高沢一基(かずもと)の陣中日記

板橋区議会議員・「高沢一基(かずもと)」のオフィシャル日記です。

森林環境譲与税の活用と医療介護連携を!

2022-06-06 12:42:11 | Weblog
本会議一般質問を行いました(6/3)。区長と教育長から前向きな答弁を引き出せました。詳しくは、改めてSNSで報告させて頂きます。質問原稿を掲載しますので、もしよろしければお読み下さい。

#板橋区議会議員 #国民民主党 #UAゼンセン議員ネットワーク #板橋区 #森林環境譲与税 #医療介護連携


新型コロナウイルス感染症は、感染者数が緩やかに減っている中、重症者数や病床使用率も抑制され、社会活動も再開し始めるなど、明るい兆しが見えるようになって来ました。今後も、区民の体と心の健康を守りつつ、豊かで賑やかな板橋区を取り戻すために、「批判より提案」で、政治の責任を果たします。

それでは、渡辺議員に引き続き、区政に関する一般質問を行います。
 
 まず始めに、森や山を守り伝えるため、森林環境譲与税の活用について質問します。

 持続可能な社会を目指す国際目標・SDGsが、各方面で取り上げられています。SDGsというと、新しいことのように感じられますが、「誰一人取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」を目指すことは、我が国・日本では、古くから行われて来たことです。

伊勢の神宮では、今から千三百三十二年前の持統天皇の御代に、初めて式年遷宮が行われました。伊勢の式年遷宮は、二十年に一度、御社殿や御神宝など全てを新しく作り変える祭儀です。これは、新しく清らかな御宮を保つためと考えられますが、二十年毎に御社殿や御装束・御神宝などを作り変えることで、技術が継承される側面もあります。また、木材も多く用いられるため、「宮域林」「神宮林」と呼ばれる森林も維持管理されています。
今から九十九年前の大正十二年には、式年遷宮用の御用材確保のために「神宮森林経営計画」が策定され、樹齢二百年で活用される檜の育成も行われています。
我が国においては、森や山を「活用する」ということだけではなく、「育てる」ことも古くから行われて来ました。『日本書記』の中には、素戔嗚尊が「そのくらふべき八十木種、皆よくほどこし生う」と述べられ、人々に木の種を植えて活用する「植林」を勧められたことが記されています。このように、木材を活用して、森や山を守り伝えて行くためには、森林の適正な管理と植林が不可欠です。

 平成三十一年には、森林整備や木材利用促進などを目的とした森林環境税が創設され、令和六年度からは、国税として一人年額一千円が個人住民税とともに賦課徴収されます。これに先立つ、令和元年度からは、市区町村において「森林整備及びその促進に関する費用」に充てるため、森林環境譲与税が、私有林人工面積・林業就業者数・人口により按分され、国から自治体に交付されています。板橋区では森林環境譲与税交付金として、令和元年度・二千百二十一万一千円、二年度・四千五百七万四千円の歳入があり、令和三年度・四千五百七万円、四年度・六千百十二万円が歳入予算として計上されています。
その使途として、令和二年度決算では、日光市に所在する「板橋区の森」維持管理経費に二十八万六千円、板橋こども動物園再整備で設置した山形県最上町産の木製ベンチ購入に三十八万六千円を支出し、残余の交付金、四千三百五十一万一千円は、森林環境譲与税基金へ積み立てました。同基金の令和四年度予算での残高予測は、一億六千六百八十七万三千円が見込まれています。また、森林環境税の賦課・徴収が始まる令和六年度からは、さらに歳入が増える見通しであり、このまま財源を活用しなければ、基金残高は増える一方となります。
将来の活用を見据えて基金に積み立てることを否定するものではありませんが、森や山を守り伝えるためには、林業の振興が必須であり、大規模な森林を有しない板橋区としては、木材の利用促進や林業への理解啓発を継続的に行うことが重要であると考えます。森林環境譲与税交付金の使用目的は、「間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等」、森林整備そのもの以外でも幅広く活用できるようになっています。行政需要の増大により財政改革を進めている今日、森林環境譲与税は貴重な財源であり、その目的からも積極的な活用を望みます。そこで、様々な視点から具体的な提案を交えて質問します。

 第一は、国産木材の利用を民間に促すため、補助制度を創設することについてです。
 森林環境譲与税の使途として、都市部の自治体が多く活用する例が、公共施設の木質化です。庁舎や集会所、小中学校などで木材を活用することは、木のぬくもりを感じて木材への理解を深める上で効果があるといえます。しかし、世の中に広める為には、波及効果は限定的だと考えます。
川崎市では、早くから国産木材利用の促進に取り組んでおり、平成二十六年には「公共建築物における木材の利用促進方針」を策定し、翌年には「川崎木材利用促進フォーラム」を設置し、有識者や民間事業者などと協議を進めて来ました。初めて森林環境譲与税が交付された令和元年度からは、多くの人々が利用して木材利用の効果を周知できる民間施設に、補助率二分の一、上限二百五十万円の「川崎市木材利用促進事業補助制度」を開始し、令和元年度が二件・五百万円の補助、二年度が四件・七百八十五万二千円の実績があり、それぞれ全てを森林環境譲与税交付金で賄っています。本事業は、木質化の工事だけではなく、木製什器の購入なども対象にしており、商業施設などで活用されています。広く人々に国産木材への理解を深めて頂くだけではなく、民間事業者への国産木材利用促進としても大きく期待できるものであり、林業振興の一助になると考えます。そこで、板橋区においても、補助制度を検討して頂き、早期の実施を求めますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 第二は、国産木材製品を誕生祝いや敬老祝いに活用することについてです。
 板橋区では、妊婦面接を受けた方に「子ども商品券」などが入っている「育児パッケージ」を配布し、新生児のいる家庭には絵本などを入れた「ブックスタート」事業を実施しています。また、お年寄りについては、米寿の八十八歳・九十五歳・百歳・百一歳以上の方へ敬老祝いとして区内共通商品券をお渡ししています。
 一方、群馬県沼田市では、森林環境譲与税交付金を財源として、市内産の木材を市内業者が加工して、積み木を製作し、「ウッドスタート」として新生児に配布する事業を行っています。本事業の令和二年度の実績としては、積み木・百四十六個を誕生祝いとして配布し、五百九十四万四千円を活用しています。
 板橋区の妊娠や敬老祝いの商品券も、有用だと考えますが、商品券とともに、災害協定などを結んでいる関係自治体の木材を活用して、おもちゃ・お箸などの木材製品を贈ることができれば、国産木材に親しみ、更なる消費喚起につなげるだけでなく、財源確保策としても期待できると考えます。板橋区において、国産木材製品を活用した誕生祝い品と敬老祝い品の贈呈事業を提案しますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 第三は、森林を有する自治体との連携についてです。
 森林環境譲与税の活用として、都市部自治体では、山間部自治体との連携が多く行われています。二十三区では、中央区が檜原村と、新宿区が長野県伊那市・群馬県沼田市と、千代田区は岐阜県高山市・群馬県嬬恋村と、お隣の豊島区は埼玉県秩父市・長野県箕輪町と連携し交流が行われています。都市部と山間部の自治体連携は、カーボンオフセットなど地球温暖化対策としての側面が強いですが、この交流に都市部の住民が参加することができれば、森林への理解促進や木材製品の消費喚起にもつながると考えます。
また、子供達に対して森林に触れる機会を用意することができれば、未来への投資ともなりますので、ぜひとも、板橋区立小中学校の児童・生徒達には、森林に親しんでもらいたいと思います。しかし、学校での教育や行事は多岐に渡り、新規の事業を追加するのは容易ではありません。
では、森林に触れる機会を作るにはどうしたら良いのでしょうか。区内小中学校では、遠足行事がありますが、その中にはたとえば埼玉県の森林公園などに行く場合もあると聞いています。そこで、交通の利便性も考え併せて、東武東上線沿線の森林を有する自治体と連携し、小中学生の遠足行事等で森林体験を実施してはいかがでしょうか。積極的な検討を求めますが、中川教育長のご見解をお聞かせ下さい。

 第四は、高島平緑地の再整備についてです。
 地域のみなさんから要望のあった、高島平緑地の切り株除去については、以前から議会で議論して来ました。樹木伐採後、五百九十六株の切り株がありましたが、今までに七十二株の抜根を行ったとのことです。しかし、まだ五百二十四株も残っており、早期の除去を望みます。しかし、大きな木の根を除去するためには、多額の経費が必要であり、早期の抜根は難しいとの見解が、板橋区から示されて来ました。
昨年三月の予算審査特別委員会・都市建設分科会にて私は、高島平緑地の抜根や植林に森林環境譲与税が活用できないか質疑しました。その際には、明確なご答弁を頂けませんでしたので、改めて、抜根のための財源として、活用できるかどうかをお示し下さい。また、その可否に関わらず、木製のベンチや遊具を設置するなど、高島平緑地の再整備に財源を活用して頂きたく、ご見解をお聞かせ下さい。

 以上、森林環境譲与税の活用について、多角的に提案して来ましたが、最後に財源活用の司令塔についてお伺いします。
現在、森林環境譲与税基金の残高が多くあるといっても、予算には限りがあります。また、森林環境譲与税活用の主眼をどこに置くのかを決めることも重要だと考えます。国産木材の利用促進なのか、木材製品の消費喚起なのか、直接的な森林整備なのか、カーボンオフセットなどの地球温暖化対策なのか。そうした戦略を立てて、積極的に財源を活用して行くためには、それぞれの所管課を取りまとめる司令塔が必要です。現在は、環境施策としては環境政策課、基金活用としては財政課が中心となると思いますが、財源の積極的な活用に向けて、総合的・戦略的に判断する所管課はどこになるかお示し下さい。合わせて、森林環境譲与税の積極的活用について展望も含めてご見解をお聞かせ下さい。

続いては、医療と介護の連携について質問します。

高齢化が急速に進む今日、お年寄りが住み慣れた地域の中で、安心して暮らし続けられるように、国は地域包括ケアシステムを推進しています。板橋区でも「板橋区版AIP」と称して施策を進めていますが、本年四月に医療介護連携担当係長を新設したことは、地域包括を確立するため、大いに歓迎されます。
担当係長の事務は、「医療介護連携の企画調整等に関すること」とされ、今後は連携の実態を把握し課題を集約していくとのことです。これからの活動に期待しつつ、今回は三点にわたりお伺いします。

第一は、療養相談室についてです。
現在、板橋区では、在宅療養に関する相談や医療介護の連絡調整・紹介などを行う「療養相談室」を板橋区医師会に委託して設置しています。本事業は、自宅で医療や介護を受けたいという方やその家族にとって心強いものであり、大切な事業であると考えますが、設置場所が高島平ということもあり、高島平地域に偏重しているといえます。
板橋区は「高齢者保健福祉・介護保険事業計画」で療養相談室の相談件数を年間四百件以上にすると数値目標を立てていますが、この療養相談室を拡充して、全区的な事業展開が必要だと考えます。ご見解と今後の方針をお聞かせ下さい。

第二は、ケアマネージャーへの研修についてです。
医療介護連携をうまく機能させるためには、医療と介護との「現場のつながり」が重要であることは言を俟ちません。板橋区においては、「板橋区在宅療養ネットワーク懇話会」や「板橋区在宅医療推進協議会」などを開催し、連携強化を図っています。
医療介護連携は、保険制度や報酬制度の違いがあり、国の制度としての検討が不可欠であると考えますが、現場レベルの連携も当然、重要です。医療から介護への連携、たとえば病院を退院して自宅で介護を受けることなどは、比較的円滑に機能していると感じますが、介護から医療への連携、自宅で介護サービスを受けている方が在宅医療を受けたいと思った場合の対応については、ケアマネージャーの資質が大きく影響すると考えます。そこで、ケアマネージャーを対象とした医療介護連携に関する研修会の実施を検討していただきたく、ご所見をお聞かせ下さい。

最後の三点目は、医療介護連携の今後の展望についてです。
新設された担当係長では、現場レベルの実態把握をして行くとのことですが、医療機関だけではなく、介護事業者への聞き取りを積極的に行って頂くことが重要だと考えます。
また、関係する部署も長寿社会推進課を始め、おとしより保健福祉センター・健康推進課・介護保険課など多くありますので、庁内関係部署の更なる連携強化を求めます。
板橋区において医療介護連携をどのように進めて行くか、現場の声の聞き取りや庁内連携強化のご見解を含めて、今後の展望をお聞かせ下さい。

 以上をもちまして、私の区政に関する一般質問を終わります。坂本区長及び中川教育長の前向きなご答弁に期待するとともに、議員各位のご清聴に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿