ミリタリー色やディストピア的な世界観があるものの、
この作品は基本 恋愛小説。
四捨五入すると、女の子が読む本だと思う。
おっさんの僕がこの小説を読んだきっかけは、
アニメ(OVA)化されたときに何気に Twitter でつぶやいたら
ブログを通じて知己を得た女の子に、僕に合うかも?と勧められたからだ。
この小説は、政府がメディアを統制するというパラレルワールドで、
メディアの自由を巡る図書隊の戦いとその恋愛模様を描いたものだった。
今般、松江市教育委員会が、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を
子どもが自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう
市内の全市立小中学校に求めていたことが報道された。
こういう判断を下す教育委のメンタリティは、まったくもって理解できない。
当然のことながらマスコミやインターネットメディアでもブーイングの嵐なんだけど、
後日談がまったく伝わってこない。
市教委が真っ青になって対応に追われてる(もしくは思考停止に陥ってる)状態なんだろうけど、
閉架にすればこういうリアクションが起こることに思いが至らない想像力の欠如自体、
もう終わってる組織としかいいようがない。
そもそも「はだしのゲン」は漫画にすぎず、歴史書や思想本、ましてや教科書じゃない。
ゲンに描かれている歴史観も戦争観もあくまでも作者の主観であって、ゼネラルなものじゃない。
あるひとつの価値観 or 歴史の断片であって、
子ども達にはもっと多種多様な作品を選択できる環境を整えた方がいいと思う。
僕自身、ゲンにはシンパシーを覚える部分と共鳴できない部分が混在している。
それでも、この良心と信念で書かれた作品を閉架にする理由が1ミリも見出せない。
市教委がいうところの閉架の理由、「過激な描写」を鵜呑みにするほどお人好しじゃないが、
このネット社会で子ども達はもっとグロい描写を目の当たりにしている。
今回の市教委の決定は、作者側の表現の自由だけじゃなく、
僕らの好きな本を読む権利までも犯しかねない。
このニュースを知ったとき、図書隊の出動をマジで妄想した。
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