
メディアではほとんど取りあげられてないけど、
「第1回アジア・太平洋 水 サミット」というカンファレンスが
今年、大分県別府市で開催された。
サミットを冠してるだけあって、アジア各国の大統領や国王など、
元首クラスの参加があった。
わが国からは、森元総理が運営委員長の任に就いている(まっ、お飾りでしょうけど)。
ご来賓として皇太子殿下のご臨席を賜り、福田首相も冒頭で挨拶に訪れるなど、
第一級の国際的カンファレンスといっていいと思う。
前述のアルピニスト、野口健さんは、運営委員として携わっておられたらしい。
迂闊にも、野口さんの講演を聴くまで、そのことを知らなかった。
野口さんはサミット期間中、
おおいた学生水フォーラム主催のフォーラムにて、
「第1回アジア・太平洋 水 サミット開催へ向けて~ヒマラヤ山脈の流域国を訪ねて~」
と題して講演をおこなったとのこと。
拝聴しに伺えばよかった、と後悔している。
僕は、先月、ラッキーなことに、
この水サミットの学術的な部分を担当された大分大学教授
川野田實夫氏の面晤を得て、お話を伺う機会があった。
その要旨は、「地球は本当に水の惑星か?」ということだった。
ご存じのように、地球の面積の約7割が海である。
しかし人間が使用可能な水はごく僅かだ、と川野田先生はいう。
大気も含めて、地球上の水の97.2%が海洋である。
次いで、2.15%が大陸水。つまり万年氷や氷河だ。
要するに、99%以上がそのままでは使用不可能な水ということになる。
では、人間が使える水はいかほどあるのか?
その大部分は大気中の水で、全体の0.001%でしかないらしい。
しかもその平均滞留時間はたったの10日で、
大陸水の1万5千年、海洋の4千年にくらべると、まことに心細い。
人間にとって、地球は万年水不足な惑星なのだ。
COP13 同様、日本は開催国でありながら具体的な数値目標をついに掲げなかった
と、野口さんは嘆いておられた。
水資源という人類共通の課題とインド洋の給油問題を同列に並べるのはおかしい
という人もいるだろうけど、
日本の国際的責任というのはこういう分野でこそ発揮されるべきだと思う。
いうまでもなく、日本は、水資源が世界トップレベルで豊かな国なのだ。