを!」についてです。
板橋区では、来る四月一日から「板橋区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱」を定め、三千万円以上の工事請負契約・一千万円以上の清掃・警備・用務などの委託契約を発注する際、「労働環境チェックシート」の提出を求めるとのことです。チェックシートでは、「就業規則」「労働時間、時間外及び休日の労働」「安全衛生」「賃金」「保険加入」「法定帳簿等の整備状況」が確認され、不適切な場合は「労働環境改善指示書」により改善を求めるとしています。工事や委託などの公契約について、働く人々の低賃金が指摘されている今日、労働環境を確認する要綱が制定されることは一定の評価をします。また、ダンピング防止と企業の利潤確保として、工事入札の最低制限価格の見直しと、入札時に価格以外の要素を評価する総合評価方式を拡充して項目を追加するとも報告されており、対応を評価します。
一方で、受発注者の責任や適正な賃金水準、労働条件の確保を盛り込んだ所謂「公契約条例」は、二十三区中十区で制定され、制定へ向けて準備を進める区も複数存在していますが、板橋区では未だ制定されていません。公契約条例は、働く人々の「給料を上げて」労働環境を守るだけでなく、事業者にとっても人手不足の中、働き手を確保することや適正な価格で利潤を確保することにつながります。発注者である板橋区にとっても、より質の高い建物やサービスを区民へ還元することができます。また、「給料が上がる」ことで地域経済の活性化に資するとともに、区内への生産年齢人口の定住促進にも効果があると考えます。公契約条例は、板橋区・会社・働き手の「三方良し」の制度であり、区民サービスの向上・地域の活性化を含めれば、「四方良し」「五方良し」ともなります。
労働環境の要綱制定を期に、業界団体などの経営側・連合東京などの労働側の意見を聴取し、坂本区長がリーダーシップを発揮して、公契約条例の制定を進めることを求めます。ご見解と今後の展望をお聞かせ下さい。
続いては、「自転車マナーアップで安全な板橋を!」についてです。
私は、平成十九年の初当選以来、自転車の安全利用について幾度となく区議会で取り上げて来ました。近年では、電動アシスト付自転車の機能が向上していることもあり、警視庁は、「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せず歩道走行」の四項目について、刑事処分を行う「赤切符」による取り締まり強化を実施すると表明しています。また、道路交通法の改正により、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務として本年四月から施行されます。
平成二十年の一般質問で私は、板橋区が全国に先駆けて制定した自転車安全利用条例に規定されている「自転車安全利用指導員」が一度も委嘱されていないことを指摘し、同指導員を委嘱して、一時停止が守られていない交差点などでマナーアップの声掛けをするべきと提案しました。その後は、小学校に於ける自転車安全教室で自転車商の方を同指導員に委嘱して、自転車の整備などの啓発に努めていますが、未だマナーアップには活用されていません。
警察での取り締まり強化が始まる今日、板橋区としても、自転車安全利用指導員を委嘱して、マナーアップの声掛け活動を実施することを改めて求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
また、本年七月からは、電動キックボードの免許が不要になるなど、新しい交通手段が増え安全確保に懸念が抱かれています。警察と連携して、自転車や電動キックボードなどのマナーアップキャンペーンの実施を求めますが、今後の方針をお聞かせ下さい。
最後は、「駅前広場整備で大山の魅力向上を!」についてです。
坂本区長は施政方針説明で「大山駅周辺地区では、東武東上線の立体化、および駅前広場の整備に向けた用地取得等に取り組」むと表明されました。大山駅付近の街づくりの成否は、東京都が実施する東上線立体化と都道補助二十六号線の開通、民間の再開発とともに、板橋区施行の駅前広場整備を一体となって進めることができるかどうかが、鍵だと考えます。
大山駅前広場整備事業は、令和三年十二月に都市計画事業認可がなされ、昨年八月の用地補償説明会を経て、現在は権利者の立ち合いによる用地測量が行われています。今後は工事説明会を実施して工事着手し、東上線立体化の令和十二年度末の整備完了を目指すとのことです。現在、用地測量のための立ち合いに応じて下さった権利者は約七割とのことですが、用地取得へ向けての権利者の理解促進は丁寧に進める必要があると考えます。用地取得へ向けての権利者の理解促進について、お考えをお聞かせ下さい。
また、駅前広場の整備にあたっては、権利者だけでなく地域住民への周知・広報も重要だと考えます。現状と今後の在り方について、お聞かせ下さい。
更に大山駅前広場周辺の街づくりについても、お伺いします。平成三十一年の代表質問でも取り上げましたが、大山駅前広場の都市計画の範囲は、東側道路まで含まれておらず、駅前広場に建物の背面が並ぶ形となっています。新しく駅前広場が整備された際、建物の背面が並んでいては印象が沈んでしまいます。民間の建て替えに期待するとしても、前後が道路に挟まれた細長い地区が残ることは、まちづくりの観点からも疑問が浮かびます。昨年五月からは、「大山駅東地区 駅前周辺地区 地区整備計画変更検討会」が設置されました。町会・商店街・公募の委員による検討が重ねられ、本年二月三日に提言書が決定され、今月には区長へ提出されると聞いています。
駅前広場に面した地域の街づくりに関して、情報収集を強化し、民間開発の動きが出て来た場合に連携できるよう準備を求めます。ご見解をお示し下さい。
また、実際の駅前広場の機能については、平成二十九年三月に策定された「大山駅の駅前広場構想」で、交通結節機能として「バス乗降場」「自転車駐車場」「タクシー乗降場」、都市の広場機能として、「イベント広場」「緑地」「交番」「公衆トイレ」「案内板」などが示されていますが、具体的な設計はこれからです。平成三十一年の代表質問でも提案しましたが、一般の方だけではなく、タクシーやバスの運転手も利用する快適なトイレの設置、日頃は広告や区の広報で活用し、災害時には外国人の為に多言語で情報を提供できるデジタルサイネージの設置を改めて求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
更に、都道補助二十六号線の開通を見越して、東武東上線・大山駅と都営三田線・板橋区役所前駅を結ぶバス路線の導入に関して、バス事業者との協議を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
駅前広場の具体的な設備やバス路線は、まだまだ先の話かもしれません。しかし、権利者や地域の方々、そして区民の理解を進めるためには、具体的な将来像を示すことが大切だと考えます。大山駅前広場の将来像を示すことについて、お考えをお聞かせ下さい。
以上、「批判より政策実現!」で代表質問をして来ましたが、坂本区長及び中川教育長の前向きなご答弁に期待申し上げます。
最後になりましたが、本年三月末で、久保田福祉部長・岩田資源環境部長・糸久土木部長・荒井総務課長・町田地域振興課長・織原長寿社会推進課長・石橋後期高齢医療制度課長・森下資源循環推進課長・内田南部土木サービスセンター所長を始めとする百四十九名の方々が定年退職を迎えられます。長年、区政に賜りましたご功績に対して感謝申し上げますとともに、益々のご健勝をお祈り申し上げます。
以上で、民主クラブの代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
本年二月六日に発生したトルコ南部とシリアにおけるマグニチュード七・八の大地震は、その後も強い余震が続き、死者は五万名を超えて、行方不明者の総数も把握できていない状況です。お亡くなりになられた方々のご冥福とともに、早期の復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
それでは、区長の令和五年度・施政方針説明に対する、民主クラブの代表質問を行います。
まず始めは、「積極財政で区内経済を動かす!」についてです。
坂本区長は、令和五年度予算案を「明日につなげ、未来を描く『みんなのくらし応援予算』と銘打ち、新型コロナウイルス感染症対策、物価高克服及び地域経済活性化対策などに迅速かつ的確に取り組む」と表明されました。総務省統計局が二月二十四日に公表した本年一月の消費者物価指数は、三年前と比較して四・三パーセント上昇しており、相次ぐ食料品や生活用品の値上がりを実感しているところです。一方、賃金については、厚生労働省が二月七日に発表した毎月勤労統計調査では、昨年の名目賃金が前年比二・一パーセント増となったものの、物価高を乗り越えることができずに、昨年の実質賃金は、〇・九パーセント減となってしまいました。何故、物価高だけが進み、「給料が上がらない」のか。それは経済政策に対する積極的な財政出動を躊躇してきた政府の責任であると考えます。コロナ禍で傷つき苦しんでいる我が国経済を立て直すためには、積極財政というカンフル剤が必要です。
板橋区の新年度予算案を見ると、産業経済費は前年度当初予算比約五億八千万円増の約三十二億八千万円で、構成比も一・四パーセントとなりました。産業経済費の構成比が長く一パーセント未満であったことを考えると、経済対策への財政出動として評価します。しかし、その内容を見ると、新規の経済対策としては、板橋区産業振興公社が実施する「エネルギー分野への新産業参入支援」「産業情報ガイドブックのDX化」「東京インターナショナル・ギフト・ショーへの出展」の約一千六百万円のみしかなく、既存事業の拡充についても、キャッシュレス決済や産業融資利子補給など限定的です。また、先般成立した令和四年度最終補正予算での産業経済費は約三十九億二千万円であり、五年度予算案と比較すると約六億四千万円の減となっています。
そこで、お聞きします。令和五年度の経済対策について、今後の補正予算の編成も含めて、さらに積極的に進めることを求めますが、ご見解をお聞かせ下さい。
積極財政による経済政策の要は、消費喚起だと考えます。我が国の個人消費は国民総生産(GDP)比で五割を超えており、活発な国内消費を呼び起こすことが肝要です。そこで、区内地域経済を動かす後押しとして、大胆な消費喚起策が必要であると考えます。新年度予算案における「いたばしPay」事業の拡充は、前年度当初予算比では約二億三千万円の増ですが、最終補正予算と比較すると約一億九千万円の減であります。
区内消費喚起を進め、区内経済を動かすために、消費期限をつけたプレミアム「いたばしPay」の発行拡充を求めます。
さらに、幅広い世代の消費を喚起するために、同じく期限をつけたプレミアム区内共通商品券の発行を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
次は、「クラフトビールで板橋を盛り上げる!」についてです。
昨年十月の決算総括質問に於いて、公明党のさかまき議員も触れていましたが、「クラフトビール」について取り上げます。板橋区立郷土資料館には、下板橋村の名主であった飯田家が明治六年に東京府へ届け出た物産に関する明細帳が保存されています。その資料には、下板橋村の物産が記され、その中に「ヒイル酒 三拾石 此代金六百丗五円」と書かれています。我が国のビール生産は、明治初年から始まるといわれていますが、明治六年に下板橋村でビールが生産されていたことから、板橋区は「日本のクラフトビール」発祥の地といっても過言ではないと思います。
現在、区内では二社がクラフトビールの生産を行っていますが、郷土資料館蔵の「ヒイル酒」文書を活用し、いたばしブランドの一角にクラフトビールを位置付けることを提案します。ご見解をお聞かせ下さい。
また、北海道鶴居村ではクラウドファンディングを使って廃校になった小学校体育館にクラフトビール事業者を誘致しています。平成六年の酒税法改正により小規模な事業者もビールを生産することができるようになっており、商店街の空き店舗対策としても期待されます。いたばしブランド確立に商店街振興の意味を加え、クラウドファンディングを活用した空き店舗でのクラフトビール事業者育成を提案します。ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、大阪市では、古民家を活用したクラフトビール醸造所で障碍者就労支援を実施しています。クラフトビール事業者育成事業が実現した暁には、障碍者雇用も求めますが、合せてご見解をお聞かせ下さい。
次は、「給食費を値上げせず子育て世帯を応援する!」についてです。
板橋区では、食材費が高騰する中、学校給食費の負担を軽減するために、飲用牛乳購入事業を実施しています。令和四年度は補正予算で約九千八百万円、令和五年度は当初予算案で約一億三百万円を計上し、給食費を値上げすることなく、給食の質と量を確保していることを評価します。
一方、一食当たり二百三十一円から三百十九円の給食費は、平成二十六年度から変更されておらず、九年間値上げされていません。消費税率変更による値上げを除くと前々回の値上げは平成十六年であり、近年は給食費改定の時期となっています。
しかし、冒頭でも述べた通り、物価上昇に賃金上昇が追い付いていないため、子育て世代への支援として、当面の間、給食費を値上げしないように求めます。中川教育長のご見解をお聞かせ下さい。
また、以前より主張している政府備蓄米の学校給食への無償提供については、令和二年度は小中十校で活用されたものの、令和四年度は七校での実施でした。物価高騰による給食費値上げを防ぐためにも、政府備蓄米無償提供の一層の活用を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、政府備蓄米の無償提供は幼稚園も対象にされています。現在は活用されておりませんが、自園調理する私立幼稚園などに、同制度を周知することを提案します。合わせてお答え下さい。
続いては、「プラネタリウム更新で賑やかな街をつくる!」についてです。
教育科学館のプラネタリウムは、昭和六十三年に完成し、長い間、区民に親しまれて来ました。約三億七千万円の予算を投入し建設された教育科学館のプラネタリウムは、学習施設という面だけでなく板橋区の顔としても存在して来ました。しかし、完成後三十五年を経過する今日、機器は旧式化し部品の調達も困難になり、令和三年には十一月十日から十二月十三日までの約一ヶ月間、故障により利用できない状況が続きました。平成三十一年三月に策定された「いたばしNo.1実現プラン二〇二一」では、平成三十二年度と平成三十三年度で「プラネタリウム投影設備の更新」をするとされていましたが、その後、先送りをされてしまいました。本年の坂本区長の施政方針説明では、「景気回復の基調を踏まえ、令和二年度から取り組んできた緊急財政対策は実施しない」と述べられています。プラネタリウムの機器更新については、これ以上の先送りはせずに、早期の実施を求めます。
また、教育科学館では、屋根の防水工事など一部設備の改修を行っていますが、上水ポンプの故障により、昨年九月二十一日から同三十日まで臨時休館となっています。主要な設備についても、状況を確認し、プラネタリウムの機器とあわせて、早急に設備更新を実施する必要があると考えます。お考えをお聞かせ下さい。
また、現在、導入しているプラネタリウムの設備は、光学式の旧式機器ですが、プラネタリウムの技術も進歩しています。近年、導入が進む「自発光式ドームシアター」は、ドームスクリーン自体が高解像度で発光し、彩鮮やかな映像を楽しむことが出来ます。現在、他の施設では、プラネタリウムとしてだけではなく、「成人式」や「ヨガ体操イベント」、「プレスリリース」などが行われているところもあります。「自発光式ドームシアター」であれば、投影機がないため場内を広く活用できる利点があり、更に活用の幅を広げることができます。
そこで、機器更新に当たっては、プラネタリウムとしての利用だけではなく、各種イベントにも応用できる機器の選定を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
さらに、魅力あるプラネタリウムへ更新することにより、教育科学館・中央図書館・平和公園の相乗効果で、「いたばしブランド」の向上につながると考えますが、坂本区長のお考えをお聞かせ下さい。
次は、「公契約条例で質の高い公共サービスを!」についてです。
板橋区では、来る四月一日から「板橋区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱」を定め、三千万円以上の工事請負契約・一千万円以上の清掃・警備・用務などの委託契約を発注する際、「労働環境チェックシート」の提出を求めるとのことです。チェックシートでは、「就業規則」「労働時間、時間外及び休日の労働」「安全衛生」「賃金」「保険加入」「法定帳簿等の整備状況」が確認され、不適切な場合は「労働環境改善指示書」により改善を求めるとしています。工事や委託などの公契約について、働く人々の低賃金が指摘されている今日、労働環境を確認する要綱が制定されることは一定の評価をします。また、ダンピング防止と企業の利潤確保として、工事入札の最低制限価格の見直しと、入札時に価格以外の要素を評価する総合評価方式を拡充して項目を追加するとも報告されており、対応を評価します。
一方で、受発注者の責任や適正な賃金水準、労働条件の確保を盛り込んだ所謂「公契約条例」は、二十三区中十区で制定され、制定へ向けて準備を進める区も複数存在していますが、板橋区では未だ制定されていません。公契約条例は、働く人々の「給料を上げて」労働環境を守るだけでなく、事業者にとっても人手不足の中、働き手を確保することや適正な価格で利潤を確保することにつながります。発注者である板橋区にとっても、より質の高い建物やサービスを区民へ還元することができます。また、「給料が上がる」ことで地域経済の活性化に資するとともに、区内への生産年齢人口の定住促進にも効果があると考えます。公契約条例は、板橋区・会社・働き手の「三方良し」の制度であり、区民サービスの向上・地域の活性化を含めれば、「四方良し」「五方良し」ともなります。
労働環境の要綱制定を期に、業界団体などの経営側・連合東京などの労働側の意見を聴取し、坂本区長がリーダーシップを発揮して、公契約条例の制定を進めることを求めます。ご見解と今後の展望をお聞かせ下さい。
続いては、「自転車マナーアップで安全な板橋を!」についてです。
私は、平成十九年の初当選以来、自転車の安全利用について幾度となく区議会で取り上げて来ました。近年では、電動アシスト付自転車の機能が向上していることもあり、警視庁は、「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せず歩道走行」の四項目について、刑事処分を行う「赤切符」による取り締まり強化を実施すると表明しています。また、道路交通法の改正により、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務として本年四月から施行されます。
平成二十年の一般質問で私は、板橋区が全国に先駆けて制定した自転車安全利用条例に規定されている「自転車安全利用指導員」が一度も委嘱されていないことを指摘し、同指導員を委嘱して、一時停止が守られていない交差点などでマナーアップの声掛けをするべきと提案しました。その後は、小学校に於ける自転車安全教室で自転車商の方を同指導員に委嘱して、自転車の整備などの啓発に努めていますが、未だマナーアップには活用されていません。
警察での取り締まり強化が始まる今日、板橋区としても、自転車安全利用指導員を委嘱して、マナーアップの声掛け活動を実施することを改めて求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
また、本年七月からは、電動キックボードの免許が不要になるなど、新しい交通手段が増え安全確保に懸念が抱かれています。警察と連携して、自転車や電動キックボードなどのマナーアップキャンペーンの実施を求めますが、今後の方針をお聞かせ下さい。
最後は、「駅前広場整備で大山の魅力向上を!」についてです。
坂本区長は施政方針説明で「大山駅周辺地区では、東武東上線の立体化、および駅前広場の整備に向けた用地取得等に取り組」むと表明されました。大山駅付近の街づくりの成否は、東京都が実施する東上線立体化と都道補助二十六号線の開通、民間の再開発とともに、板橋区施行の駅前広場整備を一体となって進めることができるかどうかが、鍵だと考えます。
大山駅前広場整備事業は、令和三年十二月に都市計画事業認可がなされ、昨年八月の用地補償説明会を経て、現在は権利者の立ち合いによる用地測量が行われています。今後は工事説明会を実施して工事着手し、東上線立体化の令和十二年度末の整備完了を目指すとのことです。現在、用地測量のための立ち合いに応じて下さった権利者は約七割とのことですが、用地取得へ向けての権利者の理解促進は丁寧に進める必要があると考えます。用地取得へ向けての権利者の理解促進について、お考えをお聞かせ下さい。
また、駅前広場の整備にあたっては、権利者だけでなく地域住民への周知・広報も重要だと考えます。現状と今後の在り方について、お聞かせ下さい。
更に大山駅前広場周辺の街づくりについても、お伺いします。平成三十一年の代表質問でも取り上げましたが、大山駅前広場の都市計画の範囲は、東側道路まで含まれておらず、駅前広場に建物の背面が並ぶ形となっています。新しく駅前広場が整備された際、建物の背面が並んでいては印象が沈んでしまいます。民間の建て替えに期待するとしても、前後が道路に挟まれた細長い地区が残ることは、まちづくりの観点からも疑問が浮かびます。昨年五月からは、「大山駅東地区 駅前周辺地区 地区整備計画変更検討会」が設置されました。町会・商店街・公募の委員による検討が重ねられ、本年二月三日に提言書が決定され、今月には区長へ提出されると聞いています。
駅前広場に面した地域の街づくりに関して、情報収集を強化し、民間開発の動きが出て来た場合に連携できるよう準備を求めます。ご見解をお示し下さい。
また、実際の駅前広場の機能については、平成二十九年三月に策定された「大山駅の駅前広場構想」で、交通結節機能として「バス乗降場」「自転車駐車場」「タクシー乗降場」、都市の広場機能として、「イベント広場」「緑地」「交番」「公衆トイレ」「案内板」などが示されていますが、具体的な設計はこれからです。平成三十一年の代表質問でも提案しましたが、一般の方だけではなく、タクシーやバスの運転手も利用する快適なトイレの設置、日頃は広告や区の広報で活用し、災害時には外国人の為に多言語で情報を提供できるデジタルサイネージの設置を改めて求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
更に、都道補助二十六号線の開通を見越して、東武東上線・大山駅と都営三田線・板橋区役所前駅を結ぶバス路線の導入に関して、バス事業者との協議を求めます。ご見解をお聞かせ下さい。
駅前広場の具体的な設備やバス路線は、まだまだ先の話かもしれません。しかし、権利者や地域の方々、そして区民の理解を進めるためには、具体的な将来像を示すことが大切だと考えます。大山駅前広場の将来像を示すことについて、お考えをお聞かせ下さい。
以上、「批判より政策実現!」で代表質問をして来ましたが、坂本区長及び中川教育長の前向きなご答弁に期待申し上げます。
最後になりましたが、本年三月末で、久保田福祉部長・岩田資源環境部長・糸久土木部長・荒井総務課長・町田地域振興課長・織原長寿社会推進課長・石橋後期高齢医療制度課長・森下資源循環推進課長・内田南部土木サービスセンター所長を始めとする百四十九名の方々が定年退職を迎えられます。長年、区政に賜りましたご功績に対して感謝申し上げますとともに、益々のご健勝をお祈り申し上げます。
以上で、民主クラブの代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
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