随思録

日々思うことを記す。

カンフーハッスルを観た

2005-02-13 21:16:24 | Weblog
「カンフーハッスル」を観にいった。
公開から一ヵ月ほどしかたっていないのに、予想以上の速さで上映館が減っていっている。
規模の縮小はつまらない証拠なので、期待していなかったが、意外とおもしろかった。
少林サッカーほどのインパクトはないが、笑いもアクションも見所満載。楽しめた。

不評の理由はおそらく、チャウ・シンチー演じるチンピラに感情移入しにくいことなのではないか。主人公の背負ったドラマ性も薄い。とくに幼馴染(?)の少女とのロマンスが淡白すぎる。あの少女とのエピソードと覚醒などは、いくらでもふくらませることができると感じるのだが……

香港映画にそんなもの求めてはいけないというのなら、確かにそうなのかもしれない。

ジーコジャパンはまたしても「勝っただけ」

2005-02-10 12:44:53 | Sports
高原&俊輔、最強切り札2枚が流れ変えた! (サンケイスポーツ) - goo ニュース

最初の10分くらいは前線でのチェックも早く、すばらしい試合内容だった。そのせいもあって小笠原にFKからのゴールが生まれたわけだが、その後はいつもどおりの泥仕合。観ていて面白いところがなにもない。反対に北朝鮮の1点を決めたダイレクトプレーに感心したりして。中盤からいいボールが供給されないから、玉田のスピードが生きない。鈴木も守備に回る。
ジーコは修正という言葉を知らないらしく、後半に入っても同じ展開。簡単にパスを回して、北朝鮮にカットされ、決定的な好機を何度もつくられる。川口だっていつでも神がかれるわけではない。1点決められたところで、高原と中村を投入。ジーコも監督として進化している。初めてと言っていいくらい、選手交代に疑問が少なかった。最初高原と鈴木の交代が行われたときは「いつもどおりか……」と名選手名監督ならずという格言を思い返したが、中村を田中誠と代えたときは、驚いた。中村の投入は、見事に効いた。
大黒投入のタイミングもよかった。あのゴールは、もう、苦笑するしかないわけだが。

それにしても「勝ってよかったなあ」と、安堵するサッカーしかできない代表ってどうよ。「観てよかったなあ」という試合を観たい。私が一番好きだったのは、名波のチームだった、前回のアジアカップに優勝したころの代表なんだが。

次回はアレックスと田中誠が出場停止で、楽しみです。ついに三浦淳が出るでしょう。阿部も使ってほしい。坪井も久しぶりに元気な姿を見せてほしいものです。

ビフォア・サンセット

2005-02-08 12:38:53 | Weblog
すごい映画をつくったものだ。
CGがすごいとか、予算がかかっているとか、そんな外形ではなく、9年の年月を経て続編をつくってしまったところがすごい。しかも、劇中での設定も9年を経ている。
「ビフォア・サンセット」のことだ。
沢木耕太郎の「銀の森へ」で取り上げられて知ったのだが、まさか「恋人までの距離」に続編がつくられるとは。「恋人までの距離」は知る人ぞ知る佳作で、「運命の人に旅先で出会ったらどうする?」という命題を主軸にしていた。どうしたって結ばれるわけがないのに、惹かれあい、あてもなく街を歩く二人。その他人同士の二人の距離が揺れ動く様を、精妙な脚本で描いたのが前作だった。ラスト、二人は半年後の再会を約束しての別れたのだが、その再会の約束は、果たされなかったことが今作で明らかになる。
すごいぜ。しかもそれを小説に書いて作家になった男(イーサン・ホーク)が、パリで女(ジュリー・デルピー)と、9年後に偶然会うんだぜ。
ロマンの嵐です。
必見です。

……しかし、恋愛映画だから劇場に観に行くわけもいかず、ミニシアター系の異様に高いDVD、購入する羽目になるだろうなあ。独り身のつらさだ。

あらすじ 解説 ビフォア・サンセット - goo映画
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD6340/story.html

影に形のよりそいて~花よりも花のごとく3

2005-02-07 22:19:20 | Weblog
いまもっとも新刊を楽しみにしているコミックは、成田美名子の「花よりも花のごとく」だ。
先日ようやく3巻が出て、収録されている1篇の「影に形のよりそいて」に感銘を覚えた。考えてみれば、成田美名子は、ずっと「影に形のよりそう」作品を描き続けている。
私が一番好きだったのは「ALEXANDRITE」だ。そう「ALEXANDRITE」の中にも、似たような言葉があった。アレクとハルが夜の体育館で柔道をしたあと、アレクがハルに、対戦する相手はいつも自分がなれなかったもう一人の自分(=影)のような気がする、とつぶやいていた。
「CIPHER」など、双子という合わせ鏡、すなわち「影と形」を、真正面からとらえた作品だろう。
個人的には期待はずれだった「NATURAL」にしても、ミゲールの心にある「影」、そしてその象徴であるファビアンとの和解の物語であった。
この「花よりも花のごとく」もまた、憲人と西門という「影と形」から物語は始まっている。

なれたかもしれない自分、なれなかった自分……
影と戦い、時には許しあいながら、自分を見つけてゆくのが成田美名子の作品の特徴なんだな。ふとそんなことを思いついた。

対して自分はどうだろうか。もう影はいない。アレクの心情に共感していた自分はいない。かといって、すべてが光の中に包まれたような幸せがあるわけでも、愛する人がいるわけでもない。
しかし「なれなかった自分」を悔やんでも、戻ることはできない。積み重なった時間の中で、影も形も灰色となり、取り残された、そんな毎日だ。それでも、毎日をやめるわけにはいかない。
苦しむことは減ったが、こう改めて書いてみると、どこかさみしい。