SIDEWALK TALK

法王の嘆き

ダライ・ラマ14世が来日し、
一連の北京オリンピック聖火リレーへの妨害行為について、会見をおこなった。


その主張は極めてシンプルで、
「自分たちの心情を表現することは構わないが、暴力は絶対にいけない」
という内容。
あらためて非暴力を訴え、過激な妨害行動への自制を促した。


ダライ・ラマ自伝 (文春文庫) ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)

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僕は仏教徒を自称しているけど、
その実、中身は空っぽで、信心のカケラもないし、何の戒律も守っていない。
ただ仏教という、自分自身には過酷極まりないけど、他者には穏やかで無害なこの宗教が好きなだけだ。


そんな似非仏教徒だから、僕はチベット仏教について知るところがほとんどない。
今回、ダライ・ラマ法王が来日するにあたり、
メディアの報道により、多少その断片らしきものに触れることができた。


基本的に、仏教には個人崇拝の習慣はない。
教祖であるお釈迦様も、他宗教のように、神として拝み奉られることはない。
だけどチベット仏教では、信者たちは、人間であるダライ・ラマに帰依している。
おそらくこれは、インドから伝わった大乗仏教とチベット地方の土俗信仰が習合してできた思想じゃないかな?
ダライ・ラマは観音菩薩の化身、ということらしい。


ダライ・ラマ14世は法王を称しているけど、その日常は極めて質素なものだという。
ふだんは、法王としてじゃなく、一僧侶として世界中から訪ねてくる信者と面会をしている。
驚いたことに、ダライ・ラマ14世にはだれでも面会できる。
つまり、この僕でも予約さえすれば会えるというのだ。


TV 映像で見るかぎり、ダライ・ラマ14世には人をあたたかく包むオーラがあり、
そのお人柄は穏やかで、ウイットに富んだユーモアも持ち合わせていらっしゃるように感じた。
日本食ではそばや吉野家の牛丼がお好きらしく、庶民的な一面ものぞかれる。
このことにより、チベット仏教では牛肉を食していいことがわかり、興味深かった。
また、わずか10時間の滞在に、ヒルトンホテルのスイートを使用したことに疑問を感じたひともいるだろうけど、
これは多分に警備上の措置で、法王のご意志ではないだろう。


法王は、北京五輪を支持しているし、聖火リレー妨害も憂慮しておられる。
政治的にも、チベットの中国からの分離独立を標榜しているわけじゃなく、
あくまでも中国国内での自治 -香港やマカオがそうであるように- を主張しているにすぎない。
会見の中で、法王は、中国人民のことを
「 innocent Chinese people 」
と、慈悲の心で呼び、
中国中央政府の武力行使については
「 outdated matter 」
と、嘆いておられた。


法王がおっしゃるように、僕には、ダライ・ラマ14世は悪魔には到底見えない。
中国政府は、法王の頭の上には角が生えている、とでもいいたいのだろうか?
対話のテーブルへの道のりは遠い。

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