薪ストーブ導入
【 今さら何で 】
平成15年の春、憧れだった薪ストーブを導入しました。
それからと言うもの、365日、薪と格闘する生活に変わりました。
この中でも、薪割りを始めてから驚くほど多くの虫に遭遇するようになりました。お初にお目に掛かる珍虫にも。
薪の量が増えるたびに、わが家周辺の昆虫生態系が一変したのです。
比較的高気密のわが家ですが、四季に関係なく、時々部屋を横断する虫を見掛けるようになりました。
ストーブで部屋が暖ったまるので、薪の中で寝ていた虫が、時季を間違えて俳諧を始めるようです。
家内の悲鳴を聞く前に、コソッと退治しておくのは、ストーブ導入を強行した私の役目です。
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【 薪ストーブの魅力 】
薪作りの一連の作業は決して楽ではありませんが、これが例えようがないほど楽しいのですね。
具体的には、薪探しと、もらう交渉が楽しい。現場での玉切り作業が楽しい。薪運びが楽しい。
薪割りが楽しい。体力が付く。積み上げた薪を眺めるのが楽しい。そしてこの作業は1年中楽しめるのです。
これほど実益?を兼ね備えた道楽は、他にはないでしょう。
損得勘定を考えたら、あきらかに薪ストーブは、石油ストーブに比べて高くつきます。
でも薪の暖かさと洗濯物の乾燥は、石油ストーブの比ではありません。
石油資源を消費しない薪燃料が見直されて、これからもどんどん普及することでしょう。
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【 ストーブ選び 】
導入にあたっては、「薪ストーブ大全」なんかを読みあさりましたが、どのメーカーも一長一短があって、選定にはずいぶん悩みました。
結局、最初に飛び込んだストーブ店が、代理店として取り扱うメーカーで決まってしまいました。
設置したのは、DUTCHWESTのセコイヤ(FA455) です。
ストーブ経験のない人にとって、買った後のフォローを、ちゃんとやってくれるお店選びは、大切です。
ストーブ本体だけを買って、据え付けと煙突工事を自分でやった私は、予想どおり、お店からのフォローはほとんどしてもらえませんでした。
どんなストーブでも、最後は「いかにその性質を理解して、うまく使いこなすか」に掛かっているそうです。
我流でストーブデビューしたのは浅はかでしたが、良い勉強になりました。
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【 運転時間 】
冬季間は、昼間はもちろんのこと、夜も絶え間なく薪を投入するので、24時間運転と言うことになります。
薪を投入して、エアダンパーを遮断。そして寝室のドアを開けて寝れば、朝起きも楽々です。
外が凍てつく日でも、Tシャツで過ごせる・・・これも連続運転ならばこそ。
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【 薪集め 】
薪ストーブの導入を決めてから、最初のお仕事はこれでした。
早めに割って、初めての冬に間に合わせる必要があるからです。
薪の量を安定確保するには、年間を通じて見込みのありそうな所へ声を掛けておくことが必要です。
同じ広葉樹でも、薪に向く木とそうでない木があり、暖かさに大きな差が出ます。
しかし、一定量を確保するためには、好き嫌いは言えません。
何とか2年間くらいの乾燥期間を置きたいので、できるだけ多くのストックを心懸けています。
建築廃材も焚き付け用として有効なので、いつも少しはストックしておきたいところです。
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【 薪割り道具 】
私の場合はエンジンチェンソー2台、電動薪割機1台、コンバイン薪割機1台、片手斧1本、トビ、軽トラ、フォークリフトでやっています。
大きく振りかざして使う大型の斧も買ってみたのですが、薪割り機でやるため、まさに無用の長物でした。
一番メンテで気を使うのがチェンソーの刃で、すぐに切れなくなります。
チェンソーの刃を研ぐ治具も使ってみたのですが、なかなかうまくいきません。
できるだけ早いうちに、林業系の職人さんから実際に研ぎ方を教わると良いようですが、それでも熟練が必要です。
外国製のチェンソーを主張する人も多いですが、私は純国産の同じメーカーの同じ商品(刃長40cm)を2台使っています。
理由は、素人の私でも、調子の比較が容易であること。国産は値段が高くないし、何といっても修理期間が短い。またアフター経路がしっかりしているからです。
何年か使い込むと、扱いにも慣れて来るので、1台だけでも、刃長50cm以上が欲しくなりますね。
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【 ストーブ室の増築工事 】
既存の居間にストーブを設置したかったのですが、狭かったのでストーブ設置場所(1.5坪)を自作で増築しました。
母屋は鉄骨造ですが、増築部分は木造在来工法です。
薪集めをしながらの増築工事で、どちらもハンパになり、一時は薪ゴミ屋敷状態に。
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完成した部分の外観です。見えにくいですが、出窓の左側は、屋外からの薪の搬入口です。
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外径20センチのスパイラル煙突を、チムニー(角煙突)に差し込む工事です。
約3m1本物で断熱材入りステンレス製2重煙突(街のブリキ屋さんへ特注)です。
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チムニーにはレンガ調の外壁材を貼り付けて、4隅をコーキング。
頂部はステンレス製のトップ(これもブリキ屋さんへ特注)です。
心配したガラリの間隔なんかは、既製品を参考にしましたが、意外とラフで良い見たいです。
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タイル工事中です。縦胴縁で石膏ボードを浮かして張り、その上にレンガを貼りましたが、これも初体験で手間取りました。
鋳物ストーブが200Kg以上とあって、床の根太を227mm間隔にして、一般住宅よりも密に入れました。
その上にコンパネを2重張りにし、仕上げは厚さ35mm×230mmの角タイル(接着なしで置くだけ)を並べただけ。
居間の床面より、角タイルの天バを2センチほど下げて、エリア分けをしたため、薪ゴミが居間側に散乱しにくく、効果絶大です。
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ストーブ室完成後の全景です。
ABC商会製の「ウェルトン」造形塗料、20㎏缶をホームセンターから買い求め、壁と天井をコテ塗りで仕上げました。
写真の部屋奥にある出窓は、平行移動して再利用。
天井は居間側(手前側)へ暖気が上がるよう、勾配天井にしました。
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長さ約1mのシングル煙突部分を2重にして熱交換器を作り、送風機で室内空気を送り込みます。
送風機(100V 84W 12.8m3/分)の風量調整は、市販品(約3千円)のインバーターにより、最低の回転数で送風しています。
増築した小部屋の奥にストーブを設置したので、これにより熱風を強制的に居間側へ送り出しています。
送風機の回転音は、FF暖房機と同じ程度で、殆ど気になりません。
ストーブの天板にあるのは熱電対線です。
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熱交換器の吹き出し口で、ここに手を当てると、熱風を感じます。
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壁に取り付けたデジタル温度計です。
ストーブに付属してきた温度計はバイメタル式(天ぷらナベに付いてくる油温計と同じ)で、ストーブの正面からは全く見えないため、すぐにこれに変えました。
これで、コンバスター2次側、煙突内部、点裏の煙突貫通部分の3箇所を切り替えて測っています。
真正面から温度が監視できて、これはホントお薦めですね。
夏の写真なので、室温を表示しています。
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【薪の保管】
1.薪置き場その1 (未乾燥)
全長約18mの薪棚です。
わが家は田んぼに囲まれており、遠くから敷地内が全部丸見えなので、この薪塀は自信作でした。
積んだ薪には屋根が必要なのですが、体裁が良くて防水機能のある屋根の具体化ができず、'04年5月にはあえなく撤去してしまいました。
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この薪棚を諦めて、ビニルハウス(薪置き場その1)と、乾燥済み薪保管場所(薪置き場その2)の2箇所へ薪を移転しました。
40坪のビニルハウスには40棚以上の保管スペースがあり、平成16年8月現在、36棚以上の薪を保管しています。
夏は50℃超えの高温になり、自然発火はないにしても、乾燥し過ぎが気になります。
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2.薪置き場その2 (乾燥済み)
波板で囲った小屋で、乾燥済みの薪置き場です。
床面積は約15㎡で、通路等を除いた薪棚の有効面積はその半分程度。
1.5mの高さで、隙間なくびっしりと積みます。
この小屋は風除室を介してストーブ室に接続してあり、降雪時でも濡れずに薪を取り込めます。
ビニルハウスからフォークリフトで運び、この入口にパレットごと突っ込みます。
右の写真は小屋の内部。短管で組んだ棚に積み上げています。
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3.薪搬入口と掃除機
薪搬入口部分(風除室)
後工事で改造した薪の搬入口です。薪搬入口と掃除写真今までは、この黄色いコンテナに薪をいっぱい詰め込んで、
ヨイショっと約17㎏を持ち上げ、ドアと引き戸の2箇所を通過していました。
結構な重労働のため、写真のように、外壁を貫通した木のレールに載せて、
室内へ引きずり込む方法を採りました。木のレールにはコンテナ3個まで載りますが、
2個目、3個目は室内から長いフック棒で引き寄せてやる必要があります。
木のレールに載せために、コロローラーも使用しています。写真の右下には掃除機が置いてありますが、
ストーブ周囲の掃除専用です。高価なセントラルクリーナーを設置できないので、
ホームセンターで安い掃除機を買い求めました。
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薪搬入口部分(風除室)を、ストーブ室から見た写真です。
普段は黄色いギロチン式の戸を下げておきます。滑車とバランスウエイトにより、
戸の上げ下げをしても、重さは殆ど感じません。
外壁を破るのには少々抵抗がありましたが、雨仕舞いや風にも殆ど問題なく、快適に使用しています。
壁には、水色掃除用のホースを引っ掛けてあります。
これは上の写真の掃除機から床下を経由している吸引ホースです。
このホースを伸ばして、室内から掃除機をオンにすることで、ストーブ回りを、いつも?清潔に保つことができます。
場所も取らないので、わが家では久々のヒットです。
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【煙突掃除用の金具製作】
シーズンオフには、煙突の先端から中を覗いて点検します。
従来、写真のように煙突の周辺に足場板を敷き、脚立の上段から手を伸ばして、屋根、ガラリの順に取り外していました。
しかし寄る年波には逆らえず、短管で吊り具を作り、チムニーに取り付けてみました('07.9.26)。
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ストレート煙突の最下部をストーブに差し込んでありますが、溜まりやすいその部分のススを除去する必要があります。そのために、10cmくらい煙突を真上に持ち上げます。
4mの1本立ち煙突は、ガラリ等よりも重いので、片持ち梁ではなく、短管を鳥居型に組みました。
これで安全かつスピーディに。もちろん作業終了後は、短管類はすべて除去します。TOPへ