昔、昔・・・
ある雪深い森に美しい少女が住んでいました。
少女は、病弱な両親のために、毎日毎日、雪かきをしていました。
森の中、友達は時々訪れるうさぎやキツネや鹿達です。彼らは、「大変そうだね。」と声をかけて、いつも見守ってくれていました。
凍える手をさすりながら、雪かきをしている少女は、時折、
「あぁ、暖かい南の国に行って、暮らしてみたいな。」
と呟きながら、冷えた朝の樹氷や、日射しに光るダイヤモンドダストを見て、心の慰めにしていました。
ある時、南の国の王子が雪の地を旅して、少女を見染め、国に連れて帰りました。
少女は夢見た南の地で暮らせるようになって、大変喜びました。両親の住む家の周りは、王子が手配して、使用人によっていつもきれいに雪かきされるようになったのです。
楽しそうに南の地で暮らしていた少女でしたが、段々と塞ぎ込むようになり、体調を崩します。
そして、ついに高熱を出して、寝込んでしまいました。
うわ言で「雪が見たい、雪が見たい・・・。」と言い続けます。
王子は、美しい姫を手放すのは大変残念でしたが、故郷に帰りたそうにしている彼女を見て、
とてもかわいそうになり、ついに、生まれ故郷に帰してあげることにしました。
少女は故郷に帰ると元気になり、また、毎日毎日雪かきをします。
もう、南の国に行きたいとは思いません。
森の友だちと話をしながら、美しい白い景色に包まれて、いつまでも幸せに暮らしました・・・、とさ。
・・・・・・・・・・・・・
雪かきに夢中になると、心のモヤモヤが少し晴れます。
雪をかいて、捨てる。・・・心のモヤモヤをかいて、捨てる。
そう呟きながら作業をしていると、雪の白さが心を染めるような気になります。
心が少し晴れて来て、余計な事は考えないようにしよう!と無心に雪をかいていると、
「雪かき姫」というフレーズが浮かんできました。
なんだか、物語が出来そうね・・・、などと思いながら作業して、頭の中で出来上がったのが、上のお話。
ははは、なんだろうね?
この姫の不幸は何でしょう?
せっかく、王子様に見染められて、憧れの南の国に行けたのに、結局、また雪かきの毎日です。
それでも、幸せに暮らしました・・・本当でしょうか?
姫の不幸は、愛が無い事。
見染められても、王子を好きだった訳じゃない。
南の国に行きたかっただけ。
王子を愛していたら、たとえ故郷が恋しくても、白い景色を懐かしく思い出しながら、微笑んで暮らして行けたはず。
毎日毎日雪かきをしながら、その輝く景色は、しっかりと胸に刻まれていたはずだから。
南の国に行って、何かをしたかった訳じゃない。
ただ、冷たさがちょっと辛くて、暖かさに憧れただけ。
自分の本当の居場所が何処なのか気付いた時、憧れの地は安住の地ではなくなった。
自分で作った物語を、自分で分析、解釈する。
馬鹿げている!
何でしょう? 雪の壁!しっぽなが作った雪の壁(爆)
家の前を雪かきしました。
我ながら、綺麗にかいたものだ!
素晴らしい!!!