1 BCPとは
(1)緊急事態の発生
企業・組織の事業活動に影響をもたらす緊急事態が発生するリスク
・2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症
・2011年の東日本大震災のような地震や、豪雨による河川氾濫などの自然災害
・火災や爆発などの事故
・犯罪やテロ活動
・情報システムへの不正アクセスによる情報漏えいなど
(2)BCPとは?
事業継続に影響を与える事象に備え、あらかじめ緊急事態に対応する方針や具体的手順を定めておく計画
(3)BCPの目的
第一 従業員や顧客の安全を守ること
第二 重要な事業を継続すること
第三 仮に事業が中断してもできる限り短い期間で復旧させること
(4)BCPの主な内容
1)策定の目的や緊急事態対応の基本方針
2)自社(組織)にとっての重要事業の確認
3)対応する緊急事態と被害の想定
4)緊急事態への事前対策
5)緊急事態発生時の体制や対応手順
6)BCP定着のための教育・訓練
2 中小企業のBCP策定状況
「中小企業の災害対応に関する調査(2018年12月)」2019年版「中小企業白書」(中小企業庁編)出典
BCPを策定している 16.9%
名称は知っているが、策定していない 53.2%
名称を知らず、策定もしていない 29.9%
同調査によると、従業員規模が小さいほど「策定している」割合が低い。
策定していない理由
人手不足 29.1%
複雑で、取組むハードルが高い 27.2%
3 中小企業によるBCP策定のポイント
・優先順位をつけ、できることからやる
・本質的なことに焦点を絞る
(1)BCP策定の本質とは?
1)人の生命・安全を守る
2)「重要事業」を特定する
3)自社の事業構造を再確認する
1)人の生命・安全を守る
どんな緊急事態であっても、まず初動対応として本質的に重要なことは、「従業員やその家族、顧客」の安全を守ることである。
事前の備えと連絡網・対応体制の整備が重要である。
事前の備えとしては、自社の事業において、どこで、どんな場合に従業員や顧客の生命や安全に危険が起こり得るか検討し、できるだけそのリスクを軽減する対策を取る必要がある。
2)「重要事業」を特定する
事業の継続を図るためには、必ず生き残らせる事業を絞り込むことが必要になる。
そのような優先して継続を図る事業を「重要事業」という。
・自社の売上や利益にとってどの事業が中核なのか確認する。
・自社が社会に中で果たしている役割をふり返り、それぞれの事業が顧客や社会にとってどんな重要性があるか再確認する。
(これにより、自社の事業の社会的な役割を再確認する機会になる。)
3)自社の事業構造を再確認する
経営資源、サプライチェーン、ステークホルダーという3つの視点から再確認する。
第1の視点 自社が事業にどんな経営資源を運用しているかという視点
・自社がどんな経営資源を運用し、それらにダメージを受けるのはどんな場合なのか。
・ダメージを軽減するための事前の備えは可能か。
・運用に障害が発生した場合の代替方法がないか。
第2の視点 自社の製品・サービスがどんなサプライチェーンを形作り、その中で自社はどんな役割を果たしているかという視点
・緊急事態により自社のサプライチェーンの上流部に問題が発生し、必要な資材・商品が調達できないという状況が発生し得る。
・自社が生産している商品・サービスの供給ができなくなれば、サプライチェーンの下流側にいる取引先や顧客に対する責任が果たすことができなくなる。
→自社が事業のために調達している原材料、資材等とその調達先、自社が供給している商品・サービスとその調達先、すなわち自社が関わるサプライチェーンの全体を確認することが必要となる。
→そのうえで、どこにどんな問題が発生し得るのか、問題発生のリスクを低減するために可能な対策は何か、実際に問題が発生した場合どんな代替策が可能なのかを検討しなければならない。
第3の視点 自社のステークホルダーをもう一度、確認するという視点。
ステークホルダーとは、企業が活動を行うことで影響を受ける利害関係者を意味する。
具体的には、株主、従業員、取引先企業、顧客、金融機関、競合企業、行政機関や地域社会が含まれる。
「人の生命・安全を守る」という点に関し、緊急事態の発生時において自社が安全について責任を負うべき人の範囲(従業員やその家族、顧客)はどこまでなのか考えることは、ステークホルダーの確認につながる。
最後に、
BCPは文書を策定して終わりではなく、実効性あるものとするために定着のための教育・訓練が必須である。
出典:一般財団法人 秋田経済研究所発行「あきた経済(2020.8)」
(1)緊急事態の発生
企業・組織の事業活動に影響をもたらす緊急事態が発生するリスク
・2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症
・2011年の東日本大震災のような地震や、豪雨による河川氾濫などの自然災害
・火災や爆発などの事故
・犯罪やテロ活動
・情報システムへの不正アクセスによる情報漏えいなど
(2)BCPとは?
事業継続に影響を与える事象に備え、あらかじめ緊急事態に対応する方針や具体的手順を定めておく計画
(3)BCPの目的
第一 従業員や顧客の安全を守ること
第二 重要な事業を継続すること
第三 仮に事業が中断してもできる限り短い期間で復旧させること
(4)BCPの主な内容
1)策定の目的や緊急事態対応の基本方針
2)自社(組織)にとっての重要事業の確認
3)対応する緊急事態と被害の想定
4)緊急事態への事前対策
5)緊急事態発生時の体制や対応手順
6)BCP定着のための教育・訓練
2 中小企業のBCP策定状況
「中小企業の災害対応に関する調査(2018年12月)」2019年版「中小企業白書」(中小企業庁編)出典
BCPを策定している 16.9%
名称は知っているが、策定していない 53.2%
名称を知らず、策定もしていない 29.9%
同調査によると、従業員規模が小さいほど「策定している」割合が低い。
策定していない理由
人手不足 29.1%
複雑で、取組むハードルが高い 27.2%
3 中小企業によるBCP策定のポイント
・優先順位をつけ、できることからやる
・本質的なことに焦点を絞る
(1)BCP策定の本質とは?
1)人の生命・安全を守る
2)「重要事業」を特定する
3)自社の事業構造を再確認する
1)人の生命・安全を守る
どんな緊急事態であっても、まず初動対応として本質的に重要なことは、「従業員やその家族、顧客」の安全を守ることである。
事前の備えと連絡網・対応体制の整備が重要である。
事前の備えとしては、自社の事業において、どこで、どんな場合に従業員や顧客の生命や安全に危険が起こり得るか検討し、できるだけそのリスクを軽減する対策を取る必要がある。
2)「重要事業」を特定する
事業の継続を図るためには、必ず生き残らせる事業を絞り込むことが必要になる。
そのような優先して継続を図る事業を「重要事業」という。
・自社の売上や利益にとってどの事業が中核なのか確認する。
・自社が社会に中で果たしている役割をふり返り、それぞれの事業が顧客や社会にとってどんな重要性があるか再確認する。
(これにより、自社の事業の社会的な役割を再確認する機会になる。)
3)自社の事業構造を再確認する
経営資源、サプライチェーン、ステークホルダーという3つの視点から再確認する。
第1の視点 自社が事業にどんな経営資源を運用しているかという視点
・自社がどんな経営資源を運用し、それらにダメージを受けるのはどんな場合なのか。
・ダメージを軽減するための事前の備えは可能か。
・運用に障害が発生した場合の代替方法がないか。
第2の視点 自社の製品・サービスがどんなサプライチェーンを形作り、その中で自社はどんな役割を果たしているかという視点
・緊急事態により自社のサプライチェーンの上流部に問題が発生し、必要な資材・商品が調達できないという状況が発生し得る。
・自社が生産している商品・サービスの供給ができなくなれば、サプライチェーンの下流側にいる取引先や顧客に対する責任が果たすことができなくなる。
→自社が事業のために調達している原材料、資材等とその調達先、自社が供給している商品・サービスとその調達先、すなわち自社が関わるサプライチェーンの全体を確認することが必要となる。
→そのうえで、どこにどんな問題が発生し得るのか、問題発生のリスクを低減するために可能な対策は何か、実際に問題が発生した場合どんな代替策が可能なのかを検討しなければならない。
第3の視点 自社のステークホルダーをもう一度、確認するという視点。
ステークホルダーとは、企業が活動を行うことで影響を受ける利害関係者を意味する。
具体的には、株主、従業員、取引先企業、顧客、金融機関、競合企業、行政機関や地域社会が含まれる。
「人の生命・安全を守る」という点に関し、緊急事態の発生時において自社が安全について責任を負うべき人の範囲(従業員やその家族、顧客)はどこまでなのか考えることは、ステークホルダーの確認につながる。
最後に、
BCPは文書を策定して終わりではなく、実効性あるものとするために定着のための教育・訓練が必須である。
出典:一般財団法人 秋田経済研究所発行「あきた経済(2020.8)」