サッカーアテネ五輪代表の選手たちが、駒野をのぞき今回のワールドカップドイツ大会の登録メンバーに選出されなかったことについて、スポーツナビで
宇都宮徹壱さんがコメントを残している。
これはアテネ世代の選手の能力が劣るわけではなく、選手育成全体の問題だという言説は同感。
ホームというアドバンテージがあったにせよ、最も高い成績となった日韓大会において、フィリップ・トルシエは、五輪代表とフル代表、ふたつのチームの監督を兼任した。つまり2年後にピークを迎えるであろう選手たちを、五輪で育成することが可能だったわけである。
もちろん好成績をおさめたのは1999年のワールドユース組が主力であったことも大きな要因だろうが、いかにジーコが育成を怠ってきたかは、比較してみれば一目瞭然だ。(以下のデータはWikipediaのものを改変。)
シドニーオリンピック (2000年)代表メンバー
所属クラブは大会が行われた時のもの。
☆印は後にワールドカップ日韓大会代表に選出された選手。
ゴールキーパー
楢崎正剛(名古屋グランパスエイト)☆overage
都築龍太(ガンバ大阪)
ディフェンダー
森岡隆三(清水エスパルス)☆overage
宮本恒靖(ガンバ大阪)☆
松田直樹(横浜F・マリノス)☆
中澤佑二(ヴェルディ川崎)
中田浩二(鹿島アントラーズ)☆
ミッドフィールダー
三浦淳宏(横浜F・マリノス)
稲本潤一(ガンバ大阪)☆
中田英寿(ASローマ)☆
明神智和(柏レイソル)☆
中村俊輔(横浜F・マリノス)
本山雅志(鹿島アントラーズ)
酒井友之(ジェフユナイテッド市原)
西紀寛(ジュビロ磐田)
フォワード
平瀬智行(鹿島アントラーズ)
柳沢敦(鹿島アントラーズ)☆
高原直泰(ジュビロ磐田)
アテネオリンピック (2004年)代表メンバー
所属クラブは大会が行われた時のもの。
☆印は後にワールドカップドイツ大会代表に選出された選手。
ゴールキーパー
曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)overage
黒河貴矢(清水エスパルス)
ディフェンダー
田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)
茂庭照幸(FC東京)
那須大亮(横浜F・マリノス)
菊地直哉(ジュビロ磐田)
徳永悠平(早稲田大学)
ミッドフィールダー
阿部勇樹〈ジェフ千葉〉
今野泰幸(FC東京)
森崎浩司(サンフレッチェ広島)
小野伸二(フェイエノールト)☆ overage
松井大輔(京都パープルサンガ)
駒野友一(サンフレッチェ広島)☆
石川直宏(FC東京)
フォワード
高松大樹(大分トリニータ)
田中達也(浦和レッズ)
大久保嘉人(セレッソ大阪)
平山相太(筑波大学)
この差は実力差だけではないだろう。例えば松井や阿部が、中村にそれほど劣るとは思えない。(これは素人の判定なのだろうか?)
このメンバー構成は本当に〈フル〉代表なのか。逆にジーコによって、アテネ世代は本当の「谷間世代」にされてしまった。
「世代交代に失敗した」というのはよくある話だが、意識さえしないというのは、将来のサッカー日本代表について、何も考えていないことを意味する。
次期五輪代表監督は反町氏だという。北京五輪終了後は代表監督が兼任希望なら、そのままフル代表のヘッドコーチに就任する予定ときく。
もし叶うことなら、代表監督が兼任かどうかにかかわらず、そのままヘッドコーチに就任し、二つの世代の架け橋になってほしいものだ。