朝、このホテルは朝食なしなので、近くのスーパーマーケットでクロワッサン(クリーム入り)と牛乳を買い、ホテル前に置かれたテーブルとイスで食べる。
その後、予約済みの「Domus Civica」へ。
宗教団体が運営しているYHで、素泊まりシングルで予約がとれている。
話を聞いてみるとツインルームに1人で宿泊らしいが、シングル料金で構わないとのこと(シャワーは共同)。
ここのレセプションの女性、日本語が話せました。
チェックインはできないが荷物は置けるということなので、荷物を置かせてもらう。
まずは駅でミラノ行きのチケットを買うことに(3時間待ちはイヤ)。
明朝8:58発の急行を買い、ついてにミラノ後の予定を立てるため、ミラノ中央駅の時刻表がほしいと言ったら、インフォメーションへ行け、と言われる。
検討材料が欲しかったのだが……当たり前だがインフォメーションは、こちらがほしいという情報しか出してこない。
ずっとミラノ後の日程を決めることができなくて、ヴェネツィア観光をしながらも、どこかで考え続けている。
ここで一気に決めてしまおう、と決心。
ラヴェンナ、シエナ、ピサなども候補に挙げてはいたものの、やはりアルベロベッロが観たい。
一気にバーリへ南下できないものだろうか。
日本語のできる現地の人を見つけたことは天佑だ、と、一旦Domus Civicaに戻り、思い切ってのレセプションの女性に相談してみた。
とても親切に相談に乗ってくれた。
ミラノからバーリへの列車の金額、所要時間をインターネットで調べてくれる。
準急で68ユーロ、10時間かかる。
(飛行機のことまではわからないとのこと。)
もっと詳しい情報は駅のインフォメーションで聞いたほうがいいだろう、とアドバイスしてくれた。
なんにせよ、列車の移動で半日潰してでもアルベロベッロを観たいかどうかということなら、観たい、というのが結論。
あとは列車の本数や、出発の時刻がわかれば、ミラノ滞在のスケジュールも立つ。
頭の中が整理された。
礼を言って再び駅へ。
駅のインフォメーション(鉄道会社の案内所)へ行き、ミラノ‐バーリ間の時刻表がほしい、と頼むと、全部は印刷できない、紙がなくなっちゃうよ、と返答される。
ここで思わぬ提案。
夜行列車―ICN(Intercity Notte)もあるよ、というのだ。
23時にミラノを出て、バーリに朝9時着。
ここはひとつ冒険してみるか。
日曜夜にミラノを出て、月曜朝にバーリに着ければ、大幅に移動効率が上がる。
そのためにはまずバーリに宿を取らねば。
バーリにもYHがある。
YHの受付はおそらく16時以降にならないと開かない。
ならそれまでは観光だ。
最悪、夜行の切符が取れなくても、月曜を移動日に充てればいい。
というわけで、サンタ・ルチア駅を出て、目の前のヴァポレット乗り場で、12時間券を購入。
ヴェネツィア、暑いし、道は迷路みたいだし、歩くの億劫。
ヴァポレットで再びサン・マルコ広場へ。
目玉である教会、鐘楼、博物館の3点セットがここに揃っている。
黄金パターンだ。
サン・マルコ寺院前には行列ができているが、鐘楼はほとんど人が並んでいないので、まず鐘楼に上ってみることに。
またいつものパターン……と思ったら、これが違う。
一番いいんじゃないかな。
海が見えるのがいい。
潮風も気持ちいいし。
それから興味深いことにヴェネツィアの鐘楼はエレベーターで昇るという、初めての展開。
また、展望階には土産物屋もあり、キーホルダーなんかも売っている(平日のためか売り子はいなかったが)。
これも初めての光景だった。
鐘楼を降り、サン・マルコ寺院前を見ると、ほとんど人の量に変化がない。
近くの公園でベンチに座り、日本から持っていったソイジョイを昼食代わりに食べる。
この時点で15時。
サン・マルコ寺院の入場時間は17時までだったので、こちらもほとんど人がいないドゥカーレ宮殿に入ることで、もう少し時間をずらすことにする。
これが1時間くらいと見積もったものの、宮殿や絵画は見ごたえがあってびっくり。
ヴェネツィアの歴史には詳しくないが、とくに後半では地下牢の跡が見れたり、武器や鎧の展示があったりと、飛ばしたいのに飛ばせなくて焦る。
(RPG好きにはたまらない……なんだよこの“火薬式斧”って!)
慌ててドゥカーレ宮殿を出る。
16:18.
サン・マルコ寺院の列に変化なし。
ダメ元で並んでみると、なんと15分ほどで内部へ。
内部はそれほど大きくないが、金色のモザイクで覆われており、豪華で、どこかエキゾチックな印象。
ローマ、フィレンツェとはまた違った文化を感じる。
ドゥカーレ宮殿もそうだが、金色をふんだんに使った装飾は、どこか日本の安土桃山時代を髣髴とさせる。
さしずめヴェネツィア人の商魂は、大阪商人といったところか。
有料の宝物館などは見ず、17時過ぎに表へ出ると、容赦なく17時で入場が打ち切られていた。
まだ50人くらいは並んでいたのではないか。
そろそろバーリYHへ電話したいが、サン・マルコ広場の公衆電話ではうるさくて無理だろう。
ヴァポレットに乗って、どこかへ移動することにする。
乗り場に行くとリド島行きが入ってきたので、見てみたい場所だったし、静かなところなら電話しようと乗り込む。
リド島は、高級リゾート地といった印象。
ホテルより別荘、といった雰囲気(勝手なイメージだが)。
あの有名な海水浴場があるというので、周辺を歩いてみたが、見つからず断念。
ヴァポレット乗り場に戻り、公衆電話からバーリYHに電話。
するとこれが番号違いのようだ。
手持ちの資料であるYHリストだけではわからない。
仕方ないが、ザックの中に入っているイタリアYH地図(政府観光局でもらっておいた。イタリア各地のYHでも配布しているようだ)にも電話番号はあったので、そちらと照合してみるしかない。
ヴァポレットに乗り、ローマ広場で降りる。
ここがDomus Civicaに近いと判断。
かなりの空腹を覚えていたが、まずは宿の確保が鉄則。
Domus Civicaはロビーに公衆電話がある。
これも初めてのケース。
ザック内の資料との照合の結果、YHリストと一致。
番号に間違いはないようだ(押し間違えや操作ミスが原因か)。
バーリYHに電話。
月曜に空きはあるか、と聞くと、英語の得意ではない人だったらしく、どうやら部屋ならあるから来い、と言っているようだ。
名前を告げただけで予約OK。
なんか設備が悪そうな予感……でも夜行の後だから、どこでも泥のように眠れるだろう。
夕食をどうするかと考え、フィレンツェで成功したのでまたガイドブックを活用することにした。
ヴェネツィアは物価が高いと聞いていたが、たしかに食事の値段も高めの店が多い。
リアルト橋のそばに値段が手頃な店がある。
そこに行ってみることに。
リアルト橋はまだ下から眺めただけなので、ちょうどいい。
20時ごろ到着。
夕暮れが広がっている。
観光客も多く、たぶんかなり遅くまで安全だろう。
ただ、今夜の宿は大きな通りに面してはいるわけではないので、帰り道に注意が必要だ。
リアルト橋を見て、「Ristorante Rosticceria San Bartolomeo」へ。
デリ&リストランテの店で、ショーケースにたくさん並ぶ惣菜をつまみに、ワインを飲むといった感じの店のようだ。
注文方法がわからずとまどっていると、メニューが渡されたが、どこにでもあるピザ、パスタ、ステーキといったもので、うまそうなものがない。
安さに妥協し、イカスミのパスタと生ビールを注文(9.7ユーロ)。
ともかく量は多かったし、調理している(レンジ加熱ではない)ようなので、悪い店ではないと思うが……個人的には選択失敗。
腹ごなしを兼ね、今度は橋を渡って、反対側を散策してみる。
川沿いにあるリストランテは、どこもテーブルにキャンドルが灯り、ロマンティックな雰囲気。
どこも高そうだなあ……と見ていると、「Tourist Menu €14」の看板が。
例によって2皿のようだ。
飲み物をつけても20ユーロ。
この雰囲気で20ユーロなら、断然こっちだった。
1人で食べてる観光客もいましたよ。
ヴァポレットでローマ広場まで戻る。
10時を過ぎていたが、宿への道も人がいて安心だった。
ともかくヴェネツィアはヴァポレットが最高。
夕刻が特によい。
夜もなかなか。