蘇鉄(ソテツ)は沖縄を代表する植物のひとつ。
現在生きている植物の中では、イチョウと並んで最も原始的なものである。
蘇鉄の名前の由来は、この木が衰えたときに幹に釘を打ち込んだり鉄類を
株元に与えると蘇って元気になるという言い伝えからきている。
沖縄には「ソテツ地獄」という言葉がある。
ソテツ地獄は、明治末期から昭和初期にかけて、南西諸島において
発生した経済恐慌。
日本本土における第一次大戦後の戦後恐慌、関東大震災、
世界恐慌から昭和恐慌に至るころまで、沖縄は間接的に影響を受けた。
農民を中心に経済不況が深刻化していたにも関わらず、
税金は緩和されることなく徴収され続け
日本本土に渡っていた出稼ぎ労働者が不況のあおりを受けて故郷の
島々に相次いで戻ったこともあり食糧難に拍車をかけた。
農作物も不作が続いて飢える人が続出したと言われている。
窮地に追い込まれた農民は米、芋類に変えてソテツを食糧としなければ
ならなくなった。
ソテツには有毒成分のサイカシンを含んでいる。
ソテツの毒抜きにはかなりの日数がかかる。
毒抜きに不慣れな人たちが多く、多くの死亡者を出すことになった。
こういう時代を知っている人たちはソテツに良いイメージがない。
「ソテツの実を食べたら死ぬよ。」とオバァが言っていた。
現在では毒抜きするのは難しいことではなくなった。
沖縄郷土料理のお店などでは沖縄の伝統料理として出されている。