キムカズの気まぐれブログ Part2

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H27.11.29 秋田魁新報「北斗星」より

2015-12-05 23:08:20 | 石川理紀之助翁
 

寝ていて人を起こすことなかれ。自分は何もしないまま、他人にああしろこうしろと指示しても誰も言うことを聞きませんよ、と率先垂範の大切さを説いた言葉として知られる。
確かにそうだ、とうなずく人も少なくないのではないか。与えられたことを淡々とこなすにとどまるか、より大きな仕事を成し遂げようと力を振り絞るかは気持ち次第という面もある。指導する立場にある人が「われ関せず」を決め込んでいては、なかなか士気が上がらない。
冒頭の言葉を残したのは農業指導者の石川理紀之助(1845~1915)。婿入り先の山田村(現潟上市)で借金返済に苦しむ農家の支援に熱心に取り組んだほか、県外の農村にも足を運び、農家救済と農業振興に生涯を捧げた。
その歩みを詳細に紹介し、功績をたたえる資料館が潟上市にある。農具や日記などゆかりの品々が展示されている。理紀之助の実直な人柄に触れ、農家に与えた影響の大きさの一端を知ることができる。
「寝ていて-」の言葉は理紀之助が書き残した14項目のメッセージの一つで、最初に記されている。「資金のみ力にして起こす産は破れ易し」「僥倖の利益は永久の宝にあらず」など、他の教訓も示唆に富んでいる。
ことしは理紀之助生誕170年、没後100年の節目にあたる。一つ一つの教えをかみしめながら、理紀之助だったら今、環太平洋連携協定(TPP)に揺れる農村をどう導くだろう、と思いを巡らせてみる。