6月9日中国新聞天風録より
「放浪記」で売れっ子作家となった林芙美子は48歳の若さで急死する。アジサイが咲き匂うころだった。ことしで没後60年。少女時代を過ごした尾道駅かいわいでその生涯をしのぶ展示会が続いている
芙美子が通った土堂小の後輩たちは、画用紙で紹介パンフレットを40種類ほど作った。その中にこんな編集後記がある。「小学校の先生が人生をかえるということにびっくりしました」。後生ならぬ先生畏るべし、というところだろうか
文才を見抜き、女学校進学を勧めてくれたのが小林正雄先生だった。ペンネームまで授けてもらった芙美子。終生、その恩を胸に刻んでいたという。先生がいなかったら、作家としての人生はなかったかもしれない
「熱血教師なんてドラマの世界」。そう思い込んでいたと日本サッカー界の顔、長友佑都選手が近著「日本男児」で明かしている。ぐれかけた中学時代。「おまえの目はサッカーをやりたがっている」。諭す先生の頬は涙でぐっしょり。大人の男が泣く姿を初めて目の当たりにし、「熱い心」を取り戻した
白地に藍色がにじんだかと思えば赤みが差す。移り気が代名詞のようなアジサイだが「ひたむきな愛情」という花言葉もある。情熱の人との出会いが時に「自分色」を教えてくれる。以上
花・アジサイ(今年も綺麗に咲いてくれています)
ガクアジサイ
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花びらに見えるものは実は額で、中心に小花があります。
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撮ったのは同じ日ではありません。