世を拗ねて、人との交わりを断ち、独り山奥に住んでいる
厭世趣味の人をイメージしていた。
ひと言でいえば、世捨て人っていう感じかな。
これは僕の思い違いだったようで、
仏教においては、仏陀をはじめ修行者はすべて隠者とのこと。
また、歴史的中国においては、
仏教・道教も邪気のみちた俗世間をさけて名山にこもり、
良い気を得て自己の内部の邪気を浄化することが必要と考えられていた。
この目的のために知識人は積極的に隠者となり、隠遁生活をおくったという。
ヨーロッパ(キリスト教世界)においても、隠者は修道僧などの修行の手段だった。
ちなみに、隠者を意味する英語「 hermit 」は、ギリシャ語の「 eremites (荒野に生きる) 」に由来している。
また、タロットカードにおいて大アルカナに属する The Hermit (隠者)は、
「深慮」「忠告を受ける」「崩壊」を意味するとされている。
日本では、既成の教団からはなれて宗教活動をおこなう聖とよばれる僧が隠者の例といえる。
具体的には、西行、鴨長明、吉田兼好、心敬、宗祇らの中世文学の担い手たち。
また隠者が日本文化にもたらした功績としては、千利休の茶、松尾芭蕉の俳諧などがあげられる。
国や文化は違えど、四捨五入すると、隠者とは、
一般的な理由から、もしくは祈ったり難行苦行をおこないたいとの衝動から、孤独な生活をえらぶ人
と、定義できるのではないだろうか。
隠者について俄知識をくどくどと書き連ねてきたが、
しばらくの間、隠者を気取って自分磨きをしてみようと最近努めている。
叶うのなら、この身が臥竜鳳雛たらんことを願って。
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