昨日のトレイルの疲れは半端ではなかった。
夢夢は最後のハーフドームの登頂でワイヤーを握る手に体重をかけ過ぎたせいか腕を肩の高さまで上げるのもつらそうだ。
私も太腿に力が入らない。
朝食をバッフェで食べて、まだ丸一日ある今日を有効に使うべくミラーレイク(湖)を見に行くことにした。他にもたくさんトレイルはあるのだがとてもそれに耐えられる状態ではない。
シャトルバスに乗り、ミラーレイク近くのバス停で下車。約1.6kmの平坦なトレイルを行く。
この旅は本当に天気に恵まれている。今日も快晴だ。空気がうまい。
暫くはすがすがしい空気の中をゆっくり歩いた。
そのうち日本でも夏になると顔の周りを飛び回る小さい虫が目の前を飛び始め、はじめのうちはそれ程
気にならなかったのだが、ついには手で払いきれないほどの大群に囲まれた。
虫除けスプレーを使ったが効き目があったのは最初だけである。恐ろしい程の適応力と言おうか、それとも日本のスプレーでは効き目がないのか
たまらなくなって、川の浅瀬から中州に飛び移り反対側のトレイルに逃げ込んだ。
やっと虫の群れから解放された私達はミラーレイクを目指す。しかしもう地図上ではミラーレイクが見えるはずなのに一向に現れない。仕方なくすれ違った男性に尋ねてみると彼もそのような湖は見ていないという。
迂闊であった。
この湖は渇水期はなくなってしまうのである。近くにあった案内板をみると確かにそこにある写真は水面に
ハーフドームを映し出すミラーレイクであった・・・・・・・
それでも時間があるので高級ホテル「アワニー」を見に行った。
ここは日本では上高地の帝国ホテルにあたる。夕食にはドレスコードがある格調の高いホテルである。
その佇まいは高級ホテルの名にふさわしく内外装共石と木の調和が素晴らしく、周囲の環境に溶け込んでいる。
一度はこういう所に泊まってみたいものだ。
まだ2時くらいだが既に歩く気力は残ってなかった。それに昨日のハーフドームの風景はビレッジ周辺の雑多とした景観を面白くないものにしてしまっていた。
無理に歩くことはない。のんびりと過ごせばいいのだ。
そう割り切ってビレッジに戻り夢夢とビールを空けた。もちろんあのピザも。
暫くすると隣に一人のアメリカ人女性がワインを片手に椅子を持って座ってきた。一人で来たのだろうか
手帳を取り出して何か書いている。背が高く長い脚を組んで座るその姿はちょっと話かけづらい雰囲気を持っている。それでも反対側の隣で家族が大きいピザを食べ始めるとその匂いが嫌いらしく苦笑いをしながら私達の左隣に移動してきた。
夢夢はどう思ったか彼女のことが気になるらしく、ハーフドームに行ったかどうか聞いてくれと言う。
チャンスを伺っていると、暗くなってきたのか彼女が席を立とうとしたその瞬間をねらって
「今日、昇ったの」と聞くと
「明日行くのよ。あなた達は何回目初めて」と気さくに話しかけてくれた。
彼女は何回も来ているらしい。
夢夢も私もあの感動を他の人と共有したかったのかもしれない。
明日はサンフランシスコに戻る。
もうこの旅も明日と明後日だけとなった。
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